第89話 園崎ちゃんのセーラー服
昼食が済んだあと、園崎は昔の制服を探すため部屋を出ていった
ひとり部屋に残された俺はいま、静かにその時を待っている
片付けられたテーブルに両肘を突き、顔の前で手を組んだ姿勢で瞑目していると…瞼の裏にセーラー服を纏った姿の園崎が浮かんできた
俺は勝手に溢れてくるそんな妄想を、頭を振り必死にかき消す
だめだ!あまり期待を膨らませ過ぎるな、俺
もし、『無かった』と言われた時…失望による精神的ダメージがでかくなるぞ
俺はそう自分に言い聞かせ、過剰になっていく期待を抑え込む
10分くらい経過した頃だろうか
部屋の外から…園崎が戻ってくる足音が俺の耳に届いた
俺は閉じていた瞼をカッと見開き、顔を上げドアに眼差しを向ける
カチャ…
控えめに開いたドアの隙間から…園崎がおずおずと顔を覗かせた
どっちだ?
あったのか?無かったのか?
俺は園崎からの報告を緊張した心持ちで待ち構えた
「えっと、その…、あったから…着てきたよ、経吾」
どくん!
園崎の言葉に俺の心臓が大きく跳ねた
言われてみれば確かに…
顔とともに覗かせている、その右肩を包み込んでいるのは…あの特徴的なセーラーの襟じゃないか!!
おお…
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
怒涛のような歓喜の波が衝撃となって俺の身体を内側から揺さぶる
あえてその全身を見るまでもなく、確信を持って言える
これ、絶対可愛いやつ!!
俺は園崎がドアの影からその姿を現すのを固唾を飲んで見守った
だが…
顔だけ覗かせた格好のまま、園崎は一向に動く気配がない
なんだ?
何を勿体ぶってるんだよ?
俺は逸る気持ちを抑えきれず、思わず腰を浮かし身を乗り出す
「えーとね…その…着るには着たんだけど…」
園崎が視線を泳がしながら、躊躇いがちに口を開いた
なんだ?何か問題でもあったのか?
「なんてゆーか…ちゅ、中学の時より少し…ふと…太った…ていうか…。いや、その…、太ったっていってもほんのちょっとだけなんだけど…ていうか、あたし、むしろ中学の時が痩せすぎだったぐらいで…よくお姉ちゃんにも『男みたいな体型だね』ってバカにされたりもしたしで…」
早口で言い訳のような言葉を並べ立ててくる園崎
ああ、なるほど。
要するに久し振りに袖を通した制服が思いのほか窮屈で、それがショックだったってことか
「なんだ、そんなことか。それは太ったんじゃなくて成長したってことだろ?俺だってこの学ラン結構窮屈だし、ズボンも裾が少し寸足らずだし…そんなのお互い様だって」
俺はそう言って園崎を安心させた
体型の変化を気にするあたり、園崎も何だかんだ言って女の子なんだよな
「見ても…笑わない?」
不安げな表情でそう聞いてくる園崎
「ああ、もちろんだとも。笑ったりなんかしないさ」
俺は精いっぱい真摯な面持ちで応えた
「絶対に絶対、笑わないでよね?約束だからね?」
園崎はそうやって念を押すと覚悟を決めるように目を閉じ息を吐いた
いよいよだ…。いよいよ園崎のセーラー服姿が拝める
俺は全神経を両の眼球へと集中させスタンバった
キィ…
僅かな音を軋ませドアが開く
その後ろから…ついに園崎がその姿の全てを現した
うぐっ!?
思わず息が止まった
目の前に…セーラー服に身を包んだ園崎がいる
一般的によく見られる紺や黒ではなく、茶系の配色
襟、袖口、スカートなどはディープブラウン…それ以外の生地は純白ではなく淡いクリーム色だ
半袖なところをみると夏服なのだろう
タイはスカーフではなくチェック柄のリボン
控えめに言って超絶にかわいい
そして…
うん。なるほど
確かに…園崎が言うように、かなり窮屈そうだ
上半身の…限られたごく一部分が
無理矢理に押し込められたであろう2つの膨らみによる内側からの圧で、布地がはち切れんばかりにパンパンになっている
えーと…なんて言うんだっけ?こーいうの
目の前に現れた事象を適切に言い表す単語があったはずだ
…乳袋
そう、『乳袋』だ!!
