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プロミステイク ~俺と彼女の中二病的恋愛遊戯~  作者: 阿津沼一成
第2章 サマータイム・ラプソディ
84/90

第84話 そのレンズを通して見るセカイはまったく別のものだった

「じゃあ経吾、悪いけどよろしくね」


「うん、ちゃんとやっとくから。母さんは安心して寝てなよ」


俺の言葉に母さんが相好を崩す


「ありがと、経吾。夕飯はアンタの好きな物作ったげるから。・・・じゃあ、夕方5時くらいになったら起こして」


「了解」


母さんが寝室へと入るのを見届けたあと、俺はリビングへと戻った


「さてと」


ソファではなく、カーペットの敷いてある床へと直接腰を下ろす


そしてテーブルの上に置いてあるノートパソコンを開いた


パスワードを入力して待機状態を解除すると画面に起動したままのワープロソフトが表示される


傍らに置いてある手書きの原稿用紙を横目で読みながら、俺は文字を入力する作業を始めた


前も言ったかもしれないが、俺の母さんはタウン誌のライターぽいことを仕事にしている


締め切り間際には残業が増えるし、時には徹夜なんて時もある


昨日も会社に泊まり込みで仕事をしてて、帰ってきたのは今朝、日が昇ってからだった


こんな時、俺は母さんの持ち帰ってきた仕事を、こうして手伝うことがあるのだ


この家に来る前、母さんと二人暮らしの時からだから、かれこれ5年以上になろうか・・・


俺のキー入力はそこそこ速いと自負する程度にはなっていた


「ふう」


小一時間ほどが過ぎ、俺は集中を解いて一息つくことにした


伸びをして強張った体をほぐし、お茶でも飲もうか・・・なんて思っていた時だ


<ぴんぽーん>


不意に玄関の呼び鈴が鳴った


誰か来たみたいだ


俺は立ち上がり玄関へと向かった


ドアに手をかけた時、不意に予感めいたものが脳裏をよぎる


別に約束とかしていた訳ではない


だが、その向こうにいる人物が誰であるのか・・・俺の中に確信めいたものが沸き起こる


「はい、どちら様?」


そう言いながらドアを開けると・・・そこに立っていたのは予想した通りの人物


水色のサマーワンピに身を包んだ美少女が立っていた


「園崎・・・。どうしたんだ、一体?」


弾みそうになる声を抑え、努めて冷静に問いかける


「べ、別にどうもしないけど・・・用が無きゃ来ちゃいけな・・・んくっ!?」


俺の問いに、そっぽを向いた顔で以前聞いたような返答を返していた園崎だったが・・・


視線を俺の顔へと動かした途端、何故かその言葉を途中で詰まらせた


「どうした?」


何に驚いたのか、園崎は目を見開き、声も無く口をあうあうと動かしている


やがて・・・震える指先で俺の顔を指差した


「け、け、け、経吾・・・それ・・・」


「ん?俺、顔になんか付いてるか?」


・・・あ、そうか


園崎の指摘で、俺は『それ』を掛けたままだったことに気が付いた


「ああ、これか。別に度が入ってるわけじゃなくてな。・・・えーと、ブルーライト・・・だっけ?それをカットするやつで・・・いまパソコン使ってたとこだったからさ・・・」


