第47話 左腕に受けしは甘美なる呪い
「ふう・・・、まあこんなもんかな?」
あらかた部屋の中を片付けた俺は一通り見回して息を吐いた
バイト初日は特に何事も無く終わり、家に帰り着いた俺はとりあえず部屋の掃除を始めた
仮にも女の子を招き入れるわけだからな
まあ、園崎が俺の部屋に入るのは初めてじゃないけど・・・
確か今日で・・・4回目
でも前の3回はほとんど不意打ちだったよな
最初の時なんて酷いものだった
ちょっと部屋を空けた隙にベッド下を漁られ・・・思春期男子の恥ずかしいコレクションを白日の下に晒されてしまった
そういえばあの時奪われたお気に入りの一冊は結局今だに回収出来ていないよな
だけどあれをネタにからかわれたりバカにされたりってのはされてないし、結局アイツはなんの為に盗って行ったんだか・・・
そんな事を考えながら階段を下りて台所へと入る
冷蔵庫を開けコップに麦茶を注いでいると母さんに声をかけられた
「経吾。これから買い物行くんだけどちょっと付き合って貰える?」
「え?今から?・・・ゴメン母さん。今日はその・・・これから友達が来るんだ」
「あら、そうなの?・・・・・・・・あ」
「何?」
俺がそう言って同行を断ると母さんはなにかに思い至ったような顔をしたあと、ニンマリと笑った
「友達って・・・彼女?」
「!?・・・・だ、だから!園崎はカノジョじゃないって言って・・・」
「んふふ~、別にそういう意味で言ったんじゃないんだけど」
「うぐ」
母さんのセリフに言葉がつまる
「でも経吾もなかなかやるわね。夏休みの初日から女の子を家に呼び付けるなんて」
「よ、呼び付けたわけじゃ・・・そ、園崎が来たいって言うから・・・」
「あら~、彼女の方が積極的なんだ?もういい加減、付き合っちゃいなさいよ」
「だからな・・・」
埒もない話に口を開きかけた時、玄関の呼び鈴が鳴った
たぶん園崎だろう
「はーい」
母さんはニンマリ顔のままそう返事を返すと玄関へと向かった
「ちょ、余計な事言うなよ母さん」
俺は慌てて母さんの後を追った
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「ゴメンな園崎。ウチの母さんしつこくて」
「んーん。大丈夫。ちょっと慣れてないだけで嫌なわけじゃないから」
俺が謝ると園崎はそう言って苦笑した
結局母さんは散々園崎に絡んでから買い物に出掛けて行った
そして今は二人、ダイニングテーブルに座りそれぞれ買ってきた昼食を食べてるところだ
ちなみに俺は自分のバイト先のコンビニで買ってきた冷し中華
そして園崎は・・・偶然にも冷し中華だった
「園崎もか・・・そっちは胡麻だれなんだな」
俺のほうは黒酢のスープだ
「うん。向こう側の駅前のコンビニのやつ・・・味見してみる?」
「いいのか?・・・じゃ、一口くれる?」
「うん・・・はい、あーん」
そう言うと園崎は箸に麺をつまんで差し出してきた
食べさせて貰うつもりはなかったので一瞬戸惑うが・・・平静を装い口を開ける
ぱく・・・ちゅる・・・もぐもぐ・・・
「ん。結構美味いな」
「じゃ、ボクもけーごの食べてみたいな。いい?」
「お、おお・・・。んじゃ・・・ほら」
俺も同じようにして園崎の口へと一つまみ分の麺を入れてやる
ちゅるちゅる・・・
「うん。スタンダードな味だね。おいしー」
そう言ってにっこり笑う園崎
麺をすする時すぼめた唇が妙になまめかしく見えて俺は妙な興奮を覚えた
心臓が高鳴り・・・いやがおうにも園崎の唇を意識してしまう
「ほ、補習の方・・・ど、どうだった?」
俺は自分の意識を他に向ける為、話題を変える
「・・・何故か僕だけホヅミとマンツーマンでな・・・明日以降もそうかと思うと気が滅入る」
暗い顔でそう言う園崎に俺は同情の眼差しを送る
「そっか・・・それはかなりキツそうだな・・・」
「ああ・・・・・ボ、ボクの事よりけーご。お前の方はどうだったんだ?バイトの方は?」
「え?俺?・・・まあ特に何の問題も無かったぞ?」
「ふ、ふーん・・・・・・・・けーごの他に・・・店員て、どんなやつが居るんだ?」
俯き加減にそんな事を聞いてくる園崎
「ん?・・・えーと同じ時間帯だとオーナーと・・・あとマキさんて人」
「マ・・・キ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どんな女?」
「え?・・・ああ、違う違う。マキってのは苗字で・・・真木亮平って男の人だよ」
「あ、そなんだ。よかった。・・・他には?」
ん?よかった?
