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変わり者の幼馴染

新キャラ登場です

「タイムリミットは、半年・・・」

 そりゃね、半年過ぎたとしても古本屋に直接乗り込めば済む話よ?

 でも、彼女の事だからどう頑張ったって、いいとこ常連客どまりね。

「う~ん、さてと・・・」

 どうやって、落とそうかしら?

 もしも、その場に朱理以外の人物がいたとしたら、特に彼の幼馴染がいたとしたら、魔王が笑っていると怯えた事だろう。



「陽ちゃん、なんかご機嫌だねい。」

「え?そうかな・・・」

 陽の経営する日暮古書店の唯一の従業員であり、幼馴染の伶の言葉に陽は首を傾げた。

 本棚に置いてある本の整理の最中である陽は、今脚立の上に登っている。そんな陽に本を渡しながら、楽しげに伶は笑った。

「いんや、なんとなく機嫌がよさそう。」

 独特の癖のある喋り方の通り相当の変わり者であるが、仕事も出来、経理としても優秀だ。

「なにか、良いことでも当たったのかい?是非とも知りたいねい。」

 そう言って、笑みを濃くする様は不思議の国のアリスに出てくるチャシャ猫を思い出させる。

 猫毛のミルクティーのような甘そうな色の髪に、大き目の茶水晶のような目はその雰囲気をより鮮明にしている。

 人形のようなパッチリとした目が印象的な甘い顔立ちであるものの、その喋り方や態度のせいで避けられる事も多かったが。

(せっかく女の子なのにな。私と違って可愛らしい服が似合うのに。)

 同じ女でもこんなに差が出るものなのかと、陽はよく神様を恨んだものだ。

「うん?そうだな、今日とても綺麗な人にあったんだ。」

 弾んだ声を出して、陽は行った。

「へえ、そりゃ・・・・女かえ?」

「いいや、男の人。でも、とても美人だよ。」

 その言葉に、伶はゆっくりと目を細めた。

 その仕草は、伶が考え事をするときの癖だ。訝しく思った陽は不思議そうな顔で、伶を眺める。

「・・・そりゃあ、良かったねい。」

 すぐにいつも通りのにやりとした笑みに、伶は戻った。

「ああ、とても。」

 そんな伶を、陽は気にすることなく、いつもの事だと放って置いた。

 そんな姿を伶は、楽しそうに眺めていた。



 私から見た、園田陽という人物は典型的な、鈍い奴だ。

 まさしく、悪意に敏感で好意に鈍い。

 かれこれ二十年幼馴染をやってきたが、彼女のことを好きになった奴はまさしく多くいた。

 が、陽がそれに気づく事はなかった。

「うむ、とうとう春が来たのかねい?」

 もし、そうだとしたら、また面白い事が始まると、伶は上機嫌に仕事を始めた


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