23話目 秋と恭介
朝、スズメっぽい鳥のさえずりで秋は目を覚ました。
昨日はツカサに会った後、関所までひたすら歩いていたから足が大変ヤバイことになっている。
そして、状況的にもヤバイ……
「すぅー…すぅー…」
「くぅー…くぅー…」
「なにこれ?なんで二人が俺の寝てたベッドに居るんだよ…」
そう、ミーナとメグが何故か秋のベッドの中に居る…二人とも秋の細い腕に抱きついて
メグはまあいい。しかし、ミーナにはこの前、ファーストキスを奪われているのだから、
ここまで近くに居るとドギマギしてしまっている秋だった。
可愛いらしい寝顔、柔らかそうなピンクの唇。その唇にそっと――
「って、何しようとしてんだ!?俺は!しかもドキドキしてるし…」
「誰にドキドキしてるの?」
「そりゃあ、ミーナにだよ」
「何しようとしたの?」
「え、えっと…キ、キスを――ってミーナ起きてたの?」
「アキ、どこにキスしようとしてたの?」
「HAHAHA、ナンノコトヤラ」
もう自分のやろうとしていた事を分かってるのに聞いてくるってヒドイなぁ
「まあいいや、私からするから」
「へ?……ンッ!?………ングッ!」
前回の時のキスと違い、舌が入ってくる。
いや、あのこれってディープキスですよねぇ!?ちょっと!?ミーナさん?
あの、なんで抱きしめてるんですか?舌を絡めてこないでください。ちょっとぉ!?
「ンン……ふふふ♪」
二人の間に透明な糸が引く。
あっ…やべぇ頭がポーッとする…
「い、いきなり何すんだよ。ミーナ」
「ん?キス」
「何で」
「アキが好きだから」
「え?ミーナは恭介が好きなんじゃないのか?」
「だから、アキが好きなの。前に言ってたじゃない『恭介は俺だ』って」
「だけど……」
「いい?私はキョウスケでありアキの貴方が好きなの」
「………」
「女の子にここまで言わせておいて返事はないの?」
そこで、ミーナの告白を受けた時自分の中に違和感を感じる。大切な何かが離れたような感じだ
「あぁ、俺もミーナの事が好きだ秋は知らないがな」
「え?今なんて?」
「ん?何が?」
何か失くしちゃダメな物がない
あるのにない
この感覚はなんだ?
この半身を持って行かれたような感じは
一体何が起きている…!
「アキ?大丈夫?」
「ああ、大丈夫だと思う」
もちろん嘘だ、大丈夫なはずがない。
でも、ミーナに心配して欲しくないから
「とりあえず、メグを起こして出発しよう」
「うん、わかった」
ミーナがメグを起こしている間にさっきの事について考える。
あの半身を引き離されたような感覚について
あるのにないという矛盾した感覚
それは、まるで一つの物が二つになった感じ
二つ……人格?……俺と私……恭介と秋……ッ!
俺は誰だ?
恭介、秋ではない
違和感の正体はこれか?
(お~………い…………~い………お~い)
(は?秋か?)
(そうそう、私だよ。それにしても何で私と離れちゃったんだろうね?)
(ああ、やっぱわかんねぇか…でも、まあ居なくなったわけじゃなくて良かったよ」
(なんせ私達は…)
(一心同体だから、だろ?)