俺は自分が珍しく『眼鏡』なんかを掛けている理由をそう説明した


これは、俺が何度かパソコンを使ってるのを見て、姉さんがくれた物だ


「・・・って、どした?」


何故か園崎は俺の顔を凝視したまま微動だにしていない


・・・そんなに違和感あるかな


まあ、鏡とかでわざわざ確認した事ないから、似合ってるか似合ってないかなんて自分じゃ分からないけど


固まったまま何の反応も返さない園崎に多少の戸惑いを覚えていると・・・


何故か園崎の顔がみるみる紅潮していく


俺を見ているはずの瞳もどこか虚ろで・・・顔色とも相まって、まるで風呂でのぼせたような表情になってきている


やがて、半開きになっていた口の隙間から、はふっ・・・と熱っぽい吐息を漏らしたあと、


「・・・・・・・・・・・・鬼畜眼鏡 (ぼそっ)」


何か呟いた


「は?・・・えっと・・・なんだって?」


よく聞き取れなかった俺は、聞き返すつもりで顔を近づけた


「ひぅっ!?」


驚かせるつもりは無かったのだが・・・園崎は悲鳴ともつかない変な声を上げ、びくりと大きく身体を震わせた


「はわ・・・はわわわわわわわわわわわわわわわわ」


そして、おかしな声を上げながら狼狽したように身を引くが・・・


「わ・・・きゃっ!?」


足を縺れさせバランスを崩してしまう


「あぶなっ!?」


俺は咄嗟に手を伸ばし、その左右の二の腕を両側から掴むようにして身を支えた


うおっ!?柔らけ


掴んだ部分の、細さの割りに意外なほどある弾力に驚く


『知ってるか義川。女子の二の腕っておっぱいと同じ柔らかさらしいぜ』


うるさいよタナカ。いきなり現れて耳元でおかしなことを囁くんじゃない


「だ、大丈夫か?園崎」


俺はタナカの幻影をスルーしつつ、園崎の顔を覗き込んだ


至近距離で見つめ合う形になった園崎の目が、驚いたように見開く


「はうぅ・・・」


しかし、狼狽したような声を漏らすと、さらに赤みを増した顔を背けた


「具合、悪いのか?園崎」


なるべくそっと声をかけたつもりの吐息が、丁度その耳へと吹きかかる形になってしまった


その瞬間、園崎の身体がビクンと跳ねた


そして、


「・・・ん…ふ・・・くぅ・・・ぁ・・・んぁ・・・あっ!!」


短く吐息を漏らしながら、その膝が数度小刻みに震えたかと思うと・・・急に力を失ったように脱力して・・・俺の手をすっぽ抜けてその場にぺたんと座り込んでしまった


「…ヤ…ダ……かるく・・・イッちゃ…た・・・」


はあはあと息切れしたような呼吸で、俯いて何か言っている


・・・これって、まさか





熱中症か!?