アニメやマンガでよく見られる胸部の誇張的表現…通称『乳袋』
非現実の存在であるはずのそれが、現実の物として俺の眼前に顕現していた
よもやここまでのものがお目にかかれるとは…
流石だ。俺の期待の遥か上空を超えてきたな、園崎
俺の目は激しく自己主張するその部分へと釘付けになった
夏服の薄い生地にくっきりと刻まれたブラのラインが、内側からの圧を雄弁に物語っている
そればかりか…引っ張り上げられ寸足らずになった上着の裾からは、なめらかな肌とおへそまでもがチラ見えしていた
スカート丈は膝が隠れる程の慎ましい長さだというのに・・・上半身の破壊力がハンパ無い
めちゃくちゃエロ可愛い
うっ!?いかん!
鼻腔の奥に出血の気配を感じ取った俺はあわてて手のひらを顔面へとあてた
息を止め、鼻を圧迫する
「あっ!経吾笑ってるでしょ!ひどい、笑わないって言ったのに!!」
そんな俺に対し園崎が非難の声を上げた
どうやら俺の取った行動が誤解を与えてしまったようだ
「いや、これは笑ってるわけじゃなくてな…」
頬を膨らまし恨めしげな視線を向ける園崎に、俺はもう片方の手で首の後ろをトントンしながら弁明の言葉を返した
う…なんとか…おさまってきたか?
鼻血の兆候が過ぎたのを確かめた俺は、覆っていた手のひらを顔から離した
そして精いっぱい引き締めた表情で園崎へ向き直り、その顔を正面から見据える
「ほら、笑ってなんかないだろ?」
そう言って、むくれる園崎をなだめた
「うぐ…ズルい…経吾…詰襟学生服でそんな顔されたら…何も言えなくなる…」
園崎は何やらモゴモゴ言いながらそっぽを向いた
どうやら矛を収めてくれたようだ
「と、ともあれ、経吾の言う通りボクも着替えたんだ。これで満足したか?」
俺は内心での狂喜乱舞をおくびにも出さず、
「ああ、これでおあいこだな」
とクールに返事を返した
「よし、ならば中断していた撮影を再開しようじゃないか」
園崎が腰に手を当て、そう言ってきた
はあ・・・またあの恥ずかしい思いをしなけりゃならんのか…
「…やれやれ、わかっ……」
諦観の思いで返事を返そうとした瞬間、突如俺の頭にある閃きが降って湧いた
それは神からの啓示…天啓ともいえる閃きだった
「?…経吾?どうかした?」
急に黙り込んだ俺に違和感を感じ取った園崎が怪訝そうな顔になる
「…まだだ」
「え?」
俺の呟くような言葉に虚を突かれた顔になる園崎
「まだ俺とお前の間にわだかまる不平等が完全に解消されたわけじゃない。そうだろう?園崎」
俺は降りてきた神託を現実の物とするため、慎重に言葉を重ねていく
「えと…どういう…ことかな?」
俺の言葉に困惑する園崎
「まだお前は『中学の制服を着る』までのことしかしてないだろ?それじゃあまだ公平とは言えないよな?」
「えっと…つまり?」
「今度は園崎が写真に撮られる番にならなきゃ…不公平じゃないか?」
俺は満を持して、自らの要求を園崎に切り出した
「今度は…ボクが…撮られる番?」
「そうだ。それでこそ対等ってもんだろ?」
俺は内心に渦巻くドロドロとした欲望を隠し、あくまでもクールにそう返した
…男なら誰しも、好きな女の子の写真が欲しいと思うものだろう
だが、正式に付き合っている恋人ならともかく…片思いしてる相手の写真など、隠し撮りでもしなければ手に入れることは難しい
しかし、『俺の方が先に写真を撮られていた』という今の状況なら…正当な要求として主張する事ができる
つまり、いまこの時が千載一遇の好機という訳だ
しかも今の園崎はセーラー服姿というSSR級のレアリティ状態…この機会を逃せば2度と目にすることは出来ないかもしれない
なんとしてでもこのチャンス…逃すわけにはいかない!!
