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恭介くんの数奇な生活  作者: 熊海苔
第2章 新大陸侵攻
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2 ミーナ――急ぐ意味

いやっほー!新キャラだぜぇ


すいません。調子に乗りました…

 あれから私は魔王城へとシンシア達と向かっている。なぜ急ぐかと言うと、まず恭介が行方知れずな事。

 各国が別大陸へと兵を向けている事。

 最後に今回の魔王が凄く友好的であり、恭介の居た世界の人間らしいから


「ミーナ?急ぐんじゃなかったの?」

「ゴメン。考え事してた。行こ?」

「あ、うん……ならいいけど」


 いけないいけない!折角シンシア達と向かってるのに私が足引っ張ってどうするのよ!


「それにしても……」

「ん?」

「ミーナ変わったね。好きな人が出来たんでしょ?」

「ま、まあね」

「あっはっはっ、照れなさんな照れなさんな!」

「う゛~……べ、別に照れてなんかっ!」

「ちっ!二人共、静かに囲まれている」

「何~?賊?」

「恐らく賊だ。目当ては二人だろう」


 少しすると、山賊とおもわしき男が10人くらいで私達を中心に円状になって囲ってきた。シンシアは腰にある青龍刀二振りを抜こうとしている。ゼトは背中の魔剣に手をかけていた。

 私?私は殲滅魔法の準備をしているわよ?


「へへへ、久しぶりの上玉の女だ」

「二人共、動かないでちょうだい」

「ま、まさか」

「殲滅魔法…か」

「潰れなさい!グラビティ・ヘル!」


 急激に周りの重力が跳ね上がり、山賊達は立っていれなくなり、やがて

 重力に体が耐えられなくなり、そして



 潰れた。


「さっ、行きましょ」

「あ、うん」

「末恐ろしい姫だな……」


 ゼトが何かを言ってるようだけど私はそっちよりまだ周りから放たれている殺気の方に集中していた


「ゼト…」

「ああ、わかってる。やり手がまだ残ってるな」

「ふふふっ、貴女がミーナ?」

「だから何?」


 目の前には薄紫の髪をツインテールにして橙の瞳の少女が居た、私が見たこともない赤を基調にした服装

 表情は依然として人を蔑むような微笑のまま


「あんた、誰?」

「今から死ぬような人に教える名前は持ち合わせていませんわ」

「そう…力ずくで聞くしかないってわけね」

「そちらの殿方、手を出したら隣の方の綺麗な顔に傷がつきますわよ?」


 その言葉にゼトは苦虫を噛み締めたような表情になって剣から手を離した。私と一対一で勝負する気?


「いいわ。受けて立とうじゃない。ゼト、それ、貸してちょうだい」

「これはしかし…」

「…貸しなさい」


 静かに怒気を含めて言う。渋々ながらゼトは渡してくれた。私が触った瞬間、拒否するような気配が魔剣から伝わってくる。それを無理矢理抑えて正面に居る少女を睨みつける。


「おお、怖い怖い、せっかくの顔が台なしですわよ?」

「今はそんなのどうでもいい。さっさと始めるわよ」


 言うや否や走って距離を縮める。もちろん身体強化はしてある。


「ッ!早いですわね。けれど!」


 少女が刀を鞘走らせながら息を吸う。何をするつもり?


「フレイア!」

「!?」


 少女が叫ぶと刀に彫ってあった文字から炎が噴き出した。それを私は咄嗟に魔剣で防ぐものの服の袖を燃やした。


「ゼト!この剣の能力使うわよ!」


 私はゼトの返事を待たず、剣に告げる。

 歌うように

 詠むように

 叫ぶように


「敵に穿つて破壊し、敵を薙ぎて消失さす。目覚めてフロッティ」


 そう言うと魔剣の刀身が縦に真ん中から割れて空間が出来た。


「そんな物でわたくしのレヴァーテンに対抗出来るとでも?」

「思ってるわよ?」


 また、一気に接近。少女が放った炎をフロッティで切り裂く


「なっ!?」

「これで終わりよ!」


 フロッティを大きく後ろに引き、前へ突き出す。


「くっ……」


 少女が魔法壁を作るけれど、無駄


「言わなかった?フロッティは穿つと破壊して、斬ると消し去るって」

「!」


 少女が反応するけれどもう手遅れ、魔法壁が破壊されてその時の圧で地面にたたき付けられた。チェックメイト


「それで?名前は?」

「……クルルス」

「用件は?」

「伝言を頼まれたのですわ」

「伝言?誰から?」

「それは依頼者に言われて言えない。内容は、魔王に匿って貰って静かにしていろ。」


 魔王を知っていて、私の事も知っている。そして、今居ない人物……

 私には一人しか思い付かない


「恭介…」

「恭介?わたくしに頼んで来たのは女性の方ですわよ」

「ミーナ」

「へ?あっ、ああ、クルルスもう行っていいわ」

「そう?では失礼させて頂きますわ」


 そう言うとクルルスは森の中に消えて行った。

 これでやっと情報が入った。恭介は今どこかで生きてる!

 しかも、魔王は恭介の知り合いっぽいし


「さ!急ぐわよ!」

「ゼト、あの子は呼べないの?」

「少し難しいな……ベルベット!」


 ゼトは何を呼んだんだろう?少しすると右側の木々が揺れた。結構大きい?


「紹介しよう。ミーナ、コイツがベルベットだ」


 木々の間から出て来たのは魔獣の一種

 恭介曰く猫又

 要するに二本の尻尾を持った猫。


「猫?」

「まあ、猫型の魔獣だ」

『ニャ!』


 体が結構大きいけれど、愛くるしい目でこっちを見ながら首を傾げてくる。可愛い…

 ……と、いけない、いけない


「この子に乗って行くって事ね」

「ああ、乗ったほうが早いだろう?」

「そうね。その子には二人が乗って」

「ミーナ~?それおかしいんじゃない?」

「私にはこの子が居るから」


 口元に指を当て指笛を吹く。すると、空からバサバサと羽ばたく音が聞こえてそれが地面に降り立つ。青い瞳を爛々と輝かせた赤黒いドラゴン、恭介にも他の誰にも教えていなかった私の旧友


「ありがと。来てくれて」

《なに、寝起きの準備運動じゃよ》

「そう」

「ねえ、ゼト」

「どうした」

「ツインツンデレ」

「なに馬鹿なこと言ってるの?行くわよ。シンシア」

「は~い」


 カサルシウスに跨るとふわりと舞い上がる。この感じ久し振りね。下を見ると両腕でゼトのベルベットを持ち上げてゆっくりと羽ばたき高度を上げていく。


「あんまり高度は上げないで、息がしずらくなるから」

《無茶を言うのぉ、じゃがしょうがない。人間は儂等と違って脆いからのぉ》

「悪かったわね」

《責めてはおらぬよ。ただ難儀だと思っただけじゃ》

「あっそう、2時間ごとに休憩だからよろしくね」

《体温のせいじゃろ?ほとほと、難儀じゃのぉ》


 口が減らないお爺さんねぇ…お肉減らそうかな…


《すまん。それだけは勘弁してくれんかの?年寄りの楽しみを奪うでない》

「ほんと、口が減らないわね」

《そういう性格ゆえ》

「まあ、いいわ。先を急ぎましょう」


 カサルシウスは速度をあげ魔王城へ道を急いだ。

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