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プロミステイク ~俺と彼女の中二病的恋愛遊戯~  作者: 阿津沼一成
第2章 サマータイム・ラプソディ
67/90

第67話 Summer Date act.3 skin-ship LV.2

※若干の性的表現が含まれております

ご注意下さい

スポーツクラブの館内はやけに静まり返っていた


もしかして定休日とかじゃないんだろうか?

でもドアは開いてたしな・・・


そんなふうに思いつつ誰もいないフロアを見回しながら園崎の後についてフロントへと歩いていく


しかし、カウンター内には誰もいない


園崎は設置されていた呼び出しボタンを押すと、手に入れたというチケットをバックから取り出した


「えーとさ、園崎。・・・このチケットって」


「ん?・・・ああ、実はサツキに貰ったんだ。今日、アイツの部屋を出る時にな。『まだもうしばらく手伝って貰うことになるかラ、少し涼んできなヨ。こレ、一枚しかないんだけド、よかったラ』・・・なんて言って渡してきたんだ」


「え?一枚だけなのか?」


「ああ、だがほら・・・ここをよく見てみろ。小さく『2名様までご利用できます』って書いてあるだろ?」


「ホントだ。よく気が付いたな園崎」


言われてみれば確かに気を付けないと見落としてしまうくらいの表記で記載されている


となるとやはりサツキはこれを『園崎一人分』として渡してきたようだ


・・・俺の考え過ぎか

一瞬なにかの罠のような気がしたんだが・・・


ほどなくしてカウンター奥の扉から受付の若い女性が出てきた


園崎がチケットを見せると笑顔で受付の手続きを始める


・・・何故だろう。その笑顔が微妙に固い気がするんだが・・・気のせいだよな


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  


「じゃあこれ。遠慮なく使ってくれ」


更衣室の前で園崎が笑顔と共に水着が入っていると思われるバックを差し出してきた


俺は複雑な表情でそれを受け取る


「・・・なあ、園崎。これ、買い取るわけにはいかないか?」


「なんで?タダで貸してあげてるんだし、けーごに損はないだろう?」


「いや・・・金銭的な問題じゃなくてな・・・」


金では買えない大事な何かを差し出してる気がするんだよ


「ほら例えばだ。もし俺が女性用の水着を持ってきて『園崎はこの水着を使え。そして使い終わったら俺に返せ』って言ったらどうする?」


俺は具体的な例を挙げる事で自分の心情の理解を求めた


「えっ!・・・けーご・・・そう、したいの?」


「え?」


「・・・・け、けーごが・・・どうしてもっていうなら・・・あたしは・・・」


「って、例え話だ!例え話!なに前向きに検討してんだよ!?」


俯いてモゴモゴしだした園崎に俺は慌てて訂正を入れる


そんな交渉を本気で持ち掛けたら変態の烙印を押されてしまう


「・・・はあ、もういいよ。じゃあ更衣室出たとこで待ち合わせな」


俺は諦め混じりにそう言うと男子更衣室のドアを開けた


更衣室内で受け取ったバックを開けると、中には大判のタオルとこのまえ俺が履いた水着が入っていた


・・・なんかふんわりとイイ匂いが立ちのぼってくるぞ


これは園崎が洗濯に使った市販の洗剤の匂いなんだろうが・・・すごく特別な香りのような気分になる


水着の方はともかく、このタオルは園崎が家で使ってるものだろうか?


例えば風呂上がりにその全身を拭くために使ってるとか・・・


って、いかんいかん


変態か俺は


気を取り直しタオルをロッカーにしまうと、手早く水着へと着替えを済ませた


入ってきた方と反対側にあるドアを開けて更衣室を出る


おおっ!?


