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特性令嬢は知らないうちに家族をざまあしていた……らしい。

作者: 重田いの

 三人の兄たちがみんな戦争で死んでしまい、名誉の戦死なので国から褒章やら立派な大理石の墓石やらいっぱいもらったんだけど、

「これであたくしにはこんな娘一人しかいなくなってしまったんだわ。死んだ方がまし……死んだ方がまし……」

 と呟いたきり母は寝付いてしまった。


 わたしも看病させてほしいって母づきの侍女のメリアに頼んだんだけど、

「お嬢様がいらっしゃいますと、奥様は余計お悪くなります」

 ということだった。ううむ、確かにそうだねえ。

 そういうわけで、中庭でスケッチして過ごした。ときどき、母の部屋の窓を気にしながら。


 で、母は兄たちの後を追うように死んでしまい、メリアもどこかの修道院に行ってしまった。

 一年後、父が戻ってきた。長年の愛人と、わたしと同い年の義妹と一緒だった。

 母の家は没落した伯爵家。父の家は新興の商家。鉄道を持っていて、国じゅう手広く商売している。王室の覚えもめでたく、こたびの戦争でも軍事物資の輸送でけっこう儲けたんだとか。


「わはははは、新しい母のミミイと義理の妹のジュリだぞ。お前も姉妹ができて嬉しいだろう、ユリア。わはははは」

「はあ、はじめまして。よろしくお願いいたします」

 頭を下げるわたしを義母と義妹は睥睨する。わあ、見下すってこういう目つきなんだあと実感できるような目である。


 まーしゃあないか。わたしは黒髪と茶色の目、ふたりは金髪碧眼。顔だちも、残念ながら完敗だ。

 母は女には美しかないと言った。美をもって殿方に愛されることでその力を我が物とする、女が社会で立つにはそれしかないのだと。

 わたしにはよーわかんないことだ。王国でも随一に厳しいとされる伯爵家流の躾を受けてもなお、わたしはわたし以外の何者にもなれなかった。


 義母と義妹が屋敷に馴染むと、わたしはあれよあれよという間に母屋を追い出された。流行り病にかかった先々代の当主が療養したという離れを与えられ、中庭ではなく裏庭と山々をスケッチするようになった。

 そういえば忘れていたが、ここ、母の血統が所有していた古い伯爵家なのだった。散歩にいけば廃墟となった物置小屋やら家畜小屋やらがあり、小さな丘に花畑もあり、雑木林もあり……描くものには困らなかった。


 月に一、二回ほど義母と義妹が連れ立ってやってきて、わたしの描いた絵を破くのには難儀した。

「おーっほほほほ! なんですのこの珍妙な絵は! きったなあーい」

「きゃはははははっ、なんでこんなん描いてんのお? これアタシ? アタシこんなブスじゃないんだけどー!」


 びりびりびりびり。

 紙が雪のように舞う。

 わたしはがっかりしますし、二人が連れてきた侍従とやらが殴るので痛いんだけれども、まあわりとすぐに忘れてしまう。神様がそのようにわたしをおつくりになったゆえ。


 しょせん、描いたものなど物質的な満足に過ぎない。本当の満足というのはわたしが筆を持ち、描いた、という一点にあるのであって、それ以外は必要ない。


 そのうち画材も尽き、新しいのももらえないので炭で壁に描いたり、指先を食い破って土に描いたり、木の皮を剥がして白い生木に描いたりなどした。

 離れは自分で掃除して、着るものも自分でどうにかする。食事は下働きのメイドがメイド用のを持ってきてくれる。


 わたしは幸せである。ここでは母に描くことを止められることもない。一日じゅう、寝ずに描いていていいのだ。

 廃墟のどこからか割れた陶器の破片を見つけてきて、それで外壁を引っかき絵を描く。わたしは今日も、描き続ける。


 わたしは描くために生まれた。

 描くものがなくなったら己に模様を刻めばいいし、冬になったら雪に指で描けばいい。

 誰にも邪魔されない、わたしだけの幸せ。


 ある日、義母が珍しく一人でやってきて、離れの惨状を見てぎょっと立ちすくむ。内も外も幾何学模様やらエキゾチックな模様やら伝統的な模様やらに埋め尽くされ、最近は山からとってきた粘土を暖炉で焼いて装飾をつけるなどしている。


「ひいっ。頭がおかしい……」

 知ってます。

「おかあさまにご挨拶申し上げます。おはようございます」

 とわたしは頭を下げる。


「王宮で舞踏会が開かれるんだって、あの戦争の終結三周年を祝って。あたしのジュリとおまえなんかを並べるのはヘドが出る。でも、名簿に名前が載ってるんだからおまえを連れていかなきゃ。ああ、なんでこんな不幸なのかしら、あたしってば!」


「はあ」

 では、兄たちが死んで三年も経つのか。母が死んで、そんなに。

 あんまり感慨が、実感が湧かない。悲しいは悲しいんだけど、悲しむなら油絵を描きたい。


「はあって何!? あたしの好意をなんだと思ってんのよおまえー!」

 義母はキイキイ騒ぐと、小石を拾ってわたしに投げつけ、立ち去りました。ほええ。何イライラしてんだろ?


