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恭介くんの数奇な生活  作者: 熊海苔
第2章 新大陸侵攻
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6 作戦会議と苦悩

 亜矢の参加から十日程経ったある日、根城の中で一番大きい部屋に各種族の長や女達が集まっていた。各々、なぜ呼び出されたか分かっておらず頭の上に?マークを浮かべて女の方を見たが、その人物は机にぐでぇ…と伸びきってやる気の欠片すら見えず更に場を混乱させる材料となっていた。

 そして、おもむろに立ち上がる人物が居た。クウである。


「ここに集まってもらったのは他でもない。アタシ達の現状について話し合おうと思って」

「……どうしてこうなった?」


――――


 時間を遡ること二時間前、場所は新しく仲間になった亜矢の部屋である。ベッドの上に亜矢、イスにクウ、壁にもたれて女が集まっている。


「いや~、亜矢が増えたから戦術が増えたね」

「主に退避する時の援護攻撃の話でしょ?」

「まあね。私が行けばなんとかなる訳だし」

「へ~……ん?じゃあ戦術じゃなくない?」

「だね。ぶっちゃけるとみんなに足止めしといてもらって私が掃討するわけだからその際の撤退援護くらいか」

「それよ!」

「「へ?」」

「アタシ達ずっと名無しに頼りっきりじゃない!そこにアヤが増えたんだから名無しなしでも戦えるようにしないと」

「え?え??」

「よしこうなったら!」


 クウは窓を開けると全員に通達した。『二時間後に大広間に各種族長といつものメンバーは集合!名無しからの連絡以上!』と叫んで部屋を出て行った。その場に取り残された二人だったが、自分の名前を使われた事に今更気付いた女はわたわたと混乱し始めた。


「あ、亜矢」

「なに?」

「俺ってなんか名前使われただけでそんな事言ってないよな?」

「まあ、ドンマイ?」

「うぅ…ちなみにこの会議的なのは亜矢も参加だからな?」

「分かってるよ~」

「あっ…分かってたんだ」


――――


 と言う事があったのだ。だから視線を集めている女であるが、本人はそんな事を一切口走っておらず犯人は今堂々と立ち上がって宣言したテンション異常娘なのである。


「質問なんだが…」

「なに?クラウド」

「名無しが死にかけているがあれは?」

「ああ、気にしないで」

「あ、ああ、それでそこに居る彼女が?」

「亜矢だよ~よろしく~」

「よろしく。でだ、会議の内容は?」

「じゃあ、本題に入るわ。現在だけどアタシ達は名無しに頼りっきりな訳なんだけど、そこにアヤの登場よ。要するに名無しなしでも戦えるようになっておかないと」

「なるほど…一理あるね。僕は賛成だけどみんなは?」

「俺も同意見だ」

「賛成」

「名無し、異論はないわね?」

「な~い……だから、私は退室するよ」


 イスからゆっくりと立ち上がるとノロノロと歩き始めた。呼びとめようと狼の男が立ち上がる。が、女は振り返る事無くドアを開けて出て行った。

 女は調理場へと向かうと一本のビンと杯を取り出して歩き出した。途中、井戸から水を汲み自分の部屋に向かった。

 部屋に着くと木で組まれた箱の中を水で満たしビンを冷やしておく。背伸びをすると骨の節々がパキポキっと小気味良い音を立てた。


****


 空には二つの月が上り辺りを淡く照らしていた。その月光の中、根城の屋根の上で一人杯を傾けて女は酒を楽しんでいた。また杯を酒で満たしクイッと呷る。一息に飲み干すと月を見上げる。同時に風が吹き女の頬を撫でて行く。

 月を見上げていると隣にレジュグリアスがビンを持ち女にお酌しましょうか?と微笑みかけられ女は頼んだ。レジュグリアスが女の持つ杯に酒を注ぐ音と虫の音だけが一人と一柱を包む。