踏み出したプールサイドの床に微妙な弾力感がある


硬質スポンジみたいな素材で出来てるみたいだ


なるほど、転んでも怪我をしないようにという配慮なんだろうな


小学校のプールサイドですっころんで膝を擦りむいた経験がある俺としては非常に素晴らしく思える


ガードするものがほとんど無い状態に加え、プールの水でふやけて柔らかくなった素肌でコンクリート製の床に転ぶのは結構シャレにならないからな


そんなことを考えつつ周囲を見回すが・・・やはりここにも人っ子一人いない


俺にとって男なんかはいないに越したことはないんだが・・・さすがにこうまで誰もいないと違和感を感じざるを得ない


妙な不自然さに不安感を募らせていたところに・・・


「お待たセー」


背中越しに声がかかる


俺はwktkな心情をクールに隠し、冷静を心がけた仕種で後ろを振り返った


おおっ!?


おおおおおおおおおおおおおおお!


目に飛び込んできたのは白い肌にコントラストくっきりな黒い水着


それも惜し気もなく肌を晒した大胆なビキニだ


・・・・でも・・・・・あれ?


園崎ちょっと胸、減った?


「やだなア、そんなに熱い視線で見られるとちょっト照れるじゃないカ」


そんな明らかに園崎と異なる喋り方に視線を上げその顔を確認する


「って、サツキじゃねえかよ!?なんでここにいる!?」


目の前に立つ、口の端を上げニンマリとした笑みを浮かべているゴスメイク女は紛れもなく園崎の友人、サツキメイだった


「お前・・・原稿で忙しいんじゃなかったのかよ!?」


園崎の話を聞く限りコイツに邪魔される事はないだろうとタカをくくっていたのだが・・・


「キヒ・・・、だからサ。君達にまた協力して貰おうと思ってネ」


「協力?・・・・・・・・・!?」


俺はその言葉に眉を寄せるが・・・サツキが手にしている物を見てハッと目を見開く


・・・・スケッチ・・・ブック?


「・・・・お前・・・・・まさか!?」


「キヒ・・・そノまさかで間違いないと思うヨ」


俺が察したことを見て取ったサツキがニヤリと悪魔的な笑みを浮かべた


「またポーズ人形をさせるつもりか?そんなの聞いてねえぞ!」


「だろうネ。言ってないシ」


しれっとそんな事を言うサツキ


やはり園崎は何も知らされていないのだろう


「あのチケットはやっぱり罠だったんだな?」


「キヒヒ・・・1時間程度で作っタにしてはいい出来だったロ?」


俺はサツキのセリフに愕然となる


「ぎ、偽造だったのかよ!?」


「やだなア、正真正銘ホンモノさ。それモ経営者の娘が自ら作製した一点モノだヨ」


しゃあしゃあとそんなセリフでニヤニヤと笑うサツキは正に悪役そのものだった


「あのゆずっちに気付かれなかったってことハ僕の『イラレ』と『フォトショ』の技術もまあまあのレベルになったってことかナ。・・・結構頭も使ったんだヨ。『二名まで入れることに気付かずゆずっち一人分のつもりであげた』と思わせる為ニ、あえて判りにくく『二名様まで』って表記したりネ」


・・・・なんて巧妙なやり口なんだ


サツキの裏の裏をかく手管に冷や汗が流れる


「それにしてもゆずっち遅いなア。『早く来ないと脱いだら意外と凄い僕のナイスなバディでよっしぃのことゆーわくしちゃうゾ』って脅しといたんだけド・・・。まだ踏ん切りつかないのかナ」


その時・・・・・


バンッ!!


