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プロミステイク ~俺と彼女の中二病的恋愛遊戯~  作者: 阿津沼一成
第2章 サマータイム・ラプソディ
68/90

第68話  Sister × Complex

※若干の性的表現が含まれております

ご注意下さい

「あちい・・・」


まだ朝と呼べる時間にもかかわらず、ギラギラと容赦無く降り注ぐ陽光


それに身を焼かれながら、俺は結構な重さのある段ボール箱を抱えヨタヨタと歩いていた


「アカネさん、これ・・・あといくつあるんすか?」


結構な重さのするこの箱を、もうかれこれ5箱は運んだ気がする


「なんだ、義川弟。この程度で泣き言か?男のクセにだらし無いぞ」


右隣りを歩く長身の女性が優しさの欠片もない言葉を投げてくる


『女のクセに』と言ったら女性蔑視のセクハラ的な言葉として糾弾されるのは周知の事実だが、『男のクセに』というセリフも男子に対してのハラスメントになると思うんだが・・・


理不尽だ


「大丈夫?まだ開場前なのに今からそんなんじゃ身が保たないよ。今日はまだまだ目一杯、馬車馬のように働いて貰うんだから」


左隣りから柔らかな口調で気遣いを装った非情な言葉をかけてくるのは対照的におっとりした雰囲気の小柄な女性だ


「馬車馬って・・・勘弁してくださいよマリナさん」


俺はげんなりとした目を向けて溜息をついた


お察しのことと思うがこの二人は姉さんの友人達である


背が高い方の姐御肌な女性がアカネキョウコさん(漢字は覚えてない)、おっとりした見た目に反してけっこう毒舌家の小柄な女性がマリナユウコさん(同じく漢字はry)


そんな姉さんの友人二人に両脇を固められた状態で、俺がどこで何をしているかというと・・・


ここは都内港湾部にある国内最大級の展示会施設


そして今日は毎年行われる最大規模の同人誌即売イベントの初日、らしい


三年前、俺が三途の川を渡りかけた因縁の場所でもある


まさか再びここを訪れることになろうとは・・・

全く持って不本意極まりない


数時間前、部屋で寝ていた俺は突如乱入してきた姉さんとその友人達一味に早朝・・・っていうか未明といえるくらいの時間に叩き起こされた


そして拉致と表現していいくらいの勢いでアカネさんの運転するクルマに押し込まれ、ここに連れてこられたのだ


・・・今日はせっかくバイトが休みだから昼近くまで寝てる予定だったのに


そのつもりもあって・・・ちょっと夜更かしもしたから・・・俺はロクに寝ていなかった


「若いクセになんでそんな朝から疲れてんだよ。・・・あー、わかったぞ。夏休みだからって毎日毎日サルみたいに自家発電してたんだろ?」


「アハハハ。やだーキョーコったら、げひーん。でもしょうがないよ、弟くんは童貞なんだから」


アカネさんの下ネタにマリナさんがタチの悪い下ネタで返す


「ちょ・・・!?こんな往来で失礼な事言わないで下さいよ!」


それもなんで断定なんだよ!


「え?だって童貞でしょ?」

「違うのか?」


「・・・はい童貞ですけどそれがなにか?」


二人から真顔で同時に問われ、俺は苦虫を噛み潰した表情になる


俺は言い返すのを諦め黙って歩を進めることにした


実のところ二人の言ったことはどちらも事実だったし・・・


童貞であることはもちろんだが・・・アカネさんの口にした事も・・・図星だった


このところの俺はほぼ毎晩『セルフ行為』に没頭するサルと化していたのだ


・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


弁解させてくれ!

これにはやむにやまれぬ事情があるんだ!!


数日前のあの一件・・・


それを思い返すたびに頭の中に強烈なフラッシュバックが起こる


その度に俺の中に閉じ込めてある獰猛な昂ぶりが目を覚ます


それにより制御不能に陥った荒ぶり猛り狂う肉体の一部を鎮めるため、俺はその行為を毎晩執り行う必要に迫られたのだ・・・・


・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


だから!!!


あんなことがあったら俺に限らず思春期の男子なら誰でもそうなるって!