「お前にこんな事を愚痴るのもどうかと思うんだけどさ…」

《なんでしょう?》

「昔――つっても数ヵ月前なんだけれど、それまでは人どころか動物を殺めても吐いてたのにさ。最近はそんな事何もないからさ、自分が怖くて…な」

《成長……と受け止めてみてはどうですか?》

「ゴメン、やっぱ泣かせてくれ」

《いいですよ。私の事は気にせず気が済むまで泣いてください》

「うっ…くっ…」


 堪えるような声で泣く女の頭をレジュグリアスがそっと撫でた。それがとどめだったのかレジュグリアスに抱きつき本格的に泣き始めた。


――――


 照れた様に頬を紅潮させて女はレジュグリアスに謝る。


「すまん。変な手間かけたな」

《いいですよ。パートナーでしょう?》

「いんや、相棒だ」


 女のその言葉にレジュグリアスは微笑む。そして、女は杯を呷る。また一人と一柱の間に無言の時間が訪れる。少しすると笑みがこぼれ始める。

 とその時、根城の前に動く影が見えた。女は目を細めてじっと見た後屋根から飛び降りた。

 女はその影へと近づいて行く。ある程度近づくとその姿が見えてきた。薄紫の髪をツインテールにした橙の瞳の少女――クルルスである。


「や、お疲れ様。クルルス」

「ちゃんとお伝えしましたわ。ですから……その…ご褒美をくださいまし」

「ご褒美?なにか欲しいものでもあるの?」

「あ、頭を撫でて欲しいですわ」

「うん?それなら別にいいけど。そんなのでいいの?」

「はいですわ」


 未だに不思議そうな顔をしている女だがゆっくりと撫で始めるとクルルスは気持ちよさそうに目を細めて撫でられている。しばらく撫でていたが女は腕が疲れてきたからか撫でるのをやめると不服そうな視線を女に向けてきたが軽く流して部屋へと向かい始める。


「そうそう。どうせ、ミーナに刀を向けたでしょ?」

「…ッ!なぜそれを?」

「そりゃ、クルルスの性格を考えたらそうでしょう?」

「バレていましたか…そうですわ。けれども、負けました」

「レヴァーテンで?そりゃまあ、ミーナも強くなったなぁ。魔剣でも使われた?」

「フロッティを使われましたわ」

「そりゃしょうがない。うん、ホント御疲れ様。部屋でゆっくりしてて」

「ええ、そうさせていただきますわ」


 スカートの裾を指で摘まんでお辞儀をすると根城の中へと消えて行った。その後ろ姿を眺めて苦笑した女は小さく呟いた。


「この世界はホントに……」


 月が輝き、星が瞬く空を見上げて悲しげな表情を受けべる。その目は虹色と黒に染まっていた。


「残酷で救いようがなくて…でも―――」












「優しいな」


 その呟きは虚空へと溶けていった。

はい、一か月ぶりです。お久しぶり


やー、色々とあって今回は総合的に考える時間が少ない状態で投稿してしまいました←

言い訳を一つ。テストですよ、テスト。期末テスト、赤点×4とかね。心が折れますわ

しかも最近ネタ切れで他の執筆が進まない!というかネタがほとんどコレに移動してしまう不思議。ホント困りものです。


ではでは、本編について

今回は名無しさん離れをしようとクウちゃんが暴走気味、レジュグリアス(以降レアス)さん男前な回でした。そして名無しさんがもう皆さん誰かわかっていると思いますが知らないふりしてあげていてください。所詮それだけの文才なのですから作者が

そしてクルルスさん再登場、某黒ウサギのキャラをイメージしてます。あのツインテの娘です。でも性格まったく違いますのでパクリじゃないですよー

武器はまあ、次回くらいから説明出来たらなぁと考えていたりいなかったりです。



ではまた次回お会いしましょう。なんか愚痴のような後書きでした~

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