女子更衣室のドアが大きな音を立て勢いよく開いた


そして・・・


「サ、サ、サ、サツキィイイイイイイイイイイイ!!!!」


怒りに震える声を上げた園崎が飛び出してきた


「なななななななんだよこの水着は!?僕の水着はどこへやったんだ!?」


怒りで顔を真っ赤にした園崎のその姿に俺は思わず絶句した


園崎が身に着けていたのは色鮮やかなオレンジ色の・・・・



極端に布面積の少ない水着、マイクロビキニだった



鼻の奥に殴られたような『ズン』という衝撃が走る


ヤバい・・・鼻血出そう・・・・


血流が頭と下半身の一部に極端に偏り、意識が飛びそうになるのをなんとか踏み止まった


あぶねえ


脳の機能に深刻なダメージを負うところだった・・・


「さすがだネ、ゆずっち。よーく似合ってるヨ」


「ふ、ふ、ふ、ふざけるなよサツキ!僕の水着返せ!」


ニヤニヤ笑いのサツキに園崎が食ってかかる


しかしサツキはどこ吹く風だ


「まあまア・・・、今日は定休日で他の客はいないし別にいいだロ?それニ・・・よっしぃも大喜びみたいだよ?」


「・・・・・え?」


「う」


急に引き合いに出され固まる俺と振り向いた園崎の目が合う


「え?あ?う?・・・・け、けーご・・・う、嬉しいの?」


園崎は慌てたように落ち着きなく左右に目を動かしたあと・・・・じっと俺を見つめて確認を取っきた


「えと、その、それは・・・」


1.嬉しくねえ


ダメだろ!?その答えは


2.うは。超嬉しいッス。園崎タマンネエ!


もっとダメだって!


「ほラゆずっち。よっしぃは素直じゃないんだからサ。正直なこと言うわけないだロ?・・・でも、目は釘付けダ。それが何よりの答えじゃないカ?」


「う・・・・」


核心を突くサツキのセリフに俺は言葉が詰まる


「・・・そ、そか・・・・じゃ、じゃあ・・・頑張る・・・」


もじもじしながら園崎が承諾の表明をするとサツキが『してやったり』という顔で笑った


今日の俺達は・・・まるきりサツキの手の平の上だった


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  


「じゃア、そろそろ始めるヨ。まア今日はそんなハードなのは要求しないから安心しなっテ」


サツキはそう言って笑うが、もちろんこの女の言うことを額面通りに受け取ることなど出来ない


油断は禁物だ


それにこの二人は相性的にサツキの方が一枚上手のようで、園崎は知らず知らずのうちにいいように動かされてしまう傾向にある


ここは俺がしっかりしないと・・・


「で、俺達は何をすればいいんだ?納得出来ないことは断固拒否するぞ?」


俺は前もって釘を刺すべく、そう言った


「キヒ・・・、いま描いてるのは一般向けの『ベタな学園ラブコメ』でネ。18禁的な画面は御法度なんダ。て、ことでやってもらうのもこの前みたいな『カラミ』じゃないから安心しなヨ」


「そ、そうなのか?」


ほっとしたような・・・残念なよ・・・いやいやいや、残念がってない残念がってない


俺は頭をブンブン振って邪念を振り払う


「舞台設定は海水浴にやって来た砂浜。人物設定はツンデレ幼なじみとヘタレ主人公ダ。ハマリ役だロ?」


「ありがちな設定だな・・・って誰がヘタレ主人公だ!だいいちポーズ取るだけなのに人物設定必要か?」


「性格設定はその仕種ヲ反映させるためノ重要な情報だロ?」


「・・・そういうもんか?」


マズイな。知らず俺もサツキのペースに引き込まれつつあるような・・・


「じゃ早速お願いするヨ。僕としてもサッサとデッサンを終わらせテ原稿にかかりたいんダ」


「お、おう・・・」


まあ、こっちとしてもサツキにはサッサと退場してもらいたいし、素直に従って手早く終わらせよう


「これからやって貰うのはラブコメにおけル海水浴イベント定番のお約束展開・・・」


サツキが勿体振るように目をつぶり一度言葉を切る


そしてカッと見開くと



「彼女のカラダにサンオイルぬりぬりダ!」



と宣言した


「サンオイル・・・?」(俺)


「ぬりぬり・・・?」(園崎)


思わず俺と園崎、それぞれサツキの言葉を反芻する


俺の脳裏に過去に読んだマンガや、見たことのあるアニメのシーンが再生される


あれを・・・俺達に・・・・やれと?