 あっという間に出発の日になり、父と義母と義妹とともに王都へ。馬車の中でのべつまくなし喋りまくる義妹をよそに、わたしは車窓から見える景色をスケッチした。頼んだらスケッチ帳と鉛筆をもらえたのです。嬉しいなあエヘヘヘヘ。


 気づけば義妹のおしゃべりは止み、父と義母が低い声でぼそぼそ話している。

「では、生まれつきこう……?」

「ああ、これの母も手を焼いていて」

「おとうさん、おかあさああん、アタシ、怖い。こいつ何するかわかんなあい」

 夫婦の声は泉が湧くときのようで、娘の方はせせらぎだなあ、今度そのイメージで描いてみよう。


 舞踏会は正式なものだったが、それ以外にも非正式のお茶会や小規模夜会があって、みんなは非の方で忙しいみたい。

 ホテルの部屋でわたしは絵を描く。父は早々にわたしを大人しくさせるには画材を与えればいいと気づいてくれ、おかげさまで絵の具と筆と上等の水彩紙やクロッキー用の冊子を貰えた。


 ああ嬉しい。わたしは幸せ者だ。


 正式な方の舞踏会、彼らはいやいやわたしを連れて行く。かわいそうになあと思う。

 この集まり、わたしは本気でどうでもいいんだけど、家名がかかってるんだし出世につながるかもしれない。馬車の中で雰囲気は最悪だったけれども、彼らがとげとげしてしまうのも仕方ない。


 舞踏会の目的はただ踊ることだけじゃなくて、王太子様の花嫁探しなのである。

 三年前の戦争で聖女様が亡くなられて、彼女とご結婚の約束をしていた王太子様はひどく落ち込まれた。だがさすがに王国に後継者を授けないわけにはいかない。

 踊る若い娘たちの中から、少しでも気に入る者を……と、大臣たちがお膳立てしたのである。


 そうとも、わたしでもこのくらいの予備知識はなんとなく知っているのだ、えっへん。


 王宮の大広間の装飾は面白く、舞踏会の景色は今すぐ描きたいくらいだった。たぶん三歳くらいのわたしだったら絨毯に指で描いていた。が、今となっては大人なのでしない、うん、しないってば。


 王様が出てきてご挨拶をなさる。わたしたち下っ端貴族はお辞儀する。

 それから音楽が始まり、男女が一列になってお辞儀をして、踊る。わたしも集団に紛れて踊る。

 こんなとき、母が絵を描きたい描きたいとぐずるわたしを宥めすかして仕込んでくれたことを感謝する。彼女はわたしが普通の人になることを望んでいたが、結局その望みは叶えられそうにない。


 三曲目が終わり、やれやれ義理は果たしたぞとほっとして、わたしは壁際に移動した。

 と、同じダンスを踊ったあとの義妹がずんずかこっちに向かってきているのに気づいた。見かけはあくまで優雅に、でも形相が鬼気迫る。


「ん?」

「来なさい!」

 と、わたしは手を取られずるずる引きずられた。

 ただ伯爵の称号を持っている商家とみなされているうちが割り当てられた控え室は、ひとつ上の階にある。けっこうな道のりだったが大人しくついていった。

 またどうせわたしがなんかやったんだろう。


「何?」

 バタンとドアを閉めた義妹は歯を剥き出しにしてわたしの両肩を掴み、がくがく揺すぶる。

「あなた、ドレス! スカート! 信じられない、どこまで頭がおかしいのよォ!!」

「ふむ?」


 彼女の視線をたどり、やっちまったと気づいたのはそのときである。母の古いドレスを侍女たちが手直ししてくれて、それなりにいい感じになっていたのだが、下半身が濡れている。しとどに。そういや裾が重たいやってくらい。