(うん、そうだよ)
(じゃあ、メグも起きたみたいだし一旦向こうに専念するよ)
(ん、わかった。じゃあ今度……公式の場の時は私が表に出るね)
(ああ、そん時は頼むわ)
「おはよ~秋ちゃん、ミーナ」
「おはよ」
「やっと起きたか、寝過ぎだぞ?」
「まあまあ…さあ、出発しましょ」
「ん、そうだな」
「ごはんは?」
「歩きながら食うから、安心しろ」
そう言うと、壁に立てかけてある太刀を背負う。そして腰には紅の西洋刀、剣を差す
ミーナは腰に二本の小太刀を付ける。これは俺がこの前作った物だ
「そういや、ミーナはツインテールにしないのか?」
「ん?して欲しい?」
「似合うと思うからさ」
「じゃあ、するからちょっと待って」
俺はミーナにポーチから水色のリボンを出して渡す
ミーナはものの数分でツインテにした。
「どう?似合ってる?」
「うわぁ~ミーナ凄い似合ってる!」
「ああ、凄い似合ってる。うんうん、ツンデレっぽさが3割り増しだな」
「どういう意味よ」
「ははは…褒めてるんだよ。にしてもフェイトに似てるなぁ~」
「誰?」
「気にすんな♪ただの妄言だ」
適当に誤魔化すとミーナはちょっと不機嫌になってしまったが引いてくれた。
まあ後でご機嫌取りをしなきゃならんが……
う~ん、この前貰ったチートで夜に月光蝶でもやるか?
無論、綺麗だからだが
「じゃあ秋、今から南に向かってたのを東南東に進路を向けるから」
「ん、りょーかい」
「それにしても全然魔物が寄ってこないね~」
「ああ、今の所ずっと俺が殺気を全域に送ってるからな」
弱い魔物ならその辺で引っくり返ってピクピクしているだろう。
にしても、秋って呼ばれるとなんか違和感を感じるな
「あのさ、二人とも俺の事は恭介でいいよ」
「ん?突然どうしたの?別にいいじゃ~ん」
「メグの言うとおりよ、いきなりどうしたの?」
さっきあった事を説明した
「本当にそんな事って起こるものなの?」
「ううん、こんな事なんて稀だよ。ごめんね恭介」
「いや、別にいいんだがな」(どうする?秋)
(そうだな~なんとかなるよ!)
(その回答はなんだかなぁ~)
(なんとかなるよぉ~)
「まあ、気にせず気楽に行こうぜ」
と言ったものの解決策特になし、はは…自分の馬鹿さ加減にびっくりだ
で、東南東と言うとトウハの国にでも向かうのか?
「ミーナと恭介ってなんかあったの?」
「な、なんだ?いきなり」
「ミーナの恭介を見る目が変わってる」
「マジ!?」
やはりこう言われると振り向いてしまう
「バカ……」
「あっ、騙したな?」
「それで、何があったの?」
「いや、あの……」
「私が変わりに言うわ」
「ゴメン」
「それで?」
なにこれ?女の修羅場?怖すぎる……
しかも、神VS一国の姫だぜ?あっでもこれだけ見たらメグが圧倒的だけど、
ミーナの方が修羅場を潜ってそうだからなぁ~
あれ?これってはーr……
(現実逃避はダメだよ?)
やめて、逃避させて
(ここからは、心を鬼にしていくよ?)
わかりました。現実を見させていただきます。
「私と恭介、キスしたの」
「え!?」
「ストレートに言いやがった……」
「ふ~ん、じゃあ私はいらないんだ」
「何でそんな結論になるんだよ!」
「だって、私がいたんじゃイチャイチャ出来ないんでしょ?なら居ないほうがいいじゃん」
「馬鹿野郎!自分の事をいらないとか言うなよ!悲しいじゃんか自分で自分を否定したら
悲しいじゃんか!」
そっぽを向いているメグをこちらに向かせる。するとメグは目に涙を溜めていた。
ミーナにはすまないがメグを抱きしめる。
不安で震えてるか細い肩を強く抱きしめる
「メグはいらくない、俺達にとって大切な存在なんだ。だからそんな悲しい事言うな。な?」
「うん…」
「ミーナ、こっち来て?」
「え?う、うん」
ミーナがこちらに来るとすぐにミーナも抱きしめる
「俺達は絶対3人だ。いや、秋と俺が離れたから4人か。誰も欠けちゃダメだ。2人ともわかった?」
「「うん…」」
(いや~恭介がここまで大胆だったなんて)
何が?
(場所考えてやろうよ。こういう事はさ)
あ……
道の真ん中で抱き合ってる3人だった
なんか展開が凄い事になってしまいました!
あれぇおかしいな?
ぶっちゃけ、ノリで書いてたらなったんですけどね
ではでは、熊海苔でしたノシ