第10話 二面性
彼女の事、欲しくなってきた
◆第10話 アサリの貝柱って食べない人多いよね。…まぁ、どうでもいいんだけど
あの日以来、朱鳥は私の従姉妹として、モテモテスクールライフを楽しんでる。あぁウザイ。
それと、最近知った猩色族の体質について。
なんでも、満月に近付く程男でいる時間が長くなるらしい。逆に、新月に近い程女でいる時間が多いとの事。
今日は満月に近いから、もしもの為に学校を休ませた。おかげで、今日は最高に楽しい一日だった…!!
そして、帰ってきたらいきなりこの一言。
「自分も学校行きたかった!」
授業全て寝てるヤツが言う言葉か。ってか、コイツ本当に何しに来てるんだっけ?
なんか答えるのも面倒だったから、とりあえずシカトした。その後色々騒いでたけど、それもシカトしたら泣き始めた。
あまりにウザイから、チョコレートあげたら、土下座して感謝された。
…最近扱い慣れてきたな。
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「ねぇ、沙良。風呂次入っていいよ。」
「ん、わかっ…、えぇ!?」
男になってるし!
「いや、びっくりしたよ。体洗ってる途中で変わるんだから。胸ペタンコなるし、下は『放送禁止、自主規制しろや。』
美形顔でとんでもない事言う前に止めた。この歩くセクハラめ。
「じゃあ俺先に寝るね。」
そう言って、ベットに寝そべる朱鳥。あ、今は銀か。ややこしいんだよチクショー。
…はい。もう分かる人もいると思いますが、ひとつのベッドで寝てますよ。朱鳥だろうと銀だろうと。まぁ、セクハラ発言するわりに手は出してこないし。
(いや、でも一緒に寝てるとか…。嗚呼、天国の母様、ふしだらな娘でごめんなさい。)
「風呂入らないの?あ、独りじゃ寂しいとか?なんなら、俺とい―『入ってきます!』
一刀両断して、銀の側をマッハ5で離れた。…マジでキモいんだもん。
あー、でも銀の接し方はよく分からん。だって朱鳥みたいに馬鹿じゃないし。
(どこまで本気なのか分かんない…。本当に同一人物??)
ため息が自然とこぼれる。
「じゃ、じゃあお風呂入ってくるね。」
「ごゆっくり。」
ニッコリと微笑む銀。
(わ…///)
「…どうした?」
「な、なんでもない!」
そう叫んで、風呂場へと光速並の速さで走る。
(うわ〜!!一瞬ときめいたよ、かなりの不覚!アレは朱鳥なんだよ!?夜はどんなにかっこよくても、あの朱鳥なんだよ!?自分を持て沙良!!)
目を覚ます様に、熱い湯船へ飛びこんだ。
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「…頬染めちゃって、かわいいなぁ。」
本当は、戻れる方法が分かるまでのつもりだったけど…どうしよっかな。
「犬も三日飼えば、情がうつるってか。」
―犬は君と俺、どっちかな?