第12話 命名、変態銀頭
コレ、殴る権利あるよね?
◆第12話 主婦は月9より昼ドラがお好き
「沙良、何してるんだ?それにこの人…誰?」
≫逃げる
≫誤魔化す
≫他人のフリ
≫そんな事聞けない体にする
沙良は誤魔化すを選んだ!
「こ、これは…!」
「どーも、沙良とは深夜に会うような密な関k「デタラメ言ってんじゃねェェェェェェ!!」
私は握っていたグラスを銀にぶっかけた。いや、なんていうか、つい反射的に……。
うわ、店員めっちゃ見てる。ってか、客もみんな見てるよ。何この空気、マジ気まずいんですけど。
ギロリと銀を睨む。だって悪いのコイツじゃん!さっきの発言は精神的セクハラよ!!
「仕方ないなぁ…。」
仕方ないって何!?なんか私が悪いみたいじゃん!え、私悪くないよね?うん、悪くない悪く…ないよね!?
「逃げちゃお♪」
「え?」
ニカッ、と笑った銀は私の手をとり喫茶店の外へと走る。
え、これ逃げていい場面!?
そんな私の気持ちも露知らず。銀は走り続けた。
…天国のお母さん、沙良はとうとう犯罪者になってしまいました。
――――――――――――――
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ―もう無理。少しも動けない。」
「大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないわよ!だいたいなに考え「えっと、お取り込み中悪いんだけど…。」
遠慮がちな声に振り返る。
忘れてた!!
「じゅ、純…。」
「何?沙良の友達?」
「あ、幼馴染みの水無月 純です!いつも沙良がお世話になってます!」
「いや、別になってないからね?むしろ世話してるからね?」
「そうそう。夜まで世話してくれちゃって☆」
「してないから!そんな事してないから!!ちょ、純信じないでよ!?」
「えっと…どういう関係?」
いや、まあもっともな疑問ね。こんな容姿の人なかなかいないもんね。
チラ、と銀を横目で見ると、丁度目が合った。銀は純に気付かれないよう私にウィンクする。
(任せて…って事かな?)
「はじめまして、銀っていいます。沙良とは遠い親戚みたいなもので、見ての通りハーフ。よろしく。えっと…純?」
うわーよくそんな嘘スラスラ言えるな。朱鳥だったら、普通に真実+勝手な妄想言いそう…。コイツ本当に同一人物?
「え?銀って…確か沙良の従姉妹も銀じゃなかった?」
墓穴!!
「どうする銀!?」
裾を軽く引っ張って、小声で聞いた。
「どうしよっか♪」
考えてないんかぃ!!
「ぐ、偶然よ偶然!それに朱鳥は名字が銀だし!ね!?」
「え?あ、うん。」
ああ、私まで嘘ついちゃったよ!ごめん純、幼馴染み歴13年なのに…!!
「そうなんだ。沙良ってハーフの親戚いっぱい居たんだね、知らなかった。」
そりゃそうだ。実際居ねえもん。
こんな無理矢理な嘘信じてくれる貴方が愛しいッス―。
(ふぅ、でもなんとか誤魔化せたわ。でも銀を見られるとは、しかも純に…。ああもう!外出なんかしなきゃ良かった!!)
そんな事を考えてると、不意に後ろから肩を掴まれた。
「ふぇ?―って何やってる銀!」
今の私の体勢、銀が私の肩を掴み、しかも私の頭に顔を乗せてる。銀は背が高いからジャストサイズ。
(こ、これって抱きつかれてるみたい…!)
「それじゃ、俺たちこれからデートだからまたね♪」
「なっ、なに言っ…!」
私の抗議も聞かず、銀は私を横抱き(つまりお姫さまだっこ)にして、純に背を見せた。
「ちょっと銀!下ろして!!」
「ダーメ☆」
「〜〜〜〜ッ!!」
一通り暴れたけど効果なし。少しくらい手加減しなさいよ!
純の目も気になったけど、私は今の状況に精一杯。このスケコマシめ!
(こんな街中姫だっこって、かなりのバカップルでもやらない!痛いくらい視線くるし!穴があったら入りたい……!)
「沙良純情だねぇ〜。」
「黙れセクハラ銀頭!」
――――――――――――――
その後はご飯食べたり、映画見たりした。でも『最後にホテル行かない?』とかほざくから銀だけ路地裏に捨ててきた。
次回からは朱鳥なので、またギャグモード★☆