・・・『あんなこと』とは先日のスポーツクラブでのあの一件の事だ


あれは強烈に脳に刻みつけられる体験だった


夜、寐るつもりでベッドに入り目を閉じると途端に目に焼き付いた映像が鮮烈に蘇ってくるのだ


園崎の・・・下着姿以上に肌を露出したマイクロビキニ姿


ほとんど先端部分のみしか隠されていなかった二つの膨らみ


小振りで形のいい曲面で造形されたヒップライン


あまつさえ俺はそれを鑑賞するだけに留まらず、感触までをも体感するに至ったのだ


一日中触っていても飽きないであろうその甘美な弾力感・・・


すでにそこまでで俺のキャパは一杯だったってのに・・・その直後に起きたあのアクシデント


サツキの悪ふざけのせいでバランスを崩した園崎が俺の上へと倒れ込んできて・・・


お互い半裸ともいえる状態のままで密着した肌と肌


その上、あの時園崎はサツキの暴挙によりビキニの下が剥ぎ取られた状態で・・・


俺の左足へと跨がるように乗った両足の付け根・・・


その部分は当然・・・剥き出しのままになった園崎のオンナノコな部分


それがぴったりと密着してきて・・・


あの熱く火照った肉の感触は・・・忘れようとしても忘れられるものじゃない


その後、取り乱した園崎にプールへと突き落とされたりして危うく死にかけたりもしたけど、それを差し引いてもなお、お釣りがくるほどの超絶ラッキースケベだった


それに・・・


全身ずぶ濡れになる前・・・


俺の左足の一部は確かに濡れてて・・・


あれって・・・やっぱり・・・・


「うぐっ!!?」


「どうした義川弟!?突然うずくまって!」

「大丈夫、弟くん!?荷物は絶対落とさないでね!」


いかん


思い出したらまた肉体の一部がのっぴきならない状態に・・・


急激に下半身に血液が移動したから、軽い貧血みたいになった


ただでさえ精力が激減してるってのに


昨日も勢いに任せて寝る前二回も・・・げふんげふん


・・・なんでもない


「だ、大丈夫・・・平気です・・・」


俺は脂汗を浮かべ呻くように声を絞り出す


つーかマリナさんひでえ


だが、どうする

息を吹き返したコイツをどうにかしないと立ち上がれんぞ・・・


その時、背後で静かなどよめきが起こった


不用意に振り返りそれを目にした俺は・・・虚脱感と眩暈に襲われる


「おお、気合い入ってんなあ」


アカネさんが感心したような声を漏らした


一台の車がこちらにゆっくりと近づいてくる

だが普通の車ではない


車体にはアニメかマンガのキャラと思われるイラストが描かれていた


俗に言う『痛車』と呼び称される仕様の車だ


それだけなら俺もここまでの精神的疲労は無かっただろう


車体に描かれていたのは・・・薔薇をバックに絡み合う二人の美麗な全裸の美青年(ただしヤバい箇所は薔薇により隠されている)


そしてその車種は異様なくらい前後に長い・・・所謂、リムジンと呼ばれる金持ち所有車の代名詞ともいえるクルマだった


おかげで俺ののっぴきならない状態だったそれは瞬時に萎えた


しかし・・・なんだ・・・


こんなイカレたモンでこんなところに乗りつけそうな奴を俺は一人知ってるが・・・まさかな・・・


「おヤ、よっしぃじゃないカ?珍しいとこで会うナ」


「ぐっ!?」


俺の嫌な予感は現実のものとなってしまった


やはり本能的に感じ取った感覚を信じ、早急にこの場を立ち去るべきだった


はたして、そのイカレたリムジンの後部ドアから降り立ったのはやはり・・・白黒ゴスファッションの中二病女、サツキメイだった


「さすガ天然ハーレム体質のよっしぃだネ。今日は年上の女達をはべらせてるのかイ?」


「これが『はべらせてる』ように見えるのか?『こき使われ』てんだよ」


俺は立ち上がりながらジト目を返す


周りからの奇異な物へと注がれる視線にいたたまれない心境になる


俺を取り巻く環境は、このイベント会場にあってもなお異彩を放つ異様な空間と化していた


アカネさんとマリナさんもいつの間にか距離を取ってるし・・・


あ、スマホ弄りだして他人アピール始めた


「キヒ・・・相変わらず君はヘタレ主人公を通常運転してるんだネ」


「・・・うるせー」


正直、自分でもヘタレな奴だとは思うが、他人に言われたくはない


続いてリムジンの運転席ドアが開いた


そして・・・


「よお、義川」

「って・・・、マキさん!?」


出てきたのは俺のバイト先の先輩、マキさんだった


そして驚くべき事にその出で立ちは・・・一言で言えば『執事』だった


「マキさん、その格好って・・・まさかホントに執事に!?」


俺はマキさんが以前行った告白シーンを思い出した


「ああこれか、これはな・・・執事って言いたいとこなんだがちょっと違ってな、今日の俺は『パーカー』なんだ」


「ぱ、ぱーかー?」


フード付きの上着のこと・・・じゃないよな


「んー、なんだかよくわからんがリムジンのドライバーの事を『パーカー』と言うらしい」


「・・・いや、それ役職名と違うと思います」


たぶん個人名だと思うんだが・・・


「それにしても・・・よくこんなの運転してこれましたね」


俺はげんなりした視線をその病的な装飾を施された車体へと向けた


こんなもん乗るとかどんな苦行だよ


「いやー、俺もほとんどペーパードライバーだから、こんなデカいクルマ運転するの不安だったんだけど・・・まあなんとかなったよ」


俺の言葉にマキさんが的外れな答えを返す


「・・・いや、そういう意味で言ったんじゃないんすけど・・・」


「でも道に出たら周りのクルマがみんなよけてくれてな、すげえ走り易かったぜ」


「はあ・・・・でしょうね」


そりゃこんな色々な意味でヤバ気なクルマ、誰も近付きたくないだろう


下手に接触事故でも起こそうものなら絶対面倒なことになる。・・・ってか、これはもう猥褻物に入るんじゃないのか?


