表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

第21話 不純異性交遊反対

ちょっとシリアス気味です、はい。あまりコメディっぽくないです。特に前半。すいません(-.-;)





◆第21話 美しい花には刺でも毒でもなく電波があった










放課後、朱鳥の目を盗みひとりで帰ることに成功した私。ついでに姫乃は委員会の仕事。


「後で朱鳥に怒られるかな…」


まぁ、最近は扱い慣れてきたから別にいいんだけど。


むしろ銀のほうが厄介。無駄に美形だし、エロいし、いつも余裕だし、変態だし、なんか一枚上手だし、時々キモいし。


………悪口か、これ。いやでも、本当のことだし。



「沙良?」



ひとり悩んでいたら、不意に背後から肩を触られた。首をめぐらせる。


「…純。」


「今帰り?なんなら一緒に帰ろう。」


「いいよ。」


了解の返事をすると、純は表情を輝かせ私の隣につく。

嬉しそうに見えるのは、私の気のせい?


(願望なのかも)


──いや、それはない。もうふっきったんだ。いつまでも未練タラタラなんて、私は嫌。


『好きだから、別れて』

そう告げられた時から。私は成長してる?強くなれた?


嫌いになれない。だけど、昔みたいなあの感情はないの。愛し続けるには少し、傷付きすぎた。


「沙良?」


彼の声にハッとする。


「あ…ごめん。」


「いや、俺はいいけど。大丈夫?ぼーっとしてたよ。」


「ちょっと考え事」


そう答えると、純はそっかと一言こぼし、また前を向いた。


考えている内容は聞かないんだね。平気、悲しいなんて思わないよ。


だってこれは、貴方が望んだことだから。




帰り道が、やけに長く感じた。






「じゃあ、バイバイ」


マンションに着き、お互い違う部屋へ入る。私は微笑む彼に、小さく手を振った。閉まる扉の音が、哀しく響く。


私は昔も今も、純が好きです。けれどそれは、大切な幼なじみとして。


またあの関係に戻りたいなんて、もう言わないよ。



「沙良ちゃんおかえりー♪」


扉を開けてすぐ現れた朱鳥。


「って、沙良ちゃん!なんでドア閉めるの!?」


ああいけない。つい反射的に。

っていうか、この子いつのまに帰ってたんだ?相変わらず謎が多い。


べたべた触れてくる朱鳥をスルーし、私は自室へ向かった。


腕を絡ませてくる朱鳥を強引にひき剥がし、部屋から追い出す。


「ちょ、沙良ちゃん!そこは朱鳥たちの愛の巣じゃない!なんで追い出すの!?」


無視無視。



私はふうっとため息をつき、制服を脱いだ。空気にさらされる素肌。涼しく感じる。スカートに手をかけたとき、


「ねぇ沙良ちゃん。」


ドア越しに、朱鳥が声をかけてきた。


「……なに?」


返事をしつつも、手は止めない。ホックをはずした。


「今日純くんと一緒に帰ったでしょ。」


――知っていたんだ。どこで見たんだろう。


「…純くんと沙良ちゃんって、どういう関係?」


スカートがパサリと落ち、床に広がる。


聞いてどうするのと言ったところで、この変態のことだ。まともな返事は期待できない。


ならば、正直に言えばいいんでしょう?


私はスカートを拾い、ハンガーで挟んだ。


「幼なじみだよ」


そう呟いて。


「それで、元カレ」


小さく付け加えた言葉に、朱鳥の反応はない。聞こえなかったのだろうか。


クローゼットを開けて、適当に服を選ぶ。


バンッ!


大きな音に驚いて振り返れば、目を見開いた朱鳥と視線が絡んだ。


「……元カレ?」


わたしは何も言わない。


「モト●樹の彼氏じゃなくて?」


「んなわけないだろ」


あ、ついツッコんでしまった。ヤバイな私、ツッコミ道まっしぐらだ。


「元の彼氏……?」


うるんだ瞳で見上げてくる。ちょっと、だからその上目使い反則だって。なんかものすごい罪悪感に襲われる。


「あの、朱───「どこまでいったの!?」


………は?


「A?B?ま、まさかCなの……!?」


古いよ。そしてキモいよ。変態にも程がある。


「なんであんたにそんな事言わないといけないの」


「い、言えないの!?言えないような事しちゃったの!?」


「やかましいッ!」


「いやぁぁぁぁ!否定してくれないー!」


ああもう!いちいちうるさい子だなぁ。人の傷をえぐるなって。


「……で、実際どこまでやったの?」


どこから取り出したのか、マイクを私にむけてくる。マスコミかお前は。


「どこまでも何も、その頃わたし達中学生だから」


あくまでクールに答える。


「バカにしちゃ駄目だよ沙良ちゃん。今時の中学生は進んでるんだから!」


「近い近い。顔近いって朱鳥」


「不純異性交遊反対!

ってことで───」


ボスンッ


……は?なにこの状況。

なんで押し倒されてんの私。


「ど、どきなさいよ」


「い・や☆沙良ちゃんの下着姿かなりそそられるんだもん」


ハッ、そう言えば……!


「不純異性交遊反対じゃなかったの!?」


乗しかかってくる朱鳥を押し返しながら抗議する。だけど変態にはきかないらしい。


「大丈夫。コレ不純同性交遊だから♪」


「大丈夫言わないそれェェェェェ!!」










その後わたしは、脱ぎ出す朱鳥の顔面に鉄拳を浴びせ、操をなんとか死守した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