第1話 空からの来訪者
今回は、主に主人公の説明みたいなものなので、軽く読む程度で大丈夫です。コメディーを読みたい人は、第2話からどうぞ。
私の平和な日常を返して!
◆第1話 人様の家を訪ねる時は、ドアから入るのが礼儀
「ただいまー。」
誰もいない家へ言う。最早これは、癖とも言える独り言だ。
今日は珍しく部活が休みなので、早く帰って来れた。顧問がどーのこーのとか言ってたけど、詳しい事は知らない。
私は、母親は二年前に他界していて、父親は外国に出張中な為、このマンションの四階に一人暮らししている。無責任な両親だ。
まぁ、毎月父から仕送りはたくさん来るし、わりといい生活してる。
少し寂しいけれど、こんな平穏な日々がいつまでも続いてほしいと思う。
起床・学校・部活・入浴・睡眠。そんな当たり前な事を幸せと感じる。
だが、その幸せはいとも簡単に崩れるのであった…。
「んん〜?まだ5時かぁ。何しようかな?」
そんな事をぼやいてると、窓が揺れてる。それは、風が強くなってきた事を表していた。
(あ、洗濯物取り込まなきゃ!)
今日は、天気に恵まれていたので、たくさん干していたのだ。
一人暮らしという都合上、料理・掃除はもちろん、家事全般をやらなきゃいけない。かっっなりめんどくさいが、慣れると上手くなるもので、今では専業主婦なみである。…なんか可哀想な女子高生だな私。
ベランダへ出ると、もう夕日が沈んでいた。最近暗くなるのが早い。
(あぁ〜めんどくさい!まぁ、一人分だからまだマシだけど。)
干してあるものを、ひとつずつポンポンと部屋へ投げいれる。
風が強く、少し肌寒い。
「よし、これで最後…と。」
全てを取り込み、部屋へ入ろうとした時だ。
空になにか見えた。
「いったい何…ん?」
言いかけた時、思わぬ光景に目をみはる。
…いや、だってあれ、こっち来てない?なんかだんだん近付いてる?っていうか、なんか、なんか……………落ちてきてないィィィィィィィィィ!?
(ひっ、ひと!?)
一瞬だけど、確かにそう見えた
受けとめるか!?いやいやいや。無理。いくら私でも腕折れるって!
でもこっち来るよ?見放すのか私!そんな心ない事できない!そうだよ!大人になるんだ。お前ならできる。この腕で受けとめるんだ!
さぁ来いッッ
……ってやっぱ無理ィィィィィ!
今までの思考時間、約1,5秒
これから聞こえるであろう衝撃音に、目をつむり耳に手を当てる。
(…あれ?)
なかなか聞こえず、恐る恐る瞳を開ける。
なんとそこには、朱色の髪をツインテールにした美少女がポカン、と口を開け、こちらを見ている。
(無傷…?)
あまりの驚きに声も出ない。
そんな私をよそに、その子の第一声がコレ。
『君、だぁれ?』
私に言わせろ。