「よく警察とかに捕まりませんでしたね・・・」


「ああ、一回止められた。でも窓からメイちゃんが顔を見せたら年上の方の警官が『す、すみませんでした。コイツまだ新人で・・・皐月様の御令嬢とは気付かず大変な失礼を・・・』とか言って顔色変えて・・・そのあとしばらくパトカーで先導してくれた」


・・・聞かなきゃよかった


そんなマンガみたいな対応されるなんて、サツキの親父さんてどんだけの金持ちなんだよ


「義川弟。もうそろそろ合流時間になる。ここで油を売ってる暇はもう無いぞ」


スマホを手にしたアカネさんがそう声をかけてきた


今日、この会場に来たのは俺を含めて6人


いまは二手に別れて行動していた


姉さんと他二人は会場に直接搬入される印刷所からの新刊を受け取りに、俺達は車に積んで持ってきた既刊本を運んでいたのだ


「わ、わかりました・・・・じゃ、じゃあなサツキ、それとマキさんも」


俺は挨拶もそこそこに慌ただしく二人の前から踵を返す


「キヒヒ、さすがよっしいは女に使われるのが様になってるネ」

「頑張れよ、義川~」


二人の言葉を背に受けながら、俺はアカネさん達に急かされながら再び箱を手に歩き出した


「さテ、僕らも急がないとナ・・・、ほら起きなヨゆずっち、会場着いたヨ」


遠くなった背後でリムジンの中に声をかけるサツキの言葉が聞こえてきた



・・・・・・・・・え?



あの中に・・・園崎も・・・・・・・いた!?


「ほら弟くん、なに立ち止まってんの?時間無いって言ってるでしょ」


「走れ、義川弟」


「え?え?・・・・ちょっと!」


俺は立ち止まることも振り返ることすらも許されず、背中を押されながら追い立てられるように走るしかなかった


◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆


なんとか新刊、既刊それぞれの同人誌をイベントの開始時刻前に長テーブルの上へと配置を済ませることができた


さすが人気サークルというだけあって、開場と同時に人が押し寄せテーブル前は物凄いことになった


売り子を任された俺はなんとか客をさばくのにいっぱいいっぱいで、その間は園崎の事を考える余裕など無かった


ともあれ昼を少し回った頃には新刊が売り切れ、やっと一息つけるようになった


サークルスペース内から人の波をなんともなしに眺める


この会場内のどこかに園崎も来ているらしい


ちょっとでもいい・・・園崎に会いたい・・・


実はこの前のスポーツクラブでの一件以来、俺達は顔を合わせていない


あの日、園崎は俺をプールに突き飛ばして走り去った後、更衣室に閉じ篭ってしまった


これまでにも何回かあったパターンだ


だけど、あんな事態は初めてだったろうから死ぬほど恥ずかしかったに違いない


そんなわけで、もはやプールで遊ぶなんて状況じゃなくなってしまい、


「悪かったってば。ゆずっちのことはちゃんと僕がフォロー入れとくからさ」


なんてセリフでへらへら笑うサツキに後を任せるしかなくなり、俺はひとり帰宅を余儀なくされた


多少の心配はあったもののサツキのフォローがなんとかなったらしい


その日の夜、ちょうどベッドに入ったタイミングで園崎から電話がかかってきた


プールに突き落としたことをたどたどしい声で詫びてくる園崎に俺は、『別に気にしてないから』と言ってなだめた


やがて二言三言、言葉を交わしているうちに二人の間に流れる空気はいつも通りのものへと戻っていった


そして、園崎がその行動に至る原因となった出来事については、お互いにあくまでも触れないまま会話を終え電話を切った・・・


・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・。


その直後、爆発的に噴き上がり溢れ出す情欲


たった今まで耳元で聞こえていた園崎の声が、リアルさを伴って昼間の記憶を鮮明に呼び覚ます


それと呼応して硬度を上げていく肉体の一部


悶々としたそんな状態のまま大人しく眠れる訳などなく・・・


俺は荒ぶる情動を収めるため、やむをえず・・・あくまでやむをえず、その行為を始めた


あの時感じた園崎の熱を思い返しながら・・・


その熱の中に『自分の』を埋没させることを夢想して一心不乱にその行為に耽り、クタクタになってから眠りについた


その日から俺は自己嫌悪と罪悪感に苛まれながらも連夜それを繰り返してしまっている


・・・・・・・・・。


言い訳するようだが思春期男子的にはそれは不可避なことなんだ!