「え?え?・・・けーごが・・・あたしのからだに・・・てのひらで・・・・そんな嬉・・・・困る・・・・」


園崎が両手を赤くなった頬に当て俯く


た、確かにそれは『ラブコメ』、『海水浴』ときたらお決まりのお約束シーンではあるが・・・


「お、俺が・・・園崎に・・・それをやるのか?」


「そうなるネ。まあ逆パターンも面白そうだけド今回は王道でいくヨ。さ、わかったらサッサと準備してくレ」


サツキがそう言いながらスケッチブックをめくる


「いや、でもな・・・」


「何か問題でモ?ゆずっちはもう準備してるヨ」


「え?」


サツキの言葉に目を移すと、傍らにいた園崎は床面に大判のバスタオルを敷いて膝をついていた


「け、経吾。僕は早く部活がしたい。さ、さっさと済ますぞ」


園崎は俺と目が合うと、慌てたように視線を逸らせながらそう言った


「わ、わかった」


園崎に異論が無いのであれば俺が拒む理由など無い


俺がその場へ膝をつくと同時に、園崎が敷いたタオルの上へと俯せに横たわった


おおっ!?


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!


園崎の豊満な胸の膨らみ


それが自らの身体に押し潰される形になり、側面から『むにっ』とハミ出してくる


は、破壊力ありすぎだぞ


頭がくらくらする


「?・・・・・どうした経吾?」


「なんでもありません」


園崎の不思議そうな問いかけに、俺は慌てて腰を引いた体勢で座り直す


言うまでもなく『マイJr.』がのっぴきならない状態へとフォームチェンジしてきたからだ


同時に脳は目に映る視覚情報の無圧縮高画質モードでの脳内録画を開始する


「じゃあこれ使ってくレ。サンオイルが手に入らなかったんでネ、別の物を用意したヨ」


そんな事を言いながらサツキが放り投げてきた物を右手でキャッチする


「って、サツキイイィイイイイイイー!!なんじゃこりゃああああ!!!!!」


俺は受け取った『ぺ●』と書かれたラベルの貼ってあるプラスチックボトルを掴み、全力で叫んだ


だが、俺の絶叫にも近いツッコミに対してサツキはしれっとした顔で説明を続ける


「それを代用品にしてくレ。海藻由来の天然成分を使用してるからお肌にもやさしいゾ」


「そ、そういう事を言ってんじゃなくてな・・・」


「そもそもポーズをとるだけで日焼けするのを目的としてるわけじゃないんだかラ本物を使う必要はないだロ?だいたいサンオイルだったラ石鹸でよく洗わないと落ちないけドそれなら水で流すだけで簡単に落とすことができル。合理的だロ?」


