Kotoyuki Mast Die
サブタイに特に理由はないです。
ちなみに今回シーンはないですけど、エロあるのでご注意を
※この作品は健全な作品です。そんなピ――――とかピ――――なシーンはございません。
根城に非戦闘民と守備兵を残し恭介達は海岸線に来ていた。大きな船を目の前にして恭介はすっごい呆れ顔になっていた。この大きな船は漁師達のロマンがこれでもかと言うほど感じられる超大作と変貌していた。
「いやまあ、好きに作っていいって言ったけどさ。これはどうよ……」
舳先には龍の頭を模した飾り、帆にはどう見たって骸骨にしか見えないシルエット。驚くほど海賊船だった。
すでに各自持ち場へ着いており、エルフ達弓の名手達は甲板上の端を陣取り、翼のある鳥人はデッキで待機していたり偵察に出ていたりする。魚人達は船のスピードを出すために船の底付近に棒をくっ付ける作業に勤しんでいた。
「おう、やっと来たか」
「出たな。変態野郎」
「変態野郎は酷いな。それで、どうするんだ?これから」
「黒幕を潰しに行く」
「それだけか?」
「それだけだ。黒幕を潰せば止まるだろうからな」
恭介はニヤッと笑うと琴雪の肩を小突く。
「戦闘では期待してるぜ?」
「おう。けれど、その前にお前の部屋で話がしたい。いいか?」
「いいけど、なんだ?」
「いや…今後の事でな」
「分かった。クウ、亜矢、パンドラ。ちょっと行ってくる」
「うん!いってらっしゃい!」
二人で並んで船の中へと入ると外見に反して内装の方は意外と良い物だった。他の所よりも少ししっかりしたドアをくぐると綺麗な部屋だった。へぇ、と少し満足そうに笑う恭介を見て琴雪はクスリと笑った。
「なんだよ?悪いか?」
「いや、少し意外でな」
「そうか?それで、何の話なんだ?」
「ああ、俺はどこにつけばいいんだ?」
「ああ、そういうことか。それなら、そうだな。得意なレンジは?」
「近距離から中距離は出来る」
「魔法は?」
「牽制程度なら」
「なら、亜矢達の前衛にまわってくれ。あそこは、基本遠距離・中距離だけなんだ」
部屋の中の温度は外気よりも少し暑く、自然と恭介は襟元をゆるくした。これも男の性で緩んだ胸元から見える谷間へと琴雪の視線がチラチラと行くが元男である恭介は気付くはずもなく話は進んでいった。
――――
そのころ、クウ達は甲板で作業をしていた。
「ねぇ、亜矢」
「ん~?どーかしたー?」
「これ書くの手伝ってくれない?」
「わっ、なにこれ、クウが設計したの?」
「えっと、家の地下にあった文献の物を模写してきたの。どうも、名無しは単騎で突撃するつもりみたいだから、念の為に秘密兵器として用意しておこうかと思って」
「あ~、だろうね。そんな性格だもん。自分に出来そうな事は全部背負い込むタイプだし」
「よく知ってるわね。もしかして知り合い?」
「まあね。恭……名無しとはちょっと前から顔見知りで」
「恭?」
聞き返してきたクウの表情を見て亜矢はしまったなぁ、なんて思ったが、もうどうしようもなかった。恭介からは名前の事を口止めされていなかったし、パンドラなんかいつポロッと喋ってもおかしくなかった。けれども、問題は喋ってしまった相手だ。クウは結構恭介に好意を懐いている。そんな彼女が知らない事を新参者の、しかも恭介が会ってすぐに名前を呼んだ人物が知っていたらどうだろうか?まあ、要するにクウは現在、嫉妬している。
「亜矢、恭って何?名無しの事?ねえ、どういう事?」
「あは、あはははは……な、なんのことだろうね?」
「どういうこと?」
「それは本人に聞いてみてよ。あたしの口からは言えないねぇ」
あいまいに笑って誤魔化す亜矢にジト目で抗議するクウ。そんな行為さえもどこ吹く風、出来るだけ話題を逸らすために琴雪の話を振ってみた。
「あのさー、琴雪なんの話なんだろうねー?」
「ん?さあ?あれじゃない。俺の活躍する姿を見ろーとか」
「ださっ」
「まあ、これが終わったら見に行ってみない?」
「パンドラも行くー」
「そうだねー、これ終わったら行こうねー」
なんてのほほんと大型儀式魔術を甲板へと書きこんでいった。
**二時間後**
琴雪とその他男三名がパンツ一丁で廊下に正座させられていた。彼らの前で顔を赤く上気させ艶っぽくなっている恭介が仁王立ちしていた。艶っぽいが怒り心頭のご様子だ。くわばらくわばら
「懺悔ターイム。さてさて、どう説明するんだ?」
「……あんたが誘ったんじゃないか…」
「あぁん!?男が言い訳するのか!?」
「「「すいません……」」」
そんなお怒りの恭介の元へクウ達が来たのは10分程経ってからの事である。彼女達が初めに見たのは顔をボコボコに腫らした琴雪達男三名と拳を赤く染めて少しガニ股気味
「な、名無し?」
「なんだ?」
「なんでガニ股?」
「女になってしまった」
「…………」
それを聞いた途端、クウが物凄い笑みを浮かべて男三人を見つめた。その様子を見た恭介は、俺が手を下すまでもねぇなと思ったようで自らに治癒を施すとパンドラと亜矢を連れてその場を後にした。理由としてはめんどくさいのと二人の教育上悪いからである。最後に男三人へ恭介は笑顔でこう言った。
「そうそう、お前ら三人は本日付で特攻部隊な。もちろん、隊長は琴雪、部隊の総人数はお前らだけ。良かったな。手柄が増えるぜ?」
そして去っていった。その場に残った男三人とクウの間にちょっとした静寂、更にニコッと笑ったクウは死刑宣告をした。
「それじゃあ、お仕置きを始めましょうか?」
悲鳴が響き渡ったのはそれからすぐだった。
ちなみに第二章の序盤に言うのもなんですが、この作品、第三章まであります。
ふぅ、長い長い。終わり方は決まってないんですけどね。^^;