9月に入ったとはいえ、まだ夏の暑さが残っている


今日も外は、まるで真夏の気温だ


そんななか歩いてきて、この前みたいに軽い熱中症ぽい感じになってるのかもしれない


だとしたら、一刻の猶予もない


俺は園崎の傍らにしゃがむと、その身体へと・・・背中と両膝の後ろへ腕をまわした


「ふえ!?」


園崎が驚いた声を上げるが急を要する事態だ


俺は構わず、その身体を抱え上げる


この前、サクマの事もこんな風に持ち上げて運んだんだが、コツを掴んだ為かあの時よりだいぶ軽く感じる


単純に重量の違いかもしれんが


「・・・ふわ・・・ふわわわわわわわわわわわわわ」


耳たぶまで真っ赤にした園崎がおかしな声を上げ続けているが、俺はそのまま家の中へと運び込んだ


そして、そのままの勢いでリビングまで移動する


エアコンの効いた室内は大分涼しい


俺は園崎の身体をソファの上へと横たえた


ふう


園崎の身体が俺みたいな非力な奴でも持ち上げられるくらいの重さで助かった


改めて園崎の様子は、と窺うと・・・真っ赤な顔でぱくぱくと口を開閉させながら、頭頂部あたりから湯気を立ち上らせている


これはかなりヤバいぞ


重度の熱中症は命に関わる


急いで冷やしてやらないと


躊躇っていたら手遅れになる


「園崎、ゴメンな」


俺は先に謝罪してから・・・ワンピースの胸元にあるボタンへと手をかけた


「ふえ?ふええええええええええ!?」


園崎が驚く声を上げるが俺は構わずに一つ、2つと外した


「ままままままままままま待ってけーご。こんないきなり。も、もちろん嫌じゃないけど、あたし汗かいて匂うかもだし、せせせせせせせせせめてシャワーくらい・・・」


園崎が背後で何か言っているが、俺はすでにリビングからキッチンの方へと移動していた


冷蔵庫を開け、常備してある枕タイプの保冷剤を手に、再び園崎のところへ戻る


そして目をぱちくりさせている園崎の額へとそれを乗せた


「ほら、取り敢えずこれで頭冷やせ。眩暈とかはないか?」


言いながら、傍らに置いてあったウチワで緩めた胸元へと風を送ってやる


「・・・うん。少し・・・・・・あたま冷やす・・・」


額に乗せたアイスノンで目元が隠れた状態になっている園崎がそう返してきた


「・・・・・・・・・」


しばらく風を送っているうち、園崎の顔の赤みが大分ひいてきた


一応は危機的状況を脱したと見ていいだろう



・・・・・・・・・。


落ち着いたら性的な気分が頭をもたげてきた


目の前に横たわる園崎の身体


薄手の生地で作られたサマーワンピは、否応なくその肉体の曲線をくっきりと描き出していた


特に二つの膨らみは横になってもなお、その存在を誇示するかのように内側から生地を押し上げ・・・呼吸する度にゆっくりと上下している


不意に手のひらの中に、先ほどの二の腕の感触が蘇ってきた


・・・本当におんなじ柔らかさなんだろうか


危険な探究心に意識が支配されそうになるのをかろうじて踏みとどまる


いかんな。少し気分を変えよう


「あー、なんか冷たいもの飲むか?麦茶くらいしかないけど」


俺はそう言いながら立ち上がった


・・・・・・・・・・・・・・


グラスに注いだ麦茶を持ってリビングに戻ると園崎はソファの上、身を起こして何やらぶつぶつと独り言を呟いていた


「・・・今までいろんなシチュで妄想したことはあったけど鬼畜眼鏡は完全に想定外だったっていうかあの顔の角度でレンズキラーンとかツボり過ぎなのにそのうえお姫様抱っこで強引に抱きかかえられてしかも連れてかれた先がベッドじゃなくてソファの上で明るいままの部屋のなか無理矢理、とかもう・・・ヤバい…このシチュエーション、超捗りそう・・・」


「・・・えーと、園崎?もう起きて大丈夫なのか?」


俺が声をかけると園崎はびくんと身を震わせて振り向く


「あ、え・・・うん。・・・もう、平気」


そわそわと視線を彷徨わせながらそう言ってきた


頬はまだ微かに赤いが・・・取り敢えず大丈夫そうだ


俺は持ってきたグラスを園崎に手渡しながら自分の現在の状況を説明する


「えーと、それでさ。せっかく来て貰って悪いんだけど・・・ちょっと俺、いま仕事中で・・・」


「仕事?」


「うん、母さんの手伝いで・・・ちょっとパソコンで文字打ってる途中なんだ。終わるまで待っててくれるか?」


俺がそう言うと園崎はコクコクコクコクと頭を何度も上下させて頷いた


「ゴメンな。なるべく早く終わらせるから」


園崎の大げさな動きに多少気圧されながらも、俺はそう謝った


「気にしないで。急に来たあたしが悪いんだし。その代わり・・・けーごが仕事するのここで見てていい?」


「え?まあ、いいけど・・・別に見てて面白いモンでもないぞ」


別段、期待されるような事をするわけじゃないんだが・・・まあ、いいか


俺はやたら目を輝かせて見つめてくる園崎に苦笑しつつパソコンの前へと座り直した


タッチパッドに軽く指先を当てると、待機モードで表示が消えていたディスプレイが明るくなる


「うは」


園崎が変な声を出した


「モニターの光が眼鏡に反射して・・・超カッコいい・・・」


なににツボったのか分からんが・・・口元に手を当てハフハフと吐息を漏らす園崎


「今日はなんてラッキーな日なんだろ・・・こんなレアなモノ見れるなんて・・・」


両脚をもぞもぞと動かしながら、熱の籠もった視線を向けてくる姿がやたらと色っぽい・・・ていうか艶めかしい


「・・・・・・・・・」


いかんいかん


雑念を捨てろ


今は目の前の仕事を終わらせるのが先決だ


俺はキーボードを弾く行為へと全意識を集中させた


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「ふう・・・なんとか・・・終わった」


どれくらいの時間が過ぎただろうか


いつもは2、3回くらい休憩を挟む作業を一気にやり遂げた俺は、疲労感と達成感の入り混じった深い溜め息を吐き出した


そんな俺の前・・・テーブルの上へと、カチャ…と微かな音を立てティーカップが置かれた


中に注がれた琥珀色の液体が湯気と共に芳醇な香りを立ち上らせている


紅茶・・・か?


それを置いた人物は・・・改めて誰か確認するまでもなく、先ほどまでソファにいたはずの園崎だった


「ありがとう。気が利くな、園崎」


礼の言葉をかける俺に、園崎はにっこりと微笑みで返してきた


「そろそろお仕事終わられる頃かと思いまして・・・お疲れ様です。会長」


「うん、なんとか終わったよ。・・・・・・・・・会長?」


いま、聞き慣れない呼称で呼ばれた気がしたんだが・・・


何とも言えない違和感に、俺は口元に運んだティーカップから再び園崎に視線を戻す


「どうかなさいましたか?会長」


俺の訝しがる眼差しに園崎が小首を傾げる


いや、どうかなさってるのはお前の方だろ!?