「う・・・、そう、なのか?」


理詰めで言葉を重ねられ、俺は反論する論拠が見つからない


「わ、わかったよ」


釈然とはしないものの、ここで口論していても話は進まない


俺は腹をくくり、そのボトルのフタを開けた


ぶびゅ


中身を少量、手の平に取る


ぬめりのある透明な液体だ


「じゃあ園崎・・・やるぞ?」


「・・・う、うん」


俺の上擦った声での確認に対し、園崎の返答も緊張してるのか少し固い


耳の中で心臓の動悸が耳鳴りのように鳴っている中、伸ばした手を

園崎の背中へと・・・


ぺと


「ひゃうっ!?」


園崎が軽い悲鳴を上げる


「そ、園崎。大丈夫か?」


「へ、平気・・・・、つ、冷たくてちょっとびっくりしただけだから・・・」


「そ、そっか・・・ゴメンな」


悪いことをしたな


手の平で少し温めてからにすればよかった


「じゃ・・・塗るな?」


「ん。わかった」


園崎が頷いたのを確認してから、その背中にあてた手の平をゆっくりと滑らせ始める


ぬる・・・ぬる・・・


これ・・・すげえヌルヌルするな・・・


「ん・・・・んぅ・・・・・・」


園崎が微かな吐息を漏らす


「園崎・・・平気か?」


「ん。平気。ちょっとくすぐったいだけだから・・・・」


「そっか・・・」


「また、くすぐったくて、声、出ちゃうかもしれない、けど・・・イヤじゃない、から・・・大丈夫だよ・・・本当に嫌だったら・・・ちゃんと嫌だって、言うから」


「あ、ああ・・・わかった。無理、するなよ?」


再び手を動かし始める


ついさっき林の中で・・・服の上から触った園崎の背中の凹凸の感触を、俺はいま直に肌で感じている


・・・まるで・・・・夢のようだ・・・・


肩甲骨や背筋の窪みを手の平全体で堪能する


チラリとサツキの様子を伺うと、構図を吟味しているようで俺達の周りをウロウロと歩き回っていた


「・・・・よシ、この辺りかナ」


やがてそんな独り言とともに座り込むと、スケッチブックへと鉛筆を走らせ始める


スケッチに集中しだしたサツキは人が変わったような真剣な表情になり、それきり黙り込んでしまった


えーと・・・・肩も、かな


小さくて丸い肩へと包み込むように優しく手の平を乗せる


そして掌の真ん中を使って弧を描くように愛撫・・・もとい液体を塗り広げる作業を行う


「ん・・・・ふぅん・・・ぁう・・・・・・・」


顔を伏せた園崎の口元から鼻にかかった吐息が漏れ聞こえる


くすぐったそうな・・・どこか艶っぽいような・・・


その声が俺の中の邪な燻りに再び火をつける


・・・・・・・。


指先を曲げ・・・5本の指それぞれの先端で肌に触れる


そして軽い力加減で・・・ゆっくりと・・・蠢かせ始める


「んぅっ!?・・・・・んっ・・・ぅぅん・・・・・・」


吐息と共に軽く身を震わす園崎


そんな園崎の反応に俺の中の嗜虐心がどんどん膨らんでいく


「園崎・・・平気か?嫌じゃないか?」


俺はそう白々しく園崎に小声で尋ねた


「ん・・・大丈…夫。平気、だよ・・・・・・・・・・・んっ!?」


予想通りの答え・・・それを聞き終えないうちに親指の先でうなじをくすぐりその反応を愉しむ


やっぱ、ここは弱いんだな、園崎・・・この辺は・・・どうだろ?


「ふ・・・ん・・・ぁ・・ぁあ・・・・」


ヌルヌルの液体で指を滑らせるよう動かし、特に敏感なポイントを探索する


「ん・・・・ふ・・・・んぅ・・・・・・あっ・・」


俺の指の動きに合わせ園崎が楽器のように艶やかな音色を奏でる・・・


脳が蕩けそうな愉悦感に満ちていく


おっと・・・イタズラも程々にしないと・・・


やり過ぎないうちに指での攻めを中止する


えっと・・・ここはもういいかな?


水着の紐を境界にして背中の上半分は終わった


俺は一度園崎から手を離し一呼吸したあと、ボトルから新しい液体を手の平へと補充する


それをしばらく体温に馴染ませた後・・・今度は背中の下半分へと・・・


「んっ」


触れた瞬間、先程よりやや小さい声での吐息が漏れる


冷たくは・・・なかったはずだ・・・・


再びその液体を塗り広げる行為を再開する


手の平全体を使い背中の中心辺りから腰の位置へ・・・


ゆっくりと下降させ・・・・下の水着手前で折り返し・・・また背中の中心へ


背筋のレールに沿って手の平を滑らす


「ん・・・・ふ・・・・・」


園崎が鼻にかかった吐息と共に腰をもぞもぞと動かし、視界の端で丸い双丘が揺れ動くのが見えた


努めて見ないようにしていたものの・・・


俺の手の平の折り返し地点のすぐ向こうには、芸術的なまでに優美な曲面で造成された愛らしい丘陵地帯がある


その上、園崎がいま身につけているオレンジ色の水着は極端なまでに布面積が少なく、その白く丸い肌は大部分が露出していた


ごきゅ


思わず喉が鳴る


・・・ここも…か?・・・・いや、それはさすがに・・・マズイ…よな?