 赤に。


「あーあ」

 やっちまったあ。

 どうしよ? 怒られるよなあ。


「何をそんな他人事なのよおおおおおおお! あんたって全部そう! ふざけないでふざけないでふざけないでふざけないでよおおおおおおお!」

 義妹は泣きながらわたしをビンタするものの、どうにもならないもんはならない。


「着替えないもんねえ。どうしようねえ?」

「信じられない、信じられない! 生理なら生理だってなんで言わないの!? ま、まさか手当をしてないのッ?」

「うん」


 義妹は絶句した。化け物を見る目でこっちを見た。懐かしいなあ、一番上の兄貴と母はよくその目をしていた。下の兄二人は、まあ正直わたしと似たようなもんだった。


 思い出に浸るわたしをよそに、義妹はへなへなと座り込む。

「どうしよう……どうしよう。あんた、とんでもないことをした」

「ねえ、これ怒られるよね? どうしよ。画材取られちゃうかなあ。せっかくもらえたのに……」

 じわじわ、涙が浮かんできた。


 亡き母もよくそうしてわたしを罰した。母の侍女メリアもそうだった。

 画材を取り上げられ、暗い部屋に閉じ込められ、椅子に縛り付けられる。そのまま、一日じゅうそうして放置されるのだった。頭の中には描きたいものが渦巻く、手足がわななき、早く描かせろと絶叫が喉をつき、猿ぐつわにそれを阻止されて。


 わなわな震える頭と体に翻弄され、ああ、今思い出してもあれはきつかった! また、あれをやられてしまうのだろうか? それは困る。とても、困る。

 何も描けなくなるのがわたしには一番つらい。母たちはわたしへの効果的な罰をよくわかっていた。


 義母たちはそのへんの塩梅がうまくなくて、ただわたしを閉じ込めただけだった。だからわたしは思う存分描き、つくり、楽しんでいられた。あの離れはわたしにとって天国だった。


「あんたが踊ってたのは王太子殿下よォ!」

「ええー? そうなの?」

「なんで気づかないで、気づかないでいられたのよおおおおお。王太子殿下は娘たちみんなと踊るって、おとうさん言ったじゃん、聞いてなかったの!?」

「人の話すことなんか聞いてないよ」

 画材商の商品説明ならまだしも。


 義妹は泣きじゃくって突っ伏してしまった。かわいそうに、と思って、でも手を差し出したら怒るんだろうなあ、怖いなあと思って周りをうろうろしていた。

 目の端に窓ガラスが光っているのが見えた、絨毯とタペストリーの模様が暗くて義妹は白かった。


 わたしはしゃがみ込んで言った。

「ねえ、描いてもいい?」

「はあ!?」

「描くよ、ごめん、許可取ってないけどごめん」

 それで持ってきたスケッチ帳を取り出し、鉛筆で描き始めた。


 どのくらいそうしていただろうか、わたしの頭を経由したので義妹は羽根の折れた天使になって、沼地に見立てた絨毯とタペストリーの色合いの中でのたうち回っている。そういう絵ができた。


 満足したわたしは顔を上げ、するとそこに男がいた。

「誰?」

「王太子という身分にある者さ」

「ふうん」


 ふっ。と彼は吹き出し、ふっふっふっふ、くすくすくす、笑い転げ始める。

「シャーロットもそうだった! ああ、変な力持つ者はみんなそうさ」

「聖女様?」

「ああ、俺の手の中で死んでしまった」

「綺麗だった? いっぺん描きたいなあって思ってたんだけど、描けなかったのよね。でも御遺体を収めた寺院は遠くから見たよ。見物には連れてってもらえなかったんで、安置のご様子を想像で描いたのはある」

「へえ、どんな? 見せて」


 わたしの差し出したスケッチ帳を彼はとっくり見た。ぱらぱらめくり、他の絵も見た。ちょっと嬉しくなった。誰かに見られることに意味はないが、やはり誰かに見られることは嬉しいものであるから。


「俺は好き」

「ありがと」

「――なあ、この娘は生まれつきこうなのか?」


 今気づいたんだけどお腹痛いや、と思ってわたしは踵を返し、自分の荷物を探った。鎮痛剤がどっかに紛れてるはず。あれ、ない。バサッとひっくり返して探す。

 知らないうちに父と義母と義妹が部屋の扉付近にいて、お? 知らない人たちもいる。服からして身分が高そうだ。ほえー。


 父がしどろもどろに何かを言っている。馬車の中のように集中できる環境でなければ、わたしの耳に人の声は届かない。

 鎮痛剤を飲んだ。ほっとした。お腹はしくしく痛み始めていた。わたしのは『量が多い』ので、靴と絨毯にもしみができていた。


「それでいいか?」

 と王太子とやらが聞く。

「んぇ? はあ、まあ」

 聞いてなかった。なんだって? と父を見ると、青を通り越して土気色の顔色である。


「決まりだな。よかったよかった、うまくまとまった」

 と王太子はからから笑い、大人たちの沈黙が控え室に満ちた。


 で。

 なんでそうなったんだかまったくもってわけがわからないのだが、半年後、わたしは王太子と結婚して王太子妃となり、それから夫となった男は王位継承権の放棄を宣言、公爵位をもらって辺境の領地に引っ込んだ。わたしを連れて。