「あと10時からスギヤマさんて主婦の人が入ってくるな・・・」
「・・・主婦?・・・人妻?・・・・・・・・・・・・・・若いの?」
「へ?・・・年は知らないけど・・・たぶんウチの母さんより上じゃないかな?」
「そーなんだ?なら安心だね」
「安心?何が?」
「ん、んーん。こっちの話」
相変わらず園崎との会話はよくわからない時があるな
俺たちはそんな会話を交わしながらの昼食を終えると俺の部屋へと移動した
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「くふ、けーごの部屋久しぶり」
「・・・変なとこ、いじらないでくれよ?」
きょろきょろと部屋の中を見回す園崎に俺は前もってそう釘を刺す
「やだなーけーご、ボクがそんなことするわけないじゃないか」
俺の言葉に対し、にこやかな顔でそう返す園崎
こいつ・・・、俺はエロ本漁られたの忘れてねえからな
園崎は勉強会なんて言ってたけどそれは俺の部屋に来るための口実のような気がする
何か企みがあるのか・・・それとも・・・
・・・っと、なにまた自分の都合の良いように考えてんだ俺は
とにかく油断は禁物だ
エロ本の隠し場所は変えてはあるけどその気になれば園崎なら簡単に見つけそうだしな
「けーごも朝早くからバイトとか大変だよな」
「まあ、俺は小遣いが多いわけじゃないからな。でも、年中バイトするのはキツいから長期休みの時だけ少し稼いどくんだ」
「ふーん、偉いなけーごは」
「そ、そんなことは・・・」
単に親の稼いだ金を貰って遊びなどに使うのは気が引けるってだけなんだが・・・
特にエロ本を購入する時なんかの罪悪感がハンパない
その点、自分で稼いだバイト代からなら、なんの気兼ねも負い目も感じる事なくエロアイテムを購入出来る
今度のバイト代では本の他にエロいDVDなんかも・・・
「けーご?」
「うわぅ!?」
急に声をかけられ心臓が飛び出しそうになった
「また邪悪な考え事か?けーご」
「ち、違うから・・・あ、そういえば朝ありがとな、電話。わざわざ早起きしてくれたのか?」
「え!?・・・・いや、まあ、その・・・」
俺の言葉に歯切れの悪い反応をする園崎
「お前まさか・・・早起きしたんじゃなくて、ずっと起きてたんじゃないだろうな?」
「う、いやその・・・サツキから借りたライトノベルがなかなか面白くてな」
やれやれ・・・夏休み入った途端にこれか。まあ、園崎らしいといえば園崎らしいけど
「夜更かしもいいけど・・・いや、徹夜なのか?・・・どちらにしろ毎日暑いんだからちゃんと睡眠とらないと夏バテするぞ」
「ハハ、気をつけるよ」
そう言いながらも悪びれる様子もない園崎
「全く・・・こっちは慣れない仕事して働いてるってのに・・・けっこう客商売って気を使うから肩凝るんだぜ」
俺は軽い愚痴と共に肩を回した
「そっか・・・、じゃ、肩揉みしてやるよ」
「え?肩揉み?」
てゆーか勉強会はいつになったら始めるんだ?
