第2話 訳あり異邦人
初めて人に殺意をおぼえました
◆第2話 言いたい事を言わせてくれないってムカつくよね
突然空から降ってきた未確認美少女。
そして現在事情聴取中。
「貴女は何者なの?」
「うひゃ〜!びっくりした。空からまっさかさまってすごくね?なんていうかすごくね?」
「…何処から来たの?」
「え?あ、名前?ギン アスカっていうんだ。銀河の『銀』に、朱色の『朱』に『鳥』で、銀 朱鳥。え?似合ってる?やだ、そんな本当の事言わないでよ〜♪照れるじゃん!」
「……。」
「でも自分も驚いたよー。ここってアレでしょ?人間界ってやつ?自分トリップしちゃったじゃん!初体験じゃん!ギネスじゃん!」
そろそろキレようかな?って思ってた時、アスカというらしい者から『トリップ』という単語が出てきた。
「ト、トリップ!?」
あまりに驚いて、つい彼女の肩を強く掴んでしまった。
「あ、ごめ…」
「いやん!いくらウチが可愛いからって無理強いはよして♪」
「……。」
「優しくしてね?」
キレていい?
――――――――――――――
キレたい衝動をなんとか抑え、事情聴取再開(全然できてなかったけど)。
「異世界?」
やっと説明する気になった彼女から出てきた言葉は、とてもファンタジーチックなものだった。
「うん。っていっても、君達からみたね。自分にしたら普通の世界だし。」
「そんなまさか…。」
有り得ない。だってこの21世紀、異世界なんていうのは、かなりのロマンチストか、余程の馬鹿じゃない。
「まぁ、信じられない気持ちも分かるよ。だって君達人間は、ウチらの事を知らないから。」
それってつまり…
「貴女達は私達の事を知ってるの?」
そう言うと、彼女はニヤ、と笑い
「自分は才色兼備だから★」
と自信気に言った。
(あんま関係無い様な…。まぁいいけど。)
※朱鳥は才色兼備をなんかすごいものとしか理解してません
「それで、これからどうするの?」
これは、ずっと気になっていた事。だって彼女はさっきから困ってる様子が無いし。
「それなら、大丈夫!自分は前向きだから★」
それ大丈夫言わない。
戻れる方法でも知ってるんかい。
「まだ戻れる方法は分かんないけど…」
うわ、なにこの子。エスパー?人の心読んだよ。
「とりあえずは、戻れるまでここに居候させて貰うよ。」
(…は?)
「え〜と、桃谷 沙良ちゃんね♪16歳って同い年じゃん!」
私の名前・年齢を言った彼女の手には、いつ取ったのか生徒手帳が。
「ちょ、何勝手に見て…!」
「なんか一人暮らしっぽいし、家族関係とかのめんどくさい事無いじゃん!」
「だから、何言って…」
「あ、一人暮らしって事は、家事とか全部やってんの?すごーい!尊敬するよ。」
「初対面の人に言われたくないんだけど!?じゃなくて…!」
「自分同居に憧れてたんだよ〜!丁度いいね♪」
「いや、丁度いいとかじゃないて…一人で決めな…」
「って事で、よろしくね★☆」
「人の話聞けぇぇぇぇぇぇぇ!」
波乱万丈な日々が始まる…