忘れようにも忘れられないあの熱は・・・女の子の・・・


好きな女の子のナマの××××・・・・


「うぐっ・・・」


血液がまた下に偏って目眩が・・・


軽く歪む視界で人が何重かにぼやける


この広い会場内には、いったい何万人くらいの人がいるんだろう


こんな中から園崎たった一人を見つけるなんて、正に砂浜でたった一つの砂粒を探すようなものだろう


今朝はバタバタと追い立てられるように家を出て来たから、財布はもちろんケータイも忘れてきた


まあ、持ってたところで園崎はケータイもスマホも持ってないからこちらから連絡は出来ないけど・・・


サツキと行動を共にしてるみたいだし、あいつのサークルスペースに行けばいるだろうが・・・俺はサツキのサークル名知らないし・・・・


聞いときゃよかったな・・・でもまあ、聞いてたところで覚えてなかったかもしれないが・・・


そんなことを悶々と考えているうちにも時は過ぎ去り、閉会の時間になってしまった


ここで会うのは諦めるしかないな


今夜思い切ってこっちから電話をしてみようか


でも下心あってガッついてるように思われないだろうか


そう思われるのが不安で俺から電話したことって一度も無いんだよな・・・


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  


「よし、撤収するぞ」


「お疲れー、この後は打ち上げだよー」


「今回は義川弟の働きがなかなか目を見張るものがあったね」


「すごい助かっちゃったよ、アリガト、弟クン」


姉さんを始め、その友人達が口々に労いの言葉をかけてくる


「いや、まあ・・・。これでもバイトで慣れてるし」


無理矢理連れてこられたとはいえ、こう手放しで感謝されると・・・まあ、悪い気はしない、かな


「うん。将来どこに出しても恥ずかしくない、立派な社畜になれるよ。あたしが保証する」


「・・・マリナさん、そんな保証は欲しくないです」


そんな掛け合いをしつつ、人の波に乗って出口に向かっていた時だった






「けーごっ!」






突然聞き覚えのある声が頭の上から降ってきた


その瞬間俺は、雑踏が止みシンと音が消えたような錯覚を覚えた




「けーごっ!!」




再びはっきりと聞こえたその恋い焦がれた声に、俺はハッとそちらを振り仰いだ


頭上に位置する動く歩道の手摺り部分から、身を乗り出すようにしてこちらを見下ろしていたのは・・・紛れもなく園崎、だった


「やっと・・・見つけた・・・」


その顔が安堵したように・・・泣きそうな表情にくしゃっと歪む


それを見た途端、俺の胸の奥で何かがきゅうんとなり苦しいような・・・嬉しいような色々な感情がないまぜになった


「なに?誰?」


「弟クンの知り合い?」


「なんなの?あの子」


周りの姉友一同が状況を掴めず疑問を口にする


そんな俺を取り巻く周囲の女達に気付いた園崎が目を剥き、まなじりを上げた


うぐ!?


急に背筋が凍るような感覚が・・・


「経吾!いま!そこ行く!待ってろ!!」


突然、園崎が興奮したように叫ぶと手摺りから身を乗り出した


「ちょ!?待て待て待て!お前そこから飛び降りる気か!?ちゃんと階段で来い!逃げやしないから」


俺は慌てて下から叫び返し園崎の行動を押し止める


「・・・っ、わ、わかった!待ってろよ!」


怒鳴るようにそう返事を返し人波を掻き分けるように進み出した姿を、下から見上げ胸を撫で下ろす


やれやれ・・・一瞬肝が冷えた


でも・・・


会えた・・・


ここで会えることは無いと諦めてたのに・・・


園崎はきっと、サツキから俺がここにいる事を聞いてずっと探してくれてたんだろう


俺は早々に諦めてしまったというのに・・・


きっと、丸一日・・・


なんか・・・すげえ感動だ・・・


・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・なんか大事なこと忘れてるような


なんだっけ?


俺が何か心にひっかかる物を感じて眉を寄せているところへ園崎が走り寄ってきた


だが・・・一歩手前で立ち止まると愕然とした表情で立ちすくむ


?・・・どうかしたのか?


「なになに?誰、このコ」


「弟クンの知り合いなの?」


園崎のただならない様子に困惑する俺に姉友たちが興味津々で聞いてくる


「・・・サツキの言う通りだった・・・しかも『両手に花』どころか『ハーレム化』してる!?・・・そ、そんな・・・あたしが数日・・・目を離した隙に・・・経吾が『年上女ハーレム』に!?・・・迂闊だった・・・こんな・・・こんなことになるなんて・・・明らかに非処女っぽい女もいる・・・まさか・・・もう既に・・・・・!?」


「えーと・・・、園崎?」


自分の両肩を抱くようにして、青ざめた顔で何かブツブツと呟きを漏らし始めた園崎


一体どうしたんだ?