・・・まあいいか
女の子に・・・園崎に肩揉みして貰えるなんてかなり魅力的な展開だ
「じゃあ・・・ちょっとやって貰おう、かな」
内心のワクワクを隠してそう答えると園崎が俺の後ろへと移動してきた
「んー、ちょっと高さが合わないからやりづらいな・・・けーご、ここに座ってみて」
園崎の指示に従いベッドに背中をつけるようにして座り、あぐらをかく
「こうか?」
「うん。それでボクがこうすれば・・・よし、ちょうどいい」
床に座る俺の後ろで園崎がベッドに腰掛ける体勢になる
俺の身体の両サイドに園崎の膝が来て・・・なんか妙な気分だ
「・・・・・・・・・」
「・・・?」
肩に園崎の手が乗せられるが動く気配がない
ん?
頭頂部になにか触れた?
「・・・園崎?」
「ふわっ!?・・・・にゃ、にゃんれもにゃいよ。ちょっひょかみにょにおいかいでひゃらけらから」
俺が困惑して声をかけると園崎はハッとしたように動きを再開すると、ろれつの回らない口でよく分からない事を言った
「肩揉みね、肩揉み。ちゃんとするから、安心して」
「お、おぉ」
園崎が気を取り直すようにそう言うが背後なのでその表情は見えない
むにむに、むにむに・・・
園崎の手が動き始める
お、これは・・・結構気持ちいい・・・
力で揉みほぐすというより優しい力加減のマッサージ
「どう?けーご」
「んー、・・・気持ちいい。あ、そこ。すげえいい」
「ここ?」
「うん、そこそこ。・・・あー・・・」
園崎の手の平ってだけですげえヒーリング効果を感じる
「園崎ってホント器用だよなー。力加減も絶妙だし・・・気持ちいいポイント見つけるのも上手いよ・・・」
「そ、そぉ。あたし・・・上手?」
「ああ・・・、覚えがいいよ、園崎」
「!?・・・・・・ねえ、けーご。『上手だ・・・お前は筋がいいな。いい子だ・・・』って低い声でゆって」
なぜか上擦った声でそんな事を要求してくる園崎
マンガかなんかのセリフか?
昨日、なんか読んでたって言ってたし
「?・・・・・上手だ・・・お前は筋がいいな。いい子だ・・・」
「ふあ!?・・・・あ、ありがとうございますご主人様・・・まだ不慣れですが・・・頑張ってご主人様のキモチイイトコロ、もっと見つけますね」
ん?
いつの間にかドールの設定モードになってる?
肩揉みって行為がお世話してる状況みたいだからか?
肩を蠢く手の平が妙に熱っぽくなってきて・・・くあっ!?
「ちょ、園崎!?」
不意に園崎の中指が鎖骨にそって滑るように動いた
「え?・・・気持ちよく、無かったですか?」
「いや、あのな・・・」
そりゃまあ気持ちよかったですけどね
ベッドの近くでヘンな刺激を受けたら妙な気分になるだろうが
「肩揉みはもういいから・・・そろそろ勉強の方始めないか?」
「そお?」
名残惜しいがこれ以上なにかされたら俺の理性がどうにかなりそうだ
「はふ・・・ちょっと眠くなってきちゃったな・・・。ねえけーご、悪いけど眠気覚ましお願いしていい?」
「ね、眠気覚まし!?」
脳裏に図書館でのことが甦る
「うん。コーヒーか何か」
「あ、コ、コーヒーね。イ、インスタントなら、あったと、思う」
動揺した心臓がばくばく鳴り、耳鳴りのように聞こえる
落ち着け、俺
「じゃ、ちょっと待ってろ。持ってくる、から」
「んー、ゴメンね」
そう言いながらあくびをかみ殺す園崎をあとに残し、俺は部屋を出て台所へと向かった
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「あ、あったあった」
戸棚からインスタントコーヒーのビンを取り出す
夏だしホットよりアイスの方がいいよな
厚手のグラスにコーヒーの粉を適量
そこに少なめのお湯を入れて溶かして・・・口いっぱいまで氷を投入
ストローを挿して・・・よし出来た
ガムシロとクリームを2個ずつ一緒にお盆に乗せて