俺はその部分を横目でチラチラと盗み見しつつ、下半身の水着手前で右手をウロウロさせていた


「・・・う・・・あ・・・じら…な…で・・・・」


顔を伏せた園崎の唇からどこか切なげな吐息が漏れ、二本の脚がもじもじと擦れ動く


「ほら、よっしぃ。なに止まってんノ?早くしなヨ」


スケッチブックから顔を上げたサツキが先を促してきた


うぐ・・・。マジか?


マジでそこまでしちまっていいのか?


確かにさっき林の中で、俺は『そこ』に触れたい衝動に突き動かされてはいた


だがそれは『服の上からちょっと撫でるくらい』という程度のものだった


さすがに『素肌に直接』なんてガッツリした触れ方を求めていたわけじゃ・・・


俺は踏ん切りがつかず、右手を腰からその部分のごく手前までの間を行ったり来たりとさせる


「さすがよっしぃ。そのヘタレ過ぎともいえる躊躇っぷりはもはや高度な焦らしテクレベルだね」


サツキがやれやれといった表情で肩を竦める


「け…ご・・・はや…く・・・・・・こ、これじゃ・・・へびの・・・なまごろし・・・」


呻くような声で園崎が身をよじる


ぴんと伸ばした足先が、敷いたタオルをくしゃくしゃと揉むようにうごめいていた


え?


むしろこのままいつまでも触らないでいる方が悪いこと・・・なのか?


「・・・つらいよ・・・せつないよ・・・・けーごぉ・・・・」


園崎の声が涙声のような響きを含んできて・・・・


その声に俺は突き動かされるように・・・


右手を・・・


その白く丸い肌の上へと・・・




ふか・・・むにっ・・・




う・・・わ・・・・


・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


あ、ヤバい


いま一瞬意識が飛んだ


そこに触れた瞬間、手の平の神経が感じ取った触感情報は電流のように俺の腕を駆け上がり脳を直撃した


それはこれまでの人生の中で一度も経験したことのないほどの甘美な感触


この世にこれほど魂を揺さ振る至高の手触りが存在していたとは・・・


優しく・・・軽く触れているつもりなのだが・・・腕の筋肉が強張って自分がどの程度の力加減で触れているのかわからない


園崎を嫌がらせてないかその様子を窺う


園崎は・・・伏せた顔の両側で敷いたタオルをぎゅっと握り、身体を硬くさせていた


「ん・・・・・ふ・・ぅ・・・・・・・・・・・」


そしてしばらくのち、長い吐息を吐きながら全身を弛緩させるようにその力を抜いていった


垣間見える横顔はどこか恍惚としたもので・・・俺はついそれに見入ってしまう


「・・・ふぅ・・・・・・・・んッ!?」


不意に園崎がその眉を僅かに歪める


って、マズイ!


園崎の表情に見とれて思わず力篭めてた!


俺は手を置いたその部分をつい鷲掴みにしていたことに気づいた


「ご、ゴメン!園さ…」


「はイ!よっしぃストッーーーーープ!!」


慌てて手を離そうとしたところへサツキの鋭い声


俺は思わず身体の動きを止めた


「・・・そうそウ、今の『ストップ』は『ヤメロ』じゃなくて『トマレ』の意味だヨ」


スケブ越しにニッと笑うサツキ


その目は何かが乗り移ったような凄みがあった


「キヒ、そうダ。僕が欲しかったのはそういう絵ダ。・・・柔肌に食い込む指・・・そノ指の間からハミ出すようニ隆起する柔肉・・・ポーズ人形や3Dモデルではこの質感は再現できン・・・・・素晴らしイ・・・実に素晴らしいヨ・・・」


