第3話 異世界の事情
誰でもいいから助けて!
◆第3話 人の話を聞く時は目で聞く…とか校長先生に言われなかった?
「う〜ん!おいしい♪」
もう何度目になるのか、その台詞。
結局この不審者…もとい、異界人の押し(と言う名の唯我独尊)に負け、もとの世界に戻れるまで同居する羽目になった。
そして今は、食事中。(当然だけど、私が作った)
「沙良ちゃんは料理が上手いんだね★嫁に欲しいよ♪」
「はいはい。ありがとう。」
まぁ、褒められて悪い気はしないけど。華の女子高生がこんなに家事頑張ってるのだから、おいしいぐらい言ってもらわなきゃ。
…にしても、朱鳥は改めて見ると本当に綺麗な顔してる。睫毛は長いし、瞳は透き通った銀色。朱色の髪に、白い肌がよく映えてる。言葉・行動は絶対に認めたくないけど、ものすごい美少女だ。
ずっと見てたせいか、朱鳥が私の視線に気付いた。
「何?見つめちゃって。ウチに見惚れてた?」
からかう様な口調で言ってくる。…外れてないけど。でもそんな事言えるはずないし(っていうかムカつく)、『はいそうです』と言う程バカでもない。
「そんなんじゃないよ。ただ、異界人っていうわりとは、私達人間と変わんないなーって…。」
そう、これはさっきから不思議に思ってた事。だって、違う世界から来たくらいだから、もっと姿形変わってると思う。
それを聞いた朱鳥は、たいして興味無さげに答えた。
「そうゆう訳じゃないよ。自分が人間に似てるだけで、他のやつらは変わってるよ。」
(それって、いろんな人達がいるって事?)
そんな心の疑問に答える様に朱鳥は続けた。やっぱエスパーだ…。
「自分達の世界は、色々な種族が住んでるの。そうね、沙良ちゃん達も知ってるので言うと…、狼男とか人魚とか?」
「お、狼男!?人魚!?」
「うん。」
あっけらかんと言う朱鳥は、私がもう質問してこないと分かると、また食事を再開した。…ってそれ私のじゃん!何当然の様に食べてんのコイツ!?
それにしても、朱鳥の世界は思った以上に絵本の世界だ。ディ●ニーじゃあるまいし…。
「あ〜!おいしかった!ごちそうさま♪」
考えこんでた隙に、全部食べ終わったらしい。…本当に全部。
「って私のぶんはー!?」
「すごいね、沙良ちゃん!まだ私と同じくらいの歳なのに料理できて!」
「ちょっと何よコレ!質問ばっかしてて食べるの忘れてたよ!」
「自分はねー、家事が一切できないんだよ。マジで沙良の家に落ちて良かった♪」
「私の事見えてる!?人の話聞こうよ!!」
「これからも料理・洗濯・掃除・ウチの世話、頼んだよ♪」
「頼まれたくないわー!!」
コイツ、もう出ていってくんないかな……