それを手にして台所を後にする
階段を上がり部屋の前まで来たとき軽いデジャヴュを感じた
確か最初に園崎が俺んち来たときもこんな状況だったよな
あの時園崎は俺のベッド下を漁ってて・・・
まさかコーヒーを要求したのは俺を部屋から出す作戦でまた何か漁ってるんじゃ・・・
不安に駆られドアを開けた俺は、それを見て危うく手にしたお盆を落とすところだった
園崎がさっきのベッド端に座っていた位置のまま、上体を仰向けに横たえていた
わずかに開いた両脚・・・かろうじて下着は見えてないもののフトモモのかなり根元までがあらわになっている
「園・・・崎?」
声をかけるが反応が無い
微かに規則的な息遣いが聞こえてくる
「ね、寝ちゃったのか?」
お盆をテーブルに置き、もう一度様子を伺う
「お、お前さ・・・男の部屋で・・・無防備過ぎだろ?」
白くなめらかなフトモモ・・・その柔らかな感触は何度か体感したことがある
それどころかその付け根近くに唇を触れ、その肌を吸ったことすら・・・
「これじゃ・・・襲われたって・・・文句言えないぞ?」
仰向けになってもなお、豊かな二つの膨らみが呼吸に合わせ上下している
シャツの表面にはブラのエッジがくっきりと刻まれ、その柄まで浮かび上がらせている
「いや・・・むしろ・・・」
ベッドに片膝を乗せる
微かにぎしりと軋む音
「襲ってくれって・・・言ってるような・・・もんだぞ?」
もう片方の膝と・・・両手をつく
俺は園崎の身体に覆いかぶさるような体勢になった
目の前には園崎の愛らしい顔
わずかに開いた唇の隙間から静かに漏れ聞こえる呼吸
濡れたように艶やかに光る唇は直接触れたことは一度もない
いつかは自分のそれと重ねてみたいと密かに思い募らせていたことも・・・いまなら・・・
「俺が・・・こんなことするのは・・・お前にだって責任・・・あるんだからな・・・」
酷く自分勝手なセリフを吐きながら俺は・・・右手の人差し指と中指とを胸元のシャツの合わせ目へと差し入れる
そして親指の先をボタンへとかけ・・・
――カラン
突然上がった音にビクリとして動きを止める
持ってきたグラスの中で溶けた氷が鳴らした音だと気付き、思わず止めた息を吐く
だがそのおかげで危うい所で我に返ることが出来た
「く・・・・・う・・」
園崎の上から身をよかしその隣へと仰向けに身を投げ出す
危ない・・・とこだった・・・
あのままだったら俺・・・、園崎の身体に取り返しのつかないことしてた
園崎とそういうコトはしたいけど・・・相手に『拒否する』って選択肢を与えない状況でそれをするのは卑怯過ぎる
天井を眺めながら深く息を吐く
少し頭を冷やしてこよう・・・
このまま此処に居たら、また俺は劣情に支配されかねない
そう思い、身を起こそうとして・・・左腕に軽い抵抗を感じた
目をやると園崎の手が俺の左手の上腕部を掴んでいた
ぎょっとしてその顔に目をやるが・・・その瞼は閉じたままで、目を覚ました訳ではないようだ
すうすうと安らかな寝息を立てている
子供のような安心しきった寝顔
信頼・・・してくれてるんだな
そう思うと愛おしさが込み上げてくる
だがなおさらこの状態が続くのはまずい
再び劣情に支配されたら・・・この信頼を裏切る事をしでかすことになってしまう
名残惜しい気持ちに鞭打って掴まれた手の平を優しく引きはが・・・
「んー・・・・、んーんっ!」
うおっ!?
園崎が俺の腕を引き寄せ・・・抱え込むように両腕を絡めてきた
左腕が柔らかい感触に包み込まれる
園崎は俺の腕を抱きしめたまま再び寝息を立て始めた
息が腕に当たって・・・くすぐったい
ぐお・・・
気持ち良すぎる・・・このままでいたら変になりそうだ
なんとか腕を引き抜かなきゃ
ゆっくりと・・・少しづつ・・・
「んー・・・・・・、やぁのっ!」
むぎゅ
さらに抱きしめがきつくなった!?