「いや・・・例え既に他の女に汚されてたとしても・・・あたしの気持ちは変わらない・・・堪える・・・堪えてみせる・・・あたしには・・・経吾しか・・・いないから・・・・でも、経吾は?・・・やっぱり初めての相手は・・・特別な存在になる?・・・・例えその女を・・・亡き者にしても・・・心の中の存在までは消し去ることは・・・無理?・・・・・・・・・・いいえ・・・諦めない・・・諦めないって決めたじゃない・・・・・・・忘れさせる・・・どんなことをしても・・・あたしが・・・いちばんの・・・そんざいになる・・・・・かんきんして・・・あたしだけのこと・・・かんがえるようになるまで・・・ずっと・・・とじこめて・・・・」


「なに?どしたの、このコ」


「なーんかエキセントリックなコだねえ」


なんか・・・いつになく園崎の様子がヤバげな気が・・・


目に光が無くなって虚ろな感じになってるぞ


その時だった


「ふほぅ!?」


突然上がる謎の声


振り向くとそれは・・・眼鏡を真っ白に曇らせた姉さんだった


「思わず呼吸するの忘れて見入っちゃってたわ!うほほほほほ!!やっぱり実在していたのね?美少女肉人形ちゃんは!!」


あ、何忘れてたか思い出した


「・・・・とりあえず・・・・けえご・・・さらって・・・とじこめて・・・りょうじょく・・・・・・・って、ぎゃあああああああああああああ!!!!????」


「うっほおぉう!美少女肉人形ちゃんゲットおおおおおおお!」


「な、な、な?放せえええ!!!!!!」


突然姉さんが飛び付き、それにより正気を取り戻した園崎が悲鳴をあげる


「ウッホウッホ!スッゲええ匂いやああ!こんな汗ばんでんのにちっとも汗くさくないなんてどんだけ天使なん!?クンカクンカ」


「やぁぁぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


・・・ああもう


どうすんだこれ?


俺は目の前で繰り広げられる収拾の付かない事態への対応に窮する


「もう、しょうがないなあ、みぃねは・・・キョーコ」


「あいよ」


やれやれといった風にマリナさんがアカネさんに目配せを送る


それに応え頷きを返したアカネさんが姉さんの背後へと歩みよる


そして・・・


「みぃね、お前はまず落ち着け」


びしっ


ツッコミを入れる感覚で・・・首筋へと手刀を入れた!?


その途端、カクンと糸の切れた人形のように崩れ落ちる姉さん


「よーし、打ち上げするぞ。取り敢えず移動だ。みんなみぃねを運べ。それと・・・・お前も来るだろ?」


アカネさんはみんなに号令をかけた後、そう言って園崎へとニッと笑いかけた


◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆


「よーしみんな、グラスは行き渡ったか?じゃ乾杯すんぞ。・・・みんな一日お疲れー、かんぱーい!」


「「「かんぱーい!」」」


アカネさんの音頭に皆が一斉にグラスを掲げる


俺と園崎、それと・・・未だ気を失ったままの姉さんを除いて


結局あれから俺達は園崎を伴って打ち上げのため予約を入れていた居酒屋へと移動した


園崎はアカネさんが貸したスマホで『俺を見つける事が出来たこと』『今日は俺達と帰ること』をサツキに伝えてからここに一緒について来た


因みに今の状況は・・・


場所は衝立で仕切られた居酒屋の一角


板張りの床で、テーブルは足を入れて座る掘り炬燵タイプだ


配置は俺と園崎が向かい合わせ


園崎の両脇にアカネさんとマリナさん、俺の隣に失神したままの姉さんが座らされていて、その周りをその他の姉友たちが固めていた


この集まりの中で一番の部外者ともいえる俺と園崎を中心に据えたこの配置・・・


絶対俺達のこと『酒の肴』にするつもりだ!


園崎、失言には気をつけてくれよ?こいつら皆、タチの悪い奴らなんだから

そんな思いを込め目で語りかけるが・・・


園崎は無言で険しい表情をしたままだった


なんか・・・すげえ不機嫌そうだ


「で?お前らどういう関係なんだ?付き合ってんのか?もしかして」


アカネさんがいきなりストレートに聞いてきて俺は焦る


他の女共も興味津々という視線を送ってきている


「ア、アカネさん!お、俺達は別に付き合ってなんか・・・」


まあ、恋人として付き合えたらスゲー嬉しいけど・・・って、うおっ!?


園崎にすげえ目つきで睨まれた!