サツキはなにかに取り憑かれたかのように一心不乱に鉛筆を走らせる


俺はその気迫に呑まれ身動きすることも出来なかった


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  


「んー、こんなもんかナ?・・・・二人共、もう動いていいヨ」


やっとサツキから『終了』が告げられ、俺は鷲掴みにしていた園崎の柔肉を解放する


そこには・・・俺の指の跡が僅かに赤く残っていた


可哀相に思う気持ちと同時に・・・想いを向ける相手の身体に自分の痕跡を残したことに歪んだ興奮が沸き立つ


「ご、ごめんな園崎・・・い、痛かったろ?」


ふらふらとした様子で身を起こす園崎に俺は上擦った声で謝った


「んーん、へいき・・・。あたし、けーごになら・・・・・・




すこしくらい、らんぼうにされてもかまわないから・・・・」




上気した頬の園崎はどこか陶然とした表情で俺に微笑みを向けてきた


その強烈に煽情的な表情とセリフに俺の理性が危うく飛びそうになる


落ち着け!慌てるな俺!


園崎が言ってるのは、『サツキからの横暴な注文による非道な行為も、俺を親友として信頼してるから大丈夫だ』って意味だ


SM的な妄想をするんじゃない脳細胞!


・・・よし、なんとか持ち直したぞ、理性


「さあ・・・これで満足したかサツキ?・・・だったら帰って原稿に勤しむんだな」


園崎がふらつきながら立ち上がりサツキを軽く睨む


俺も立ち上がろうとして・・・慌てて身を戻す


あぶねえ


まだ『俺の』は度重なる濃厚な刺激の余韻が抜け切らず、いまだ臨戦体勢状態を維持したままになっている


これが鎮まらないうちに不用意に立ち上がればそれが二人の目に入ってしまう


いくら中二病のイタい連中とはいえ女子に変わりはない


女子にそんな状態の姿を晒すのは男子的に堪えられるものじゃない


俺は正座のような格好で『ソレ』の武装解除に意識を集中した


「キヒ・・・概ね満足したヨ。あと一つ、目当てのシーンを見させて貰ったら解放してあげるかラ」


「あと一つ?・・・ちょ、ちょっと待てよサツキ。えーと・・・俺、足が痺れちまってさ。すぐに立てないんだ」


俺は焦り、そう言い訳をするがサツキは目だけでこちらを見てニヤリと笑った


「次はゆずっちだけで大丈夫だかラ、よっしぃはゆっくり見物してればいいヨ」


「え?僕だけ?」


サツキの言葉は意外なもので俺と園崎は共に眉を寄せる


「次は『水着イベント』とくれば避けては通れぬ超お約束展開だヨ」


サツキがそういって口の端を上げニンマリと笑った


「超お約束?・・・・・・・まさか!?」


園崎が何かに思い当たったようにハッと目を見開く


「キヒヒ・・・・そう、そのまさかだ。



次は『彼女の水着の紐が解けてポロリ』、だヨ」



ポロリ・・・・・?


ななななななんだとおおお!?


超見てえェ!!


じゃなくて!


「サツキ、お前最初からそのつもりで僕にこの水着を・・・!?」


愕然とした表情で、自分の身体を両腕で抱くようにして後ずさる園崎


「気付くのが遅かったネゆずっち。さア、派手に『ポロリ』して貰おうカ!」


「なっ!?バ、バカ。やめろサツキ!」


サツキの繰り出す手を避け後ずさる園崎


だが、まだ身体がふらつくのかその動きはいつもより重い


すぐにサツキに回り込まれてしまう


そうやって俺の座り込んだ位置を中心とした、女二人の追いかけっこが始まった


「ちょ、ちょっと待てってお前ら」


俺はなんとか制止を試みるが・・・下手に手を出すと弾み揺れ動く大中二組の膨らみのどれかに触れてしまいそうで・・・どうしようも出来ない


そうこうするうちに・・・


「キヒヒ・・・、取ったア!!」


「わっ!?・・・きゃうっ!」


「う、うわっ・・・・とぉおっ!?」


サツキの叫びが上がるとともに園崎がバランスを崩し、俺の方へと倒れ込んできた


俺は園崎を庇うような形で胸に抱いたまま仰向けに倒れ込む


ドサッ


床に背を打ち付けるものの柔らかい素材の床のお陰でダメージは殆どない


「そ、園崎・・・・大丈夫か?」


「な、なんとか・・・、ゴメン経吾・・・怪我してないか?」


そう言って顔を上げた園崎と至近距離で見つめ合う格好になる


鼻先が触れ合いそうな近さに顔が熱くなった


胸部に感じる弾力感に、思わずそこに視線を向けると・・・



園崎の二つの豊満な膨らみは、かろうじてオレンジ色の布地の中に納まっていた



べ、別に残念とか思ってないぞ?