「け…経吾…ボクの写真…欲しいんだ?」
園崎が呟くような声で俺の要求を反芻する
「しょ…しょうがないな…。じゃあ今度は、経吾がボクのコト写真に撮る番で…いいよ」
そっぽを向きながらも承諾の言葉を口にする園崎
いよっしゃああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
園崎の返答を受け、俺は心の中で飛び上がって喜んだ
「!?…経吾。今なんでジャンプしたの?」
ビクッと身を震わせ、聞いてくる園崎
しまった。喜びのあまり、心の中だけに留めるべき行動が無意識のうちに肉体にも表れてしまった
「こふん。何でもない。気にするな。そんなことより…そうと決まれば早速始めるぞ、園崎」
俺はニヤけそうになる表情筋を引き締めつつ、園崎にそう促した
堂々と園崎の写真を手に入れられる日が来ようとは…
それもこんなエロ可愛セーラー服姿の園崎を…
午前中、恥辱に塗れた時間を耐え忍んだ甲斐があったというものだ
さあ…、今度は俺のターンだ、園崎。たっぷりと楽しませて貰うぞ
俺は逸る気持ちを抑えながらケータイを取り出し、カメラ機能を起動した
設定は当然、最高画質
ロクに写真なんか撮らない俺のケータイはストレージの空き容量も十分にある
「それじゃ園崎、その辺りに立ってくれるか?」
「う、うん。普段、写真なんか撮られるコトなんて無いから…なんか緊張するな」
レンズ越し…液晶に映る園崎がぎこちない笑顔を俺に向ける
少し表情が硬いが…逆に初々しい感じで実にいい
まずはバストアップで一枚…
「それじゃ、撮るぞ」
画面の中、恥ずかしげな表情で映る園崎に僅かな興奮を覚えながらシャッターボタンを押す
《カシャ》
撮ったばかりの写真データを開き、確認してみる
よーしよしよし、なかなか良く撮れてるじゃないか
満足いく写真の出来映えに俺は密かにほくそ笑んだ
刻まれたブラ線までがクッキリと鮮明に写り込んでいるのが確認できる
この辺の細部は家に帰ってから、拡大表示してじっくり検証するとしよう
フッ…今夜は忙しくなりそうだ
さて、検証を行う上でサンプルは多いに越した事はない
さあ、どんどん撮っていくぞ
俺は右、左とアングルを変えながら、さらに数枚シャッターを切った
《カシャ》…《カシャ》……《カシャ》
可愛いよ…可愛いよ園崎…ハフハフ…
俺は崩壊しそうになる理性をなんとか保ちながらシャッターを切り続ける
よし、今度は少し引きで全身を撮ってみよう
俺はその場から2、3歩下がり床に片膝を突いた
少し煽り気味にフレーム内へ全身を収めると、園崎のスタイルの良さが改めてよく分かる
自分では太ったとか言って気にしていたが、それは中学時代と比べて相対的に肉付きが良くなったという話だろう
実に女性的な曲線美に溢れた官能的なシルエットだ
なんでこうも俺の好みのど真ん中なのか…
《カシャ》…《カシャ》………《カシャ》…
俺は連続してシャッターを切る
園崎も撮られることに慣れてきたのか、表情から硬さが消えてきた
悪戯っぽい微笑を浮かべながら、俺のシャッターに合わせ右…左と身体の角度を変えてくれる
そんな園崎を俺は一心不乱に撮り続けた
《カシャ》…《カシャ》……《カシャ》…《カシャ》…ブツッ…《カシャ》
ん?
「なんか今、シャッター音に混じって変な音したような?」
「え?…なんだろ?」
園崎も不思議そうな表情で辺りを見回している
何かが…千切れたような音が…園崎の方から聞こえた気がしたんだが…
そう思いながら液晶画面から園崎へと向けた視線の先で…
する…
するするする…ファサ…
スローモーションのようにゆっくりと…
制服のスカートが園崎の足元へと滑り落ちていった
一瞬の静寂の後…
《カシャ》
俺のケータイがシャッター音を鳴らした
って、ヤバいヤバいヤバいヤバい!!!
思わず指先に力が籠もってしまった
園崎の顔がみるみる内に紅潮していく
「ゴ、ゴメン園崎。今のはワザとじゃ…」
「ちちち違うの経吾!これはね、なんて言うか…ちゃんと説明させて!!」
俺は思わずシャッターボタンを押してしまったことに対する弁解を述べようとするが…凄い勢いで詰め寄ってくる園崎に遮られた
「ここここれはね、別に太ったからとかじゃないの!実は制服のスカート、ファスナーが壊れてて上がんなくて!だからね、ファスナー閉めないで留め具だけしてたんだけど…留め具を止めてた糸が古くなってたみたいで…それが千切れちゃったみたいで…それでっ!」
「お、おう」
「だから!全然太ったからとかじゃ、ないから!!」
下半身が下着一枚になった状態のまま、必死の表情でこうなった原因を訴えてくる園崎
上半身の乳袋セーラーと相まって…とんでもない状態の格好になってるんだが!?
