第14話 帰宅願い
神様あなたを恨みます
◆第14話 登れたのに下りれないとかベタな
突如やってきた朱鳥の姉、紫美人『紫音』さん。その時私の脳内でたくさんの等式が一瞬で浮かんだ。
紫音は朱鳥の姉=異世界出身
異世界出身=異世界から来た
異世界から来た=行く事も可能
行く事も可能=異世界に戻れる
異世界に戻れる=朱鳥が帰れる
「………………。」
朱鳥が帰れる=こんにちは平和な日々
「なんて素敵なの!!」
導かれた答えに感動した私は、心の中だけではそれを抑えられず思わず立ちあがってしまった。その衝撃に、イスが豪快な音をたて後ろに倒れる。
「…どうしたの沙良ちゃん?そんなに興奮しちゃって。」
「あ、いや…」
不思議そうに首をかしげる朱鳥。私の心中は察してないみたいだけど、心臓がはね、歯切れが悪くなる。
「フフ、やっと身体がうずいてきた?そろそろ発生するかと思ったわ。」
「は!?」
ちょっとこの美人さん私に何したの!?薬でも盛ったわけ!?それともここはファンタジックに魔法!?
「って、そんな事より!!なんで紫音さんが私の部屋にいるの!?」
ずっと聞きたかった疑問をぶつける。そうよ、変態発言にツッコミいれてる場合じゃない。
私の疑問を聞いた紫音さんは片眉をあげ『あぁ…』、と顎に指をあてがう。
次に出てくる言葉をじっと待つ私の鼓動は、ドクドクとうるさい。
「湖に落ちて、気がついたらここにいたの♪」
紫音さんはサラリと笑顔で言う。
…湖?気がついたらいた?
なんのゲームだ!!
「そしたら可愛い女の子が寝てたから、つい欲情しちゃって★」
うわぁぁ!そこまでは聞いてない!!
「ダメだよ紫音、沙良ちゃんは自分とラブラブなんだから!!」
頬をふくらませて、嘘を平気言う朱鳥。一回樹海に捨ててこよっかな。朱鳥なら死なない気がする。
って、ちょっと待って。気がついたらここにいたって事は、来たくて来たわけじゃないんだよね。じゃあ戻ることはできないって事?
……その瞬間私は足もとが崩れ落ちる錯覚に陥りました(Sさんの証言)…………
「──沙良ちゃん、なんで泣いてるの?」
やっと見つけた光を簡単に崩されたからよッ!!
ああ、うつむくと涙が床に零れてく。そうだ、こんな時こそあの歌を…!
上をむぅ〜いて♪あーるこぉ〜♪涙がーこぼれぇないように〜(泣)♪
「沙良ちゃんツッコミ役がボケると痛いよ。」
黙れ年中ボケ朱色。たまには休暇しろ
はぁ、もうボロボロだわ…。一度期待したことにより、裏切られたダメージ倍増。人はこれを『だったら最初から知らなきゃよかった!効果』と呼ぶ。
※そんなものありません
「ねぇ、私も異世界に戻れるまで、ここにいていい…?」
涙で濡れた私の頬を両手で包み、尋ねてくる紫音さん。
ちょっ、その艶のある表情でアップはキツイですって!!なんか火照ってきたし!
「え、えと、でも寝るスペースが…」
さすがにベッド3人は狭いだろうし…、となお近付く目の前の美人にだじろぎながら、必死に言葉を探す。目線が自然と泳いでしまうんだけど!
「ふふ、それなら大丈夫。私ソファで充分よ。」
「で、でも…」
「──駄目かしら?」
うっ…!そんな綺麗な若草色の瞳を濡らして、真っ正面から見つめられると……!!
「わ、かりました。戻れるまで、なら…。」
了承してしまった私。どうやら涙目に弱いらしいです(朱鳥参照)
「ありがとう沙良ちゃん!」
「ひゃあ!!」
いきなり抱き締められた;
私免疫ないから動揺するよ!!
「なんか騒がしくなりそうだなぁ。」
私達を見て、そう呟く朱鳥。
原因のお前が言うな。
「…まぁいいか。あ、ねぇ!提案なんだけど別に紫音ソファで寝なくても、自分と沙良ちゃんが抱き締めあえば紫音もベッドに入──フギャァ!!」
初めて人に右ストレートをきめた瞬間だった。
天国のお母さん、沙良は今日も元気です。
久しぶりの更新…!ずいぶん長い間放置しておりすいませんでした!!