背中の痛みが収まってくるにつれ、サツキへの怒りが込み上げてきた


「ホントいい加減にしろよなサツキ!ふざけるのも大概にしろって!」


怒鳴りながら振り仰ぐとオレンジ色の布を手にしたサツキが苦笑いを浮かべていた


「えート、ゴメンゆずっち。・・・間違えて下取っちゃっタ」


「へ?」


「下?」


俺と園崎は至近距離のまま、お互い顔を見合わせた


きょとんとした表情の園崎


その肩越しに見えたのは・・・白く丸い二つの丘


改めて自分たちの体勢を見ると・・・


軽く膝を曲げた形で仰向けになった俺の左足の上に、園崎が跨がる格好で乗っていた


膝の少し上辺りの位置に、園崎の両足の付け根部分がぴったりと密着している


熱く火照った柔らかい肉の感触


そして・・・


こしょこしょと肌をくすぐるこの感触は・・・・


園崎の・・・UnderHa…


「あひゃうぁあああああああああああああああああああああ!!!」


園崎は悲鳴を上げ俺の身体から飛びすさると、その場にぺたんとへたりこんだ


「やア、ゴメンゴメン」


「ご、ご、ご、ごめんで済むかっての!?」


俺はサツキへの悪態をつきつつ、園崎から顔を背けながら・・・しかし視界の隅にはしっかりと捉えつつ立ち上がる


「あっ・・・!」


そんな俺の方を見た園崎がギョッとしたように目を見開き、絶句した


「?・・・・・・・・!?」


その視線は・・・・俺の下半身に向いていた


ヤバい!忘れてた


俺の『Jr.』は水着の上からでも判るくらい、その生地を内部から突き上げていた


・・・・いや、


園崎の視線は『その部分』より僅かに逸れていた


その先を追うと・・・そこは俺の膝の少し上辺りで



何故か一カ所だけ・・・濡れ光っていた



「・・・えっと、ここ確か、さっき園崎が・・・」


「ああああああああああああ×※〃仝ゝゞ々〆ヾ―‐/〇ヽ_ ̄¨`´゜゛\§^≫¬⇒⇔∀∃∠⊥⌒∂∇≡∨≪†√∽∝∵∫∬ʼn♯♭♪‡~′≒×∥∧|…±÷≠≦≧∞∴♂♀∪‥°⊃⊂⊇∩⊆∋∈〓〒※″△!!!!!!!!」


「うわっ!?」


ドンッ


突然、謎言語で絶叫し半狂乱となった園崎が俺のことを背中で突き飛ばした


「おオ、流石ゆずっち。見事な鉄山靠ダ」


サツキが感心したように腕組みして眺める前を


宙に浮いた俺の身体は放物線を描き・・・・


どぼん!!


派手な水柱を立てプールへと落下した


「もがががががががががが!?」


必死に藻掻いて水の中から顔を出した俺の目に映ったものは・・・


走り去る園崎のぷるぷると愛らしく弾む小振りでカタチのいい白いお尻だった


俺は再び水の中へと沈み込んだ


(つづく)

【あとがき】


いつもお読み頂きありがとうございます。

毎度更新が遅れ申し訳ありません。


息抜きのつもりで始めたMMDの方に時間を取られすぎてて・・・趣味のメインとサブが入れ替わりつつある・・・気を付けねば


物語中は8月上旬なので、またリアルに追いつかれつつあります


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ヘアはHairなのでHe…となっているのは間違ってるような
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