だが今の園崎にとってはそんな格好の事より、自分は太ってないと訴えることのほうが重要らしい
「わ、わかった、わかったから」
我を忘れて弁明する園崎を宥めつつ、俺はその下着をガン見した
なんか…両サイドが紐になってるアダルトなデザインの下着だった
園崎…こんな背伸びした感じの大人っぽいのも履いてるのか…
おそらくはあの叔母さんのチョイスなんだろうが…
相変わらずグッジョブです叔母さん
「ちょっと、経吾。聞いてる?」
「あ、ああ…聞いてるよ。園崎は太ってなんかない。スカートの留め具が古くなってたんだよな?」
俺は園崎の訴えを全面的に肯定した
「わ、わかればいいんだケド…」
赤く染まった頬でそっぽを向く園崎
一気にまくし立てたことで、なんとか落ち着きを取り戻したようだ
急にハッとした顔になると
「ス、スカート…直してくるっ…」
そう言って床に落ちたスカートを拾い上げると逃げるように部屋を出ていった
…
ひとり取り残された部屋に静寂が満ちる
園崎のあられもない姿が目に焼き付いて、俺はしばらくの間、呆けたようになっていた
だが…やがてある事を思い出しハッと我に返る
右手に握り締めたままのケータイ…
俺はバクバクと早まる心臓の鼓動を耳の奥に感じながら、震える指でボタンを押した
消えていた液晶の画面に光が戻る
復帰した画面に…意図せずシャッターを切った際に写った画像が現れた
足元までスカートが滑り落ちた状態になった園崎の姿がしっかりと写り込んでいた
ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
俺の心が激しく揺さぶられる
俺が園崎の親友であるというなら、こんな画像は今すぐ削除すべきだろう
だが、男としての本能はそれを激しく拒否する
意図せず手にした国宝級のお宝映像を前に、俺は自分史上最大の決断を迫られることになった
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
程なくして園崎が戻ってきた
俺は…心の中にわだかまる罪悪感を気取られぬよう、努めて平静を装った
結局、あの写真の処遇は…
いつものように現れた悪魔俺、堕天使俺との厳粛な三者協議の末、『この案件はいま早急に結論を下すのは非常に難しいため、一旦持ち帰り十分な検証をした上で判断する』という結論に至った
「ほら、とりあえず安全ピンで応急処置してきた。最初からこうしとけば良かった」
そう言ってスカートのサイドを示す園崎
なるほど、本来ファスナーで留めるべき箇所に大きめの安全ピンが3つほどついていた
…生地の合わせ目の隙間から紐がチラ見えしてるんだが
「経吾?どうかした?」
「うおぅ!?…いや、その…改めて考えるとお互い中学の制服なんか着て…変な状況だなーと思って」
俺は自分の不埒な感情を誤魔化そうと適当に思いつく言葉を並べた
「まったくだな。まさかこんな展開になるとは……そうだ!折角だからこの格好で一緒の写真に写らないか?」
園崎が急に思いついたようにそんなことを言い出した
「え、一緒にって…」
ツーショットってことか?