なんか言葉使いもヘンだし!?


これはまさか・・・また、なんか変なキャラ設定に入り込んでるのか?


そういえば、さっきやけに俺の眼鏡に過剰な反応示してたよな・・・


「紅茶・・・冷めてしまいますよ?」


言葉を失い呆けたようになっていた俺に園崎がそう促してきた


・・・うん、一旦お茶飲んで落ち着こう


俺は運びかけて止まっていたティーカップを再び口元へとやった


芳しい香りが鼻をくすぐる


一口、口に含むと柔らかな渋みが舌の上を踊った


「・・・美味い」


思わず正直な感想が呟きとなって漏れ出た


間違いなくウチのキッチンの棚にあった買い置きのティーバックで淹れたもののはずなのに・・・まるで別物の味になっている


「さすが園崎だな・・・、お茶の淹れ方も上手だ」


「お褒めに与り光栄です。・・・となり、よろしいですか?」


俺の賞賛に柔らかく微笑み返したあと、そう言って傍らへと腰を下ろしてくる園崎


なんていうか・・・このキャラでいる園崎はひとつひとつの動作がしっとりしていて・・・やけに色っぽい


ついつい見とれてしまう


そんな俺の目を園崎も見返してきて・・・しばし二人、見つめ合った


「・・・いい。やっぱり・・・レンズ越しの視線って・・・いい。素敵・・・最高…」


うっとりとした呟きを漏らしながら、だんだんと距離の近づいてくる園崎の顔


抗い難い欲望に突き動かされた俺は、許可も得ないままその唇へと自分のものを重ね合わせた


唇の隙間へと舌先を割り入れると、それに応えるように園崎も舌を擦り寄せてくる


ちゅく…ちゅ…ちゅ…つちゅ…


戯れるようにお互いの舌を絡め合わせる


どうやら、魔力補給・・・って設定はこのキャラにも生きてるみたいだ


園崎の腕が俺の背中に回され、ぎゅっと抱き締めてくる


柔らかな二つの弾力が俺の胸に押し当てられる感触が心地よい


・・・ていうか園崎、腕に体重かけてない?


俺はだんだんと二人分の重心を支えきれなくなり・・・園崎を巻き込む形で床へと倒れ込んだ


ドサッ


床に片手を突き、もう片方の腕を園崎の身体の下に入れることで、なんとか衝撃を殺すことには成功した


だが・・・


片方の膝が園崎の両脚の間に入り込み、ワンピースの裾を思い切り捲り上げてしまっていた


色白な太ももが根元まで露わになり・・・白いレースとフリルをあしらったミントグリーンの・・・



え?




・・・って、いかんいかんいかん!


思わず目に入った園崎の下着をガン見してた


てか、この状況・・・まるっきり俺が園崎のこと押し倒したみたいじゃねえか!?


「ご、ごめん園崎。俺・・・」


慌ててそれだけ言うが続きの言葉が見つからない


「・・・私は・・・かまわないですよ、会長・・・」


「え?」


こんな状況になっても園崎はまだキャラに入り込んだままのようだ


「・・・会長の性欲処理も・・・秘書としての役割ですし・・・」


あ、秘書って設定なんだ・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


て、今なんて言った!?


性欲処理!?


捲れ上がった裾を直そうともせず、園崎は身を横たえたまま俺を見つめてくる


俺の目は勝手に・・・露出したままの下着へと吸い寄せられていく


「性欲・・・処理?」


「はい。どうか遠慮無く・・・私の『メス穴』をお使い下さい」


「め、めすあな!?」


「具体的に言うと私の『おま…」

「わーっ!!具体的に言わなくていい!言わなくていい!」


俺は全力で園崎の言葉を遮った


なんか、清楚な物腰と言葉使いに反して、かなりヤバ過ぎるキャラ設定じゃないか!?