「ず、ず、ず、随分とムキになって否定するね・・・そ、それにそのひとのこと・・・し、下の名前なんかで呼んで・・・そ、そんなに・・した、親しいんだ?」


微かに口元に笑みを浮かべているものの、頬がヒクヒクと震えてて怖え・・・


「ち、違う違う。アカネさんの『アカネ』は苗字で・・・姉さんの友達だから昔からの知り合いではあるけど特別親しいってわけじゃ・・・今日会ったのも数年ぶりだし・・・」


震える声で喋る園崎に根源的な恐怖を感じながら、俺は慌てて説明を入れる


・・・なんで俺、浮気がバレた男みたいになってんだ?


「あ・・・そ、そなんだ・・・」


俺の説明に園崎の刺々しい雰囲気が和らぐ


・・・はあ、よかった・・・って、だからなんで俺は浮気男みたいに胸を撫で下ろしてんだ


「ねえねえ、弟くん」


不意にマリナさんが俺を呼んだ


「なんですか、マリナさ・・・うぉう!?」


また園崎が睨んできた!なんで・・・・!?


そんな園崎の様子にマリナさんがニマニマとした笑みを浮かべている


この人、今のわざと・・・・!?ひでえ!


「えーと、園崎、さん、ね?あたしは鞠名祐子 (まりなゆうこ)。そこで死んでる彼のお姉さんのみぃねとは高校の頃からの付き合いなの。よろしくね」


「え?・・・・あ、は、はい。そ、園崎柚葉・・・です。よろしく、お願いします」


急に真面目な顔で自己紹介され、園崎が思わずそう素で返す


・・・さすがマリナさん。タチは悪いけど深追いせずフォローに回るとは・・・


「アタシは赤根京子 (あかねきょうこ)。マリナと同じくソイツの姉貴の友達だ」


口の端にビールの泡を付けたままアカネさんがニカッと笑い、そう言った


・・・・てか、もうジョッキが空なんだが


「とりあえず乾杯はビールだけどやっぱアタシはポン酒かなー。・・・・すいませーん、日本酒。冷やで」


アカネさん、ペース早過ぎないか・・・


「アカネは相変わらずの酒豪やねえ。・・・ウチは古寺早百合 (こでらさゆり)同じくソレの姉貴のツレや」


「堀川深雪 (ほりかわみゆき)よ。・・・ここにはいないけどあと一人を加えてみんな高校の元クラスメイトなの。・・・あたしらにとって弟クンは『みんなの弟』みたいなモノかな」


みんなそれぞれに自己紹介をする


ちなみにここにいないあと一人とは今は漫画家として仕事しているカスガさんのことだ


締め切りに追われる毎日らしく、今日もイベント会場には顔を出したが早々に帰ってしまいこの場には来ていない


久しぶりにみんなと呑みたかったのに・・・なんて後ろ髪引かれる顔しながら泣く泣く去っていった


・・・そう言えば園崎がハマっていた『ダークネスサーガ』の作画担当はカスガさんだったな


この場では・・・伏せておいた方がいいような気がするな・・・


俺は園崎の様子をチラリと窺いつつそう思った


取り敢えず皆の自己紹介により園崎の纏っていた険悪なオーラも無くなったみたいだ


俺は密かに胸を撫で下ろす


・・・・。


ん?


なんか忘れてる気がする



「はーい!そしてこのわたしがけーくんの姉、義川美祢 (みね)でーす」



突然隣から自己紹介の声が上がる


あ、復活したんだ姉さん。忘れてた


「んふふふふー、よろしくね。美少女肉人形ちゃん」


「うぐ・・・、そ、園崎です」


園崎がびくりと身を震わせて名を訂正する


なんかすっかり警戒してるな


園崎をここまで怯えさせるとは・・・さすが姉さんといったところか


しかしまあ、テーブルの反対側同士に座らせてるし、取り敢えず当面の危険はないだろう


そう俺が安堵にホッと息をついた時だった、






「ま、姉っていっても血は繋がってないんだけどねっ」






姉さんが脳天気な声でそう言った



ピシッ!!



