3 和馬・秋――浜辺の少女
文自体けっこう前に書いてあったものなのでヘボさにはご勘弁を
「♪~」
今、僕は夜の砂浜を散歩しています。理由は簡単、僕がここを好きであり、クレアの魔の手から逃れるため…でも、僕は本当にここが好きだ、磯の香り、波の音、朧げに輝く月、満天の星空、澄んだ空気。
僕の居た街では見ることの出来なかった景色が今は世界が違うけれども見ることが出来た、それがなんだかとても嬉しい…
「ん~、やっぱりここはいいな、誰も居ないし静かだし」
そこで波打際に誰かが居ることに気がついた。漆黒のコートに真っ白な長い髪、陶器の様な白い肌、ほっそりした四肢、そこには少女が倒れていた。
僕は突然のことに呆然とした。なんせ、人型の魔物――魔族はこの城にしか居ないからだ。
「ちょっ、あの、大丈夫?」
反応がない、完全に気を失っているみたいだ
「ねぇ、君!大丈夫?」
「うっ……」
やっと気がついたみたいだあと一息…
「君!大丈夫か?」
「うぅ…う~ん………こ、ここは?」
「え~と、魔王城だよ。僕は和馬、君は?」
「わ、私?え、え~と…」
この人が私を助けてくれたみたい、私の名前を聞いてきたけれど思い出せない
「あの私は、誰なのでしょうか?」
「え?記憶喪失なの?」
「あ~……そうぽいです」
まさかの展開、新人さんいらっしゃ~い
「う~んなら、とりあえず城に泊まっていけばいいよ」
「いいんですか?あっ…えっと…その…和馬さんに迷惑をかけるかもしれませんし…」
「そんなふうに心配してるなら大丈夫だよ。無駄に部屋数あるから、クレアに見つからないだろうし、まあ、雪華は大丈夫だろう」
「くれあ?せつか?」
「ん?ああ、部下みたいな人と婚約者みたいな人」
「へ~、若そうなのに上司さんなのですか。すごいですね!」
「いやいや、勝手になっちゃっただげだし…と、立ち話もこれくらいにして行こうか?」
「そうですね。では、行きましょう」
歩き始めた僕の後ろをテクテクとついて――来てはいなかった。後ろを見ると、まだ座ったまま
「どうかしたの?」
彼女は、顔を朱に染めて俯き加減に言ってきた
「うぅ…お恥ずかしいのですが、立てないんです」
「あー、じゃあちょっと待ってて今そっちに行くから」
今まで気付かないふりしてたけど、この子背中に太刀背負ってる…なのに服は、ワンピースにコート…なにこの組み合わせ、奇抜過ぎない?
「よいしょっと、うわ、冷た!本当に大丈夫?」
「今の状況が大丈夫じゃないです。恥ずかし過ぎます」
「わががま言わないでよ…このまま行くからね」
そういって歩きだす。この砂浜から城までは、距離があるからそれなりにに歩かなきゃならないのが改善したい所だ
「ほう、これはこれは魔王殿ではありませんか。背中の子は誰です?」
ああ、めんどくさいのに会っちゃったな…しかも怒ってるし
「その海岸を散歩してたらこの子が倒れていたんだ。だから、保護しただけだよ、
あっ、この子をお風呂に入れてあげて、かなり体温が下がってるから」
「ふむ、承知した。ならばその子を渡せ」
「え、あ、う、うん」
「ほう、ギルドに所属しているか…ならそのブレスレットに名が載っていないか?」
「ふぇ?あ、はい……え~と……あ、ありました。えっと、峰治 秋ってあります」
「ふむ、よし、風呂に行くぞ。秋」
「あ、はい!」
「死ぬなよ~」
峰治…まさかね…
****
「さて、秋、風呂に入るぞ。さっさと脱げバスタオルは忘れるなよ?」
「わ、わかりました」
「それにしても、なぜこんな辺境の地に来たんだ?」
「分かりません。気がついたらここに居ましたから……」
うぅ……この状況で考えるのはおかしいけどクレアさんスタイルが良過ぎですよ……
私なんてこんなんですし…嫉妬してしまいます!
「ふむ、何を落ち込んでいる?ああ、スタイルのことか」
「な、なんでわかるんですか!私はまだ何も…」
「顔にすぐ出るぞ?くくく、分かりやすくておもしろいな秋」
「からかわないでください!もう!クレアさんはちょっといじめっ子すぎます」
「怒るな怒るな、可愛らしい顔が台無しだぞ?」
頬を膨らませて怒ってはみたのですが、人差し指でつんつんされて空気が抜けてしまいました。クレアさんは強敵です。色々な意味で
「体を洗ってから湯船に入れよ?」
「それくらい、わかってますよ。そもそも言ったそばからクレアさんが入らないでください!」
「私はいまさっき入ったから問題ない」
「はぁー、もういいです……」
なんかこの人の相手は疲れます。手玉に取られていそうで怖いですよ
しかも、女風呂なので和馬さんは助けに来そうにありませんし……そうでした、もう一人雪華さんと言う方がいるそうなので助けてくれるかもしれません!来ないと思いますが
「それにしても広いお風呂ですね」
「それが自慢なだけの城だよ。ここは」
「そうですか?砂浜も綺麗ですし、静かで良い所じゃないですか」
「昼間はかなり五月蝿いぞ?朝方はあまりだがな」
「そうなんですか?でも五月蝿い方が楽しいじゃないですか」
「はっはっはっ、まあ明日実際に見たら意見が変わるさ」
う~ん、そんなに凄いんですかね、想像出来ませんよこれだけ差があるらしいんですから。
あう!目に泡が入りました。痛いです。うぅ、石鹸の成分が強すぎるんじゃないですか?
あっ、クレアさんが流してくれました。
「ありがとうございます。クレアさん」
「い、いや、うむ……」
「?」
なんで慌ててるんでしょう?私変な事を言ったでしょうか?
「秋……お前以外と天然なのだな……」
「?」
ふ~む、魔王城は不思議な所ですね。なんで感謝したらああいう反応されるんでしょう?
「ふむ、秋はこれからスタイルが良くなるぞ。私くらいになると触ればわかる」
「貴女は、何者なんですか!?」
「ただの魔王秘書だが?」
「ただのですか?」
「うむ。ただのだ」
「へ~、ただのですか。魔王秘書ってじゃあ凄いんですね」
「すまない。そこまで信じ込みやすいとは想定外だ。これは個人的差だよ。もっとも私の場合は経験上だけれどもな」
「へ~」
「さてと、そろそろ上がろうのぼせてしまう」
「はい!」
これから、どうなるんでしょう?私の生活は……