第9話 事情聴取
いい加減泣きたくなる
◆第9話 美少女に可愛いって言われると、なんでムカつくんだろう
事情聴取第2回戦開始
「どうやって転校生になったの?」
「うすら髪の人の記憶をいじりました★」
「(…校長か)その制服は?」
「此処に来る途中、パンかじって走ってた子のを奪っ…貰いました♪」
「…家の鍵は?」
「結界はってきましたvV」
「…なにか言いたい事は?」
「ありませんです隊長!」
「…姫乃。」
「何?沙良。」
「殺意わかない?」
「え〜?こんな可愛くて面白いのに?」
「いやん、そんな当たり前の事♪」
―旅に出たい。誰も私を知らない所へ。私が誰も知らない所へ。っていうか、このバカが居ないならどこでもいい…。
「でも、びっくりだなぁ。朱鳥ちゃんが異世界の住人で、その上沙良の家に居候してるなんて…。いいなぁ、楽しそう!」
「じゃぁ、姫乃が泊めてあげなよ。私は二日目にしてダウンよ。」
本当にそうしてほしい。あ、でもこの変態と一緒に住ませるのは、姫乃の身が危ないかも。…いや、この娘なら全部天然ボケで乗りきれるか。
「そうしたいのは、山々だけど…」
山々って…、どんだけ苦労するか知らないから言えるのよ!
「お母様がなぁ…、異文化受けつけないから。朱鳥ちゃん見た目派手だし。」
「ああ〜、白鳥家の家元だもんね。」
そう。姫乃は名家の令嬢だったりする。母親は茶道の家元、父親は有名な物書き。だから、姫乃はああ見えて礼儀正しい。あの天然とロマンチストが消えれば、大和撫子なのに。
「自分は、沙良ちゃんと一緒に住みたいッス!」
ピシッ、と敬礼する朱鳥。
私は違うから。一秒でも早く、アンタと離れたいから。
「沙良ちゃん好かれてるじゃん♪」
「嬉しくないし。」
スッパリと言いきる。あ、朱鳥が体育座りして泣いてる。まぁいいか。
「でも沙良、なんでそんなに嫌がるの?こんな美少女と同居って、目の保養じゃん!」
「姫乃、私の話聞いてた?コイツ夜になると男になるのよ!言葉にもしたくないけど、同棲じゃない!」
「でも、もしなんかあっても沙良は力あるじゃん。そこらへんの男子より。」
「自分に怪力は通じないよ?自分魔法使えるから♪」
いきなり口挟むな。いつのまに立ち直ったんだよ。もっと突き刺さる事言えばよかった。
「えー、やっぱそうなんだ。でも魔法使いじゃないんでしょ?」
「異世界の者は、皆使えるの。自分ら猩色族の特徴は、性別変化と丈夫さとこの美貌!華奢に見えて、強いよ。生命力・治癒能力高いし。」
あ、私の思考はシカト?こういう時は心読んでくれないのね。便利だなオイ。
しかも、その異世界豆知識、初耳なんだけど。
「ところで沙良。こんな時に言うのもなんだけど、もう2時間目終わったかな?」
「……あ。」
そう言えば、必死で気付かなかったけど休み時間に飛び出してきたわけで、今頃は授業の終盤…。
「ねぇ沙良。提案なんだけど、朱鳥ちゃんが沙良の家に居候してる事、皆に言ってもいいんじゃないかな?」
「えっ!私は嫌よ!?」
「だからさ、沙良と朱鳥ちゃんは親戚とか言って…。そうすれば、別に変じゃないし。」
妙に説得力ある提案。確かに、なんて思っちゃう。
「お願い沙良ちゃん!自分ヒマ過ぎて死んじゃうよ〜!?」
うわ、出たウルウル上目使い。本当にそれヤバイから!動悸激しくなるから!
「…正体バレるんじゃないわよ。」
「沙良ちゃん大好きぃー!!」
結局私が白旗か…。
「やっぱ上目使いきくね(妖笑)」
計算!?