いま園崎が言ったセリフ・・・


それが意味するものとは・・・つまり…


俺は思わずミントグリーンの薄布に包みこまれたその部分を凝視した





それは思春期男子なら誰しもが常日頃から抱いている願望だろう


それが叶う状況が思いがけず目の前に転がり込んで来た


まさに千載一遇・・・


いや、ダメだろ。それは


今、あきらかに園崎は普通じゃない


そんな状態になってる園崎につけ込むような真似は・・・卑怯すぎる


今まで俺は『魔力補給』という設定につけ込み、園崎とまるで恋人同士がするような濃厚なキスを何度もしてきた


だけど、さすがにそれ以上のことはダメだ


暴れ出そうとする欲望の手綱を掴み、なんとか捌こうと足掻く


「ああ、会長・・・レンズ越しのドSっぽい目が素敵です・・・」


うっとりした声を出しながらモジモジと太ももを動かす園崎


いや・・・、そんな目をしてるつもりは無いんだが・・・


だが、やはり俺のこの眼鏡がスイッチとなって園崎をおかしくしてるのは間違い無いようだ


つまりこれを外せば園崎は正気に戻る?


状況の解決策が分かった瞬間、俺の中で激しい葛藤が生まれる


俺は今すぐこれを外し、園崎を正気に戻すべきだろう


・・・だけど


あっさりと手放すには


あまりにも惜しい


ミントグリーンの薄布が覆い隠す、両脚の付け根部分・・・


俺はそこから目が離せないでいた


「会長・・・そんなにじっくりと見つめられると・・・」


園崎が太ももをもじもじと動かしながら訴えてくる


「・・・ますます濡れてきてしまうじゃないですか…」


ぶちっ


手綱が千切れ飛んだ


荒ぶる獣が制御を失った瞬間・・・



<ガチャリ>


玄関のドアが開く音が耳に届き・・・


「たっだいまー。おねーちゃん、きたーーく」


脳天気な声が響いてきた


ヤバい!姉さん帰ってきた!?


冷や水を浴びせられた気分になる俺の耳に・・・さらに追い討ちとなる言葉が届く


「あれ~、おかーさんリビングの前でなに覗きこんでるの?リビングになんかいるの?・・・まさかG!?Gが出たの!?」


ハッとして廊下への扉に目を送ると・・・僅かな隙間から母さんの姿が見えた


え?・・・いつから・・・見てたの?


我に返った園崎が真っ赤な顔で慌ててワンピースの裾を直す


「えっと・・・、ほら。あれよ。母親としては息子の成長を見守る義務があるじゃない?」


リビングへと姿を現した母さんがそんなことをのたまう


「えー、なになに?・・・あーっ!美少女肉人形ちゃん!ひっさしぶりー!」


母さんに続いて姿を見せた姉さんが園崎を発見して歓声を上げた


「やっぱり我が子の成長する姿を見るのは親としての醍醐味よねー。母さんあんなにハラハラしたの久しぶり。経吾が初めて歩いた時のこと思い出したわ」


母さんがしみじみと感想を漏らす


・・・誰か・・・助けてくれ


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


キッチンから漏れ聞こえてくる女達の話し声に、俺は落ち着かない気分でソファに座っていた


『夕飯食べていきなさい』という母さんからの誘いを断り切れなかった上、うっかりと『私も作るの手伝います』と言ってしまった園崎は・・・今現在、母さんと姉さんに両脇を固められた状態でオモチャにされていた


「娘がもう一人出来たみたいで母さん嬉しいわー」


なんて母さんの弾んだ声が料理する音に混じって聞こえてくる


「ふふん。あたしは母さんみたいに甘くないわよ!小姑らしくみっちりとイビってあげるから覚悟なさい!まずは手始めに・・・今日はお風呂であたしの背中を流して貰います!!いいわね!!デュフフフフフフフフフフフフフフ」


姉さんの不穏なセリフと笑い声に続き、ヨダレを啜る音が聞こえた


涙目になった園崎が俺に助けを求めるような視線を送ってくるが・・・


すまん、園崎・・・ 。俺には・・・その人達をどうすることもできないんだ・・・


(つづく)



【あとがき】

皆様、お久しぶりでございます。

やっと仕事の忙しさも落ち着いてきました


…てゆーか4月に入ってバッタリ無くなってしまった感じです。


それはそれとして…


前回のネタがうんえー様的にダメだったようでR15表記が付加されてしまいました。

15才未満の方は読んでない体でお願いします。


自分、某動画サイトでもアカウント無期限凍結ペナルティ頂いた前科あるんで…

こちらでもそうならないよう今後気をつけますです…


ではでは、次の更新まで失礼いたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 久々の更新お疲れ様です! 楽しみにしております!
[一言] 更新有難うございます 次回も楽しみにしております 新型コロナに負けぬようご自愛くださいませ
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