「んー……?」

 と首を傾げる間にも、次から次へとあらゆる絵具、紙、筆、鉛筆、インク、レリーフのための銅板、彫刻のための彫刻刀と木材や石材、なんかをもらえてわたしは有頂天である。

 完全に何もかも忘れてしまった。今では一日じゅう絵を描いて、何か作って、あれこれやっている。イメージが次から次へと沸いてくる。画材があってもなくても、そればかりは変わらない。


 何故だかわからないが、夫はわたしが何かしているのを見るのが趣味らしい。

「シャーロットもそうだった。一日ずっと魔法の研究をしていた。俺が抱きしめても鬱陶しそうだった。……生きていてくれればよかったのに!」

 と、ぶつぶつ呟いている。

「生きてさえ。俺の傍にいなくてもいい、ただ生きててくれればよかったのに。それだけで。もういない、もういない。あれは死んだ。もういない……俺は血を残さない……それが俺のできる精いっぱいの、祖国に対する復讐だ……」


 わたしも変な奴だが、彼も十分変な奴である。

 触らんどこ。


「シャーロットは侯爵家の姫だったが、母君亡き後、後添えとなった平民出の義母に虐げられていたのだ。そして聖女の能力を発現した。不思議なことだ。君によく似た境遇なのに、どうして彼女と君は何もかも違う?」


 わたしは絵に集中している。筆の運び、姿勢の正しさ、窓から入ってくる陽光と日が暮れたあとの月明りの元でこの絵はどう違って見えるか? 気になるのはそればかり。

 ゆえに彼のひとり言は耳に入ってこない。

 たぶん向こうもそれはわかっていて、ただただ言いたいことを言っているだけなのだと思う。王宮じゃこんなことはできなかったろうしねえ。


 かわいそうな奴だ。母と同じに。

 わたしたちみたいなのに関わったばかりに、人生を狂わされた。


 わたしは絵を描く。

 彼は妄言を言う。

 世界も社会も知らんぷり、頼むから邪魔してこないでくれと思っている。


 使用人たちは皆、優しい。たまに、わたしがゆっくりしてると近づいてきて、

「ご両親は大変らしいですよう。旦那様も、あなた様もまるきり変人だと噂されて……身の置き所がないらしいんですよう」

 などと忠告? 進言? してくれる人もいる。


 ありがたいことだ、とはわかる。でも、だからってどうしろってんだろう?

「だそうですよー?」

 と、最近は風呂にも入らない旦那様、元王太子殿下を振り返ると、彼は目の覚めるような銀髪の下にある壮絶な美貌をほころばせて、

「シャーロットの親の代わりに君の親を殺したら俺の気は晴れるだろうか?」

 などと言う。


「怖。もう何も言いに来ない方がいいんじゃない?」

 とわたしは使用人に言う。小柄なメイド。彼女は恐怖と嫌悪感を目にいっぱい貯めて、

「人を人とも思わない……責任も思いやりもない……こんなの人間じゃない。ばけもの……」

 と言う。


「自分でもそう思うよー」

 彼女は立ち去る。旦那様はぶつぶつ言う。わたしはキャンバスに向き直る。


 知らなかったんだけど、どうやらわたしの絵は売れる。

 ひょんなことから画材商とともにやってきた画商がそう言って、買い上げてくれた。お金には困らない立場だから、売り上げで領地に美術館だの公園だの寄付していたら、

「旦那様はともかく奥様も変人なだけで悪い人ではないのでは」

 みたいな評価になっている、らしい。


 スケッチのとき以外外出しないし、街並みに興味はないから人のいるところに行かないので、よくわからない。


 旦那様の弟君が即位した頃にはもう戦争なんてものも起こらず、内需拡大に王国ごと邁進する世の中。

 父の商売はまあうまいこといってるらしいけれど、義母と義妹は逃げてしまい、血の繋がらない養子に後を継がせるらしい。アテにしていた『王太子』の権力がなくなったら、まあそんなもんだとか。でもあんなに仲良かったのに、変なの。


「元女優の娼婦まがいがいっときでも貴族らしい生活ができたのだから、感謝すべきだ。おお、シャーロットの義母もそうだった。おのれ、平民あがりどもが。責任などない立場だから逃げ出すのだ。彼女を焚き付け、俺たちの戦争に同行させて俺から奪った……」

「はいはい」


 この頃にはわたしももう慣れているので、旦那様の頭をぽんぽん叩き、お茶を淹れてやるくらいはするのだった。


 我々は仲違いもせず、たぶん死ぬまでこのままだろう。辺境の奥の奥の屋敷で折り重なって、ぐだぐだ、自分の中だけ見つめ続ける。

 見ようによっては不幸なのだろうか? よくわからない。


 一日じゅう絵が描けて、誰も邪魔してこなくて、わたしはとても幸せである。


 ただそれだけ。


【完】


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