15話目 休憩中だったはず…
どうも、秋です。
緊急報告です。ミーナが男に戻った状態の俺に恋したようです
メグなんか、さっきから笑いを堪えるのに大変そうだ
「で、その恭介さんとやらは、どんな人なんだ?」
「聡明そうでカッコイイのだけれど可愛くて、とてもいい人よ」
かなり惚れこんでいるようで…
その恭介さんは、目の前で話を聞いてるよ~もう告白しちゃってるよ~
と、言うこともできないからちゃんと聞き役に徹してる訳なんだよな
それをいい事に熱心に恭介の良さを語り始めてるし
「――でねって、アキ聞いてる?」
「ん?ああ、聞いてるぞ」
『ミーナは恭介に会いたいの?』
「会いたいに決まってるじゃない」
『じゃあいい事教えてあげるよ。恭介は、ミーナのすぐ近くにいるよ』
ばかっ!なんて事を言ってるんだよ。
はぁ、もういいよ、ミーナに白状する。
「ミーナ、悪いんだけど――」
「どうしたの?アキ」
ここで俺は恭介になる。
後でばらして色々言われるより今言っといた方が被害が少なそうだからかな
「恭介は、俺だ」
ミーナが言葉もなく口をパクパクさせている
少しの間の静寂
「じゃあ、あそこで私を助けたのも」
「元に戻っていた俺だ」
「私とのデートに付き合ってくれてたのも」
「俺だ。てか俺を探すためじゃなくて、あれやっぱりデートだったんだな」
「うぅ、舞い上がってた私って一体……」
【久しぶり秋】
「おう、久しぶり、今度は何やってたんだ?」
【ナハトが競馬で一山当てたから遊びに行ってたのよ】
相変わらず向こうで好き勝手やってるな
「ナハトは?」
【大食い選手権にお金目当てで出てるわよ。今現在】
「なんかもう、人生エンジョイしてるな。なんの大食い?」
【激辛ラーメン】
「うっわ、かなりきつくない?のど焼けるよ?」
【ナハトだから、大丈夫よ】
「そうだなww」
『そこで納得しちゃうの!?』
「ナハトだもんな~」
あの傍若無人かつ戦闘狂兼負けず嫌いなやつだもん
負けそうになったら無理やり勝とうとするようなヤツだし
後から聞いた話だとナハトはちゃんと優勝したらしい25杯完食で
「てい!」
「はう!空手チョップはさすがに痛いよ…」
「人の話を聞いてないからよ」
「うぅ…ごめん」
「レイは帰っちゃったから…まあいいか、そういえばノアース姉弟は?」
「さきに魔王の所に行くって」
なんか倒したら貰えるのか?
ジャガイモ?里芋?長芋?なにが貰えるんだ?
と、いけないいけない、芋ワールドに入るところだった…
「まあ、後で追いかければいいか。にしても何しようか今から…暇だし」
コンコン
ドアが小気味いい音を出したかと思ったときにはメイド長さんが入ってきてました
俺を着せ替え人形にしようとした張本人ですよ
「あら、アキ様にメグ様、姫様も帰っておいででしたか。アキ様、
王様がお呼びです」
「わかりました。謁見の間でいいですよね?」
「いえ、王様の自室へ来るようにとのことです。場所は姫様の部屋の3つ右側です」
「ありがとうございます。じゃあ、行ってくるな」
「いってらっしゃい」
『がんばれ~』
「はいはい、どうも~」
やれやれ、城ってなんでこんなにデカイかな~移動がめんどくさい…
と、思いつつもちゃんと部屋に向かう秋だった
コンコン
「入ってよいぞ」
「あ、失礼します」
ここも変わらず…と、言いたかったが和風に言うと素朴な感じの部屋だった
まあ、世の中わからないこともある訳さ。たぶん…
そこにいたのは、初老を迎えた威厳のある髭をたずさえた穏やかな表情の王と
気品がありミーナと似て少しつり目の優しそうな王妃がいた
「どういった、用ですか?」
「うむ、実はなアスラ・マk―「王様、自重してください。それは、言ったらだめです」すまぬ
ええとロストテクノロジーの遺産の回収も頼みたいのだが……よいか?」
「魔王の城に行く道中でいいなら、いいですよ」
「それとなんだが、ミーナの近衛騎士になってくれぬか?」
このえきし?なにそれ?めんどくさいのかな~
「簡単に言うとミーナの専属騎士だ。ミーナを守りつつ戦ってくれればいいだけだ」
「ようするに、ミーナをずっと守っていてくれ…と、言うことですね?」
「うむ、その通りだ。こちらも頼めるか?」
「なら普通に大丈夫ですよ」
「ならば、これを受け取って貰いたい」
王様―セントラルが取り出したのは深紅の剣だった。
受け取った秋が鞘から刃を抜くと拵えと同じ深紅の刃をもった立派な剣が現れた
「その剣はエクスk―「あなた?」すまん………だが王家の秘剣であることは
理解しておいてくれ」
「わかりました。では、失礼します」
****
「どうでした?彼女は」
「ふむ、かなりいい子ではないか。彼女になら娘を安心して預けられる」
「ふふ、私も同意見よ。これからが楽しみね」
****
その後、王の部屋を出た秋は城内をぶらぶらしていると訓練場から声が聞こえてきた
ふと気になり訓練場に立ち寄ってみると騎士団の面々が剣道の稽古をしていた
みんな上手くなってはいるが振りがあまいと言うか、ちゃんと左手で振れてない
「みんな、こんばんわ」
「アキか、どうだ?我々も上手くなっただろう?」
「う~ん……しいて言うなら、右じゃなくて左手で振ること握るのは小指と薬指だけ
あとちゃんと振りかぶっていればいいよ」
「アキ厳しすぎるよ…もう肩が取れそうなほど痛いんだから」
「だろうね。じゃあ今日は私が見るよ」
「うむ、頼んだ。私では見きれない者が多いから助かった」
「じゃあニーダから………うん、右手に力が入りすぎ、左で振って」
「わかった、指摘ありがとう」
「次はアスク、ずっと私が見てたんだから注意した事に気をつけてやってみて」
「わかった」
「うん、そうそう、いい感じ………調子に乗ってちゃダメだからほら、力が入ってる」
ホントみんな上達が早いな~、剣じゃなくて刀なんか持ったことないだろうに
とくにアスクとニーダ二人ともメインが、ランスとか戦斧なのに
なにこの上達度…ええい!ウッドノースの騎士はバケモノか!
「セトラさんが次です」
「ふふふ、僕はかなり上手くなったよ?」
「調子に乗ってないで早くやってください」
「わかった」
うわっ、言うだけあってかなり上手いよこの人
「けど……雑すぎだろ。この人」
「ガーーン!!」
「最後にヴォルドさん。お願いします」
「ああ、こちらこそ頼む」
ヴォルドは、他の騎士団のみんなよりも格段に上手く出来ている
「さすがですね。一番上手いですね。どれだけ稽古したんですか?」
「毎日23時間ほどやったな」
すごっ!人間の域こえてね!?マジでバケモノか!?
「ええと……大丈夫っぽいので私は帰ります」
「うむ、時間を取らせてしまってすまなかった」
「いえ…」
多少疲れながらも部屋へ向かった
自分の過去をみんなに話すために…
もう一回更新します