その刹那、空気の割れる音が聞こえた気がした


「・・・・なに、それ・・・あたし聞いてない・・・経吾・・・・・・・・・・・・・・どゆこと?」


感情のない瞳と表情で頭を45度くらいに傾けた園崎が抑揚のない声で尋ねてくる


「いや、その、別に秘密にしてたとか、そーゆんじゃなくてだな」


俺はかつてないくらいの恐怖を感じながら必死に言葉を絞り出す


落ち着け俺、俺にやましい事なんかなにもない


堂々としてりゃいいんだ


「でもさあ、『血の繋がらない女きょうだい』とかベタな男子向けマンガみたいなシチュエーションだよねー。設定としちゃ最強チートクラスの存在なんじゃないの?」


マリナさんが煽るような言葉を投下してくる


『あたしがトラブルメーカー?違うわ。メイクするのはみぃね。あたしはただ彼女が上げたトラブルという名のボールを確実に拾って次に繋ぐだけ・・・』


昔、そんなゲスいこと言ってたのを聞いたことを思い出した


ホント、この人達一緒にしとくと相乗効果で際限無く被害拡げてくよな


「お、俺の母さんと姉さんの親父さんが再婚して・・・それできょうだいになって・・・こ、子供の頃だから・・・もうほとんど感覚は、実のきょうだいと同じみたいなモンというか・・・と、とにかくベタなマンガみたいなそんなアレじゃないから!」


俺は激しく視線をブレさせながらも必死に状況説明を行う


そして恐る恐る視線を園崎に戻す


園崎は何か只ならぬ雰囲気で顔を伏せていた


俺は極度の緊張で喉がカラカラになる感覚のまま固唾を飲む



「なら・・・・たしは・・・ごの・・・とに・・・る・・・・・」



その唇が微かに動き何か呟きを漏らした


「・・・え?」


なんだって?


よく聞き取れなかった


しかし次の瞬間、園崎は突然カバッと顔を上げると・・・



「なら!


あたしは!


経吾の!



妹になるッ!!!!!!」



そう、高らかに・・・宣言した


・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


いやいやいやいや!


なんだそれ!?


意味わかんねえ!!


姉さん始め他の一同もポカンとした顔をしている


それはそうだ


この宣言を実現するための方法としては、お互いの親同士が再婚するしかない


園崎の父親は離婚して一人身らしいけど俺の母さんはすでに再婚してる


現代日本には重婚の制度はないし、普通に考えても絶対無理な話だ


「・・・・・・義兄弟だ」


園崎がポツリと呟くように言った


「は?」


「盃を交わし『義兄弟』の契りを結ぶ!そうやって『義兄弟』となった二人は血を分けた兄弟以上の絆で結ばれるのだ!」


盃?


義兄弟?


「って極道かよ!?」


俺は思わずそうツッコむが、園崎は無言のままテーブルの上にあった未使用の醤油用の小皿をつかみ取った


そしてもう片方の手では・・・アカネさんの前にたったいま置かれたばかりの徳利を掴む


みんなが呆気に取られ見ている前で園崎はその徳利から小皿へとその中身の液体を少量注いだ


「まずは経吾からだ・・・飲め!」


そう言って目の前へと小皿を突き出してくる


俺は気圧されて思わず受け取るが・・・当然そこに注がれている透明な液体は未成年が飲んではいけない系の液体である


「えーと・・・・」


俺は渡された小皿を手に周りを見回すが、みんな事の成り行きを無言で見守っている


再び視線を園崎に戻すと真に迫った瞳と目が合った


断れない雰囲気に負け俺は諦めてそれを口元へと運ぶ


「まて、経吾。1、2、3と三回に分けて飲むんだ。その際、最初の二回は軽く口をつけるだけ、三回目に全て飲み干せ」


・・・・細かいな


「わ、判ったよ」


ここは言う通りにするしかあるまい・・・


誰も止めないし・・・


くいっくいっ・・・くいっ、こくん


指示通りの飲み方で液体を飲み干す


うぐ・・・喉が焼けるみたいにジリジリする


初めて口にするそれは一口とはいえ未知の刺激で、俺は危うくむせそうになった


空になった小皿を返すと、園崎はそれを受け取り、俺に徳利の方を差し出してきた


・・・注げってことか


ちょろっ


受け取った徳利から一口分の液体を注ぐ


園崎もまた、俺がしたのと同じやり方でそれを飲み干す


飲み込む瞬間僅かに眉を歪めた様子から、園崎も初めて口にしたのだろう


「まだだ・・・経吾・・・、これを3セット繰り返すことで儀式は完了する・・・」


「え?あと2回も飲むのか?」


その言葉にたじろぐが、いまさら中途で止めるわけにもいかず、俺は観念して従った


・・・・・・・・


「ふ・・・は・・・・」


やっと三杯目を飲み干した園崎が熱の篭った吐息を漏らす


ほんのりと頬と目尻辺りが赤らんで・・・妙に色っぽい


「くふ、くふふふ・・・・・」


やり終えた園崎は沸き上がるような含み笑いを漏らす


そしてバッと顔を上げると、


「儀式は成った!これでボクと経吾は『義兄弟』!血を分けた兄弟以上の絆で結ばれた!!」


高らかにそう宣言した


「・・・まあ、確かに正式な『三々九度の固めの儀』やったね」


コデラさんが今しがたおこなった儀式にお墨付きをつける


そうか『三々九度』っていうんだ、さっきの


成る程、三回を3セットだから3×3が9(さざんがく)で『三々九度』・・・・・って、さんさんくどぉ!?