なるほど、その考えは無かった
だが、言われてみれば、それはなかなかに心躍る提案じゃないか
好きな娘とのツーショット写真…
知り合って最初の頃、一緒にプリクラ撮った事はあったが…あの時は今みたいにハッキリと好きだって認識してなかったし
「よし、そうと決まれば…」
俺の返事も聞かぬまま、園崎は自分のデジカメの電源を入れると…急に身を寄せてきた
「!!」
不意を突かれた俺の心臓がどくんと跳ねる
「こんな感じかな〜」
俺に身を寄せたまま、前方に伸ばした手でデジカメを逆向きに持ちレンズをこちらに向ける園崎
「よし、撮るぞ経吾。カメラの方に顔を向けろ」
「お、おう」
園崎がシャッターボタンを押した
「どれどれ…、あ、ちょっと見切れてるな」
本体裏の液晶で撮ったばかりの画像を確かめ、そんな声を漏らす園崎
「ふむ、けっこう難しいものだな…。経吾、もうちょっと側に寄れ」
そう言いながら俺の身体に密着してくる園崎
押し当てられたやわこくてあったかい感触に顔面の筋肉が弛緩する
「よし、もっかい撮るぞ〜」
園崎の言葉に、俺は慌てて表情を引き締めた
再びシャッターボタンを押す園崎
「イマイチだな…。なるほど、これはなかなか奥が深い」
そう言うとまた腕を伸ばしシャッターボタンを押す
「ん〜、惜しい。でもだんだんコツを掴んできたぞ」
園崎は1つの事に集中すると、のめり込むタイプだ
なんか自撮りテクの追求を始めてしまった
俺に背を押し付けた形で、あーでもないこーでもないと様々な方向へ腕を伸ばす
うぐ…しかし…これは…
「うおっと…こら、よろけるな経吾。ちゃんとしっかり立ってろ」
「す、すまん。でもな…」
肉体の一部が『しっかり立って』いるからこそ、そこが密着しないように腰を引いた体勢になったんだが…
「いいから。そのまま動くんじゃないぞ」
「わ、わかったよ…うっ!?」
直立不動の姿勢を余儀なくされた俺の直立不動の形態となった肉体の一部へと…園崎がその柔らかなお尻を押し付けてくる
絶妙な弾力が生み出す感触が快感となって俺の脊椎を駆け上がってきた
そんな事態に全く気付かないまま、園崎は自撮りアングルの探究に没頭している
「この角度はどうかな…んー、微妙。こっちからだと…うーん、こんな感じかー…」
独り言を言いながら身をよじるたび、俺の最大限まで硬化した部位に園崎の柔らかな尻肉が擦り付けられてくる
加速度的に危険度が臨界点まで達してきた
ヤバいヤバいヤバい!!!!
「よし、これは中々いい出来だぞ」
自画自賛と共に園崎が身を離した
間一髪…俺は暴発の危機を免れたのだった
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「それにしても…こうやってみると本当に不思議な感じだな。俺達二人が中学の制服で同じ写真に収まってるなんて」
俺は撮られたばかりの写真を見せられ、率直な感想を述べた
「ホントだな。まるで…」
園崎も俺の言葉に同意して笑うが…急にハッとした顔になる
「そうか…ボクと経吾は…実は中学時代すでに知り合っていて…こんなに親しい間柄だった…」
「え?なに言ってんの、お前?」
園崎が呟くように漏らした不可解なセリフに俺は眉をひそめた
明らかに時系列の認識がおかしいだろ
「くふ、くふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
急に含み笑いを始める園崎
またなんか変なこと思いついたんじゃないだろうな…
訝しがる俺の前で、園崎が急にデジカメを操作し始める
なにやら設定画面を開いて弄ってるみたいだが…
「よし、これでいい。くは、くははははははははははははは」
操作を終えた園崎が愉快そうに笑い声を上げる
「さっきからおかしいぞ?一体何がどうした?」
俺が思わず半眼になって尋ねると、園崎は頭をグルンとこちらに向けニヤリと笑う
「今…このカメラは『時を超えるカメラ』…『過去を写すカメラ』となった…」
園崎が手にしたデジカメを俺に示しながら意味不明な事を言い始めた
「どういうことだ?」
眉をひそめる俺に対し、ドヤ顔で解説を始める園崎
「カメラ内部の時間設定をいじくって2年前の日付に変更したのさ。つまり…このカメラで写真を撮影し日付入りでプリントアウトすれば…『2年前に撮られた写真』の出来上がりと言う訳だ!」
「単なる捏造写真じゃねえか!」
俺は思わず全力でツッコむ
しかし園崎は俺のツッコミになど耳を貸す素振りも無い
「そうと決まれば改めてまた写真を撮るぞ。『中学時代、経吾がボクの部屋に遊びに来た』…という体でな」
嬉々として虚偽の設定を騙る園崎
どうやら俺はこれからフェイク画像の作成に加担させられることになるらしい
まあいいか…
誰かが被害を受けるような類いの物でもないし…
俺は諦めの境地で溜息をついた
(つづく)
【あとがき】
皆様、お久しぶりでございます。前回の更新から10か月近くたってしまいました。
申し訳ございません。
トップページに『今後、次話投稿されない可能性があります。予めご了承下さい。 』とか表示されてしまいましたが・・・
するよ!?
するからね!?今後も!?
次はいつになるか判んないですが気長にお待ちください。




