第8話 不安と葛藤
何?私に死ねって言うの?
◆第8話 人は中身とか言うヤツにかぎって、可愛い彼女がいたりする
「髪きれいだね。何人?」
「名前が『銀朱鳥』だもん♪ある意味ハーフだよ。」
「日本語上手だね!」
「才色兼備だからvV」
「何処から来たの?」
「異世界★」
騒がしい教室。それは突然の転校生のせい。その上、美少女だから余計にだ。ってかアイツ何しに来たの?
「わ〜!朱鳥ちゃんモテモテだね。隣のクラスの子まで来てるよ?」
「なんであの異次元な答えに、誰もツッこまないの?何?顔が良ければ、全てが許されるの?」
「わぁー沙良、毒舌w」
そりゃ、毒も吐きたくなる。私の休息の場を、またひとつアイツは消したんだから。嫌がらせか?隅々まで幸せ奪う気か?
(早退しようかな…。いや、でも朱鳥をひとり学校に残すほうが、苦痛かも。)
そんな事を、ひとり悶々と考えていた時、予想してた恐ろしい事が起こった。
「朱鳥ちゃんは、何処に住んでるの?」
…聞いちゃったー!!!
(いや、これはさすがに正直に言わないよね?少しは考えてるよね?誤魔化せよ?誤魔化すよな?)
「沙良ちゃんの家にいそ…モガッッ」
言いきる前に、朱鳥の口を抑え、拉致った私。ナイス瞬発力!
(…うん、分かってたよ。アンタが常識通じないくらい馬鹿だって事。そして、そんなアンタを信じた私は、それ以上の馬鹿だって。)
痛いくらいの視線を浴びながら、私はマッハ並の速さで教室を離れた。
――――――――――――――
校舎裏まで来たところで、朱鳥の口を抑えていた手を放した。
「ぷはっ!何するのさ沙良ちゃん!」
案の定、文句を言う朱鳥。
「こっちのセリフ。アンタ私の家に、居候してるって言いそうになったでしょ。」
「?うん」
「うんじゃない!!そんなスキャンダルいらないのよ!っていうか、なんでアンタ学校に来てるの!?」
嗚呼もう、私叫んでばかりじゃない。その内のど自慢大会でるぞ。のど自慢っていっても、歌じゃなくて声量のだけど。
「だって沙良ちゃん、ウチの事置いてくんだもん。もしかしてアレ?放置プレイ?そうやって私の事じらすんだ。このサディスト!!」
あ、なんだろうコレ
「でも甘いわね!私はこう見えてタフなのよ!?そのくらいじゃ屈しないんだからっ!」
なんていうか、すごい殴りたい衝動にかられるんですけど。
「…とにかく、アンタすぐ帰りなさい。此処に居られたら、心臓もたないわ。」
「それはつまり、ウチにときめくと…」
「―あ?」
「嘘です、スイマセン。」
だんだん黙らせる方法、わかってきたかも。
「でも、今更無理だよ。転校手続きしちゃったし。」
なんでできるんだよ
「そのへんは、先生の記憶を軽くいじって★」
「だから人の心読むなぁー!ってアンタ何やっちゃてるの!?現実世界で、漫画みたいな事やめようっ!?」
「魔法くらい、朝飯前!むしろ夜食前さっ♪」
「聞いてないし。しかもすごいんだか微妙!」
結局噛み合わない。いや、毎度のことだけどね…。
「沙良?」
緩いソプラノ声。なんてバッドタイミング。
「ひ、姫乃…。」
汗があらゆる毛穴なら、噴き出す心地がした。
(ヤバイ!『何ふたりとも、ファンタジックな会話してるの?精神科紹介しようか?っていうか死ねば?』的な展開に…!!)
「朱鳥ちゃん魔法使いなの?すごーいw」
そうきたか
「沙良ちゃん、自分褒められちゃった!てへっ★」
黙れ