つーか・・・腕に加えて・・・さらに手の平がフトモモに挟み込まれたぞ!?
上腕部の『やわふに』に加え手の平から伝わる『やわすべ』
左腕全体の神経がその甘美過ぎる感触の情報を脳に伝えてくるが・・・処理しきれずフリーズしそうだ
手の平を意識的に強張らせる
こうしていないと・・・夢中で揉みしだいてしまいそうだ!
少しぐらいなら・・・いや、ダメだ!
たぶん一度タガが外れたら・・・もう歯止めがきかなくなる
手の平を筋肉を固定した状態で再びゆっくりと引き抜く事を始める
数分かけ、慎重に・・・少しずつ・・・
よし、やっと・・・抜け・・・
「らめぇ、・・・やぁのぉっ!!」
ぎゅううぅぅ
また引き戻され、さらに力強く抱きしめられた
うぐう・・・また元通りに・・・・・・・
「!?」
ちょ、待て・・・
さっきより深く挟み込まれた手のひら・・・
この小指の
側面に触れてる
『布』の感触は・・・
園崎のパ、パ、パ、パ・・・・
つまり
今、
この『布』一枚隔てた向こうには
園崎の・・・
×、××××が!?
の、脳が沸騰しそうだ・・・
俺は身体の一部分のみならず全身を硬直させ、その甘美過ぎる無間地獄を必死に耐え忍ぶことになった
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「今日はゴメンね、けーご。あたし寝ちゃって・・・勉強会、出来なくて」
帰宅のため駅へと歩く道すがら園崎は眉を寄せそう謝ってきた
結局園崎が目を覚ましたのは夕方近くになってからだった
俺は園崎が寝返りを打って力が緩んだ隙になんとか腕を抜くことが出来た
とは言えそれまで約1時間はあの体勢のままで俺の理性の堤防は決壊寸前だった
しばらくの間、腕は痺れたままで頭も風呂でのぼせたようにクラクラしていた
『園崎』という存在が左腕からたっぷりと染み込み俺の中に深く刻み付けられた
なんとか不埒な行為に及ぶことがなかった事を安堵するとともに・・・いまさらながら惜しい事をしたような気分が持ち上がってくる
「・・・経吾?」
黙っている俺に園崎が不安そうな表情を向けてくる
「ま、まだ夏休み初日だし・・・勉強会はまたすれば大丈夫だよ」
そう言って笑いかけると園崎は安心したように息を吐く
「よかった・・・そうだよね。まだ休みはいっぱいあるもんね」
「ああ、焦ることはないさ」
・・・そう、焦ることはない。チャンスはまだあるはずだ
「う、うん・・・。そ、それでね、けーご。明日、なんだけど」
「え?明日?」
「うん・・・また、午後から・・・いい?」
上目遣いでそう聞いてくる園崎
「ん。俺なら、平気」
「そっか、よかった」
俺の返事に園崎が表情を綻ばす
「そのかわり今夜はちゃんと寝ろよ?俺は起こされなくても起きれるから」
「はは、わかった」
そんな会話を交わしながら駅に着き、帰る園崎を見送った
「はあ・・・」
思わず溜め息が漏れる
左腕にまだ甘美な感触が残っている
決して忘れることの出来ない園崎のカラダの存在感
園崎の胸・・・フトモモ・・・そして・・・
その上、俺のベッドには園崎の残り香まで・・・
・・・今夜眠れないのは俺の方かもしれない
(つづく)
【あとがき】
予定より遅れましたがなんとか更新出来ました。
物語の中では夏休みですがリアル世界でも学生さんは夏休みに入ったようですね。
自分にとっては遥かな昔の事ですが・・・。
今回は少々エロ成分増量してますが如何だったでしょうか?
この位はセーフですよね?
(追記)
話中の園崎のセリフの通訳
「にゃ、にゃんれもにゃいよ。ちょっひょかみにょにおいかいでひゃらけらから」は、
「な、なんでもないよ。ちょっと髪のにおい嗅いでただけだから」でした。
変態ですね。