「それって確か・・・」


「うん、結婚式でもやるね。神式の」


「あれも縁を固める儀式やからね」


「狙ってやってるとしたらかなりの策士だね、この子」


「まあなんにせよ正式な手順で『神様』の前で誓っちゃったんだから有効だよね」


そう言って一同が一斉に視線を向けた先には・・・この店の神棚があった


「ボクとけーごは『親友』を超え『義兄弟』という次なるステージへと進んだ!そう!我等は運命共同体!生まれし時は違えども死する時は同じだ!」


園崎が興奮した声でまくし立てる


・・・なんか言ってることがめちゃくちゃになってきてるぞ


園崎、もしかして酔ってる?


この辺で止めとかないと変な暴走を始めかねないな


義兄弟とか冗談にもほどがある


「あ、あのな、園崎」


「なあに?



お兄ちゃん」



!!!!?


うおう!


輝くような笑顔でそう呼ばれ胸の奥が『ずきゅん』となって何かが鷲掴みにされた


視界がぐらりと揺れるような精神的衝撃


ヤベえ


超ときめく


これ反則的な破壊力だぞ


今まで『妹萌え』なんて言葉を聞いてもいまいちピンとこなかったが・・・


かわいい女の子に面と向かって『お兄ちゃん』なんて呼ばれるとスゲエ破壊力だ


くらくらとする頭を振ってなんとか正気を保つ


よし、なんとか踏み留まった


・・・あれ?


再び目を向けると真正面に座っていたはずの園崎の姿が・・・消えてる?


一体どこに・・・?


「そ、園崎?」


困惑した声でそう名を呼ぶと・・・


「呼んだ?お兄ちゃん」


「うわっ!?」


いきなり目の前に園崎が現れた


一瞬遅れてから、園崎が子供がするみたいにテーブルの下を潜って俺の両足の間から現れたことを理解する


「えへ、お兄ちゃん抱っこして」


そんな甘えた声で俺の首へと両腕を回してくる


・・・完全に『妹キャラ』の設定に入り込んでる


園崎は自分で設定したキャラに入り込む傾向が強いとはいえ・・・今日のこの『妹』設定は度を超えてやたらと甘えてくるぞ!?


周囲のことなどまるで気にしてないどころか、むしろ見せつけるかのように・・・


その時、園崎の視線が俺の隣に座る姉さんに向いてる事に気付いた


挑みかかるような・・・挑戦的な眼差し


「くふふふ、どうだ?『萌え設定』において『血の繋がらない妹』は『血の繋がらない姉』のステータスを大きく凌駕する上位の存在・・・ボクの・・・勝ちだ!!!」


そう言うと勝ち誇ったドヤ顔でニヤリと笑った



「そ・・・んな・・・美少女肉人形ちゃんが・・・けーくんの・・・妹?」



姉さんが愕然とした表情で声を震わせる


「そうだよね?お兄ちゃんも妹のがいいって思うでしょ?」


ショックを受ける姉さんにさらに見せ付けるようにそう言って園崎が俺の胸に頬を擦り寄せる


「そ、そんな・・・そんなことって・・・」


「あ、あのな姉さん、この子の言う事をマジに・・・・」


呆然と唇を震わす姉さんに俺は弛みそうになる頬でそう言葉を掛けかけるが・・・



「つ、つまりそれって・・・!」



姉さんの叫びに遮られた





「あたしの妹でもあるってことよね!」





「・・・・へ?」


園崎が想定外の展開に呆けた声を漏らす


そうきたか!


さすが姉さん


一枚上手だ


「ち、違っ・・・『義兄弟』は個人間の繋がりで・・・きゃう!?」


「ひょひょひょ、愛いのお愛いのお。さあ、遠慮なく『お姉ちゃん』と呼びなさい。思う存分甘えていらっしゃい!!」


「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!!」


居酒屋の店内に園崎の悲鳴が響き渡る


だが酔っぱらい達の喧噪にかき消され、周りの客で気にする者は誰一人いなかった


(つづく)

【あとがき】


やっと…


やっと更新できましたああああああああ


一ヶ月以上お待たせしてしまい申し訳ありません


8月中は暑くて死んでました…


リアルの夏休みはとっくに終わったのに物語中はやっと後半戦です


それに今回は前半部分のストーリーがなかなか書けなくてかなり苦労しました


『居酒屋で義兄妹の契り』っていうネタは一年くらい前に出来たシチュエーションだったんですが、そこにどうやって繋げるかが考えつかなくて…


ブツ切りになってる単体のシーンをなんとかストーリーとして一本に纏めるのにいつも苦労してます


これからも滞ることがあると思いますが、完結といえるところまで書き上げるまでどうぞよろしくお付き合いのほどお願いします


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