対ゼーフェル戦関連用語集
対ゼーフェル戦関連用語集(部外秘)
山田健美1等怪獣尉 編
世界的にゼーフェル被害が拡大する中、我が国においてはダークゼンゼ一派およびゼンゼ氏の来訪以降、戦局が一層複雑化している。本資料は、怪獣対策室に新たに配属された諸君が戦況を把握する一助となるべくして作成するものである。
【チームゼット】
国防省怪獣対策室の特殊小隊。"Zapping Expert Tactical Treatment Officers"の頭字語である。ゼーフェルの他、怪獣、怪人、宇宙人、鬼、悪魔、妖怪などあらゆる未知の脅威の対処を任務とする。主な装備は以下の通り:
・絶斗聖銃ゼットガン
エネルギー弾を発射する銃。実験では厚さ2メートル以下の鋼鉄板を一撃で穿孔することが確認できた。
・絶斗電幣ゼットフォン
チームゼットの連絡ツール。外見はスマートフォンに似るが、通信内容は独自の方式で暗号化され、人工衛星ゼットムーンを介して送受信されるため、通常のスマートフォンでは通信不可能な山間部や海底でも連絡が可能である。
ステッキモードに変形させることで、六次元以上のスピンモーメントを持つ諸々の亜ニュートリノの誘導および制御が可能となる。慣用的な表現に置き換えれば、種々の魔法を発動できる。
【ゼットマシン】
対ゼーフェル用に開発した巨大兵器。以下の3機が実戦投入されている。
・天空竜機ゼットサツマ
航空特化型ゼットマシン。外観はサツマヨクリュウを模しており、アイデンティティカラーは赤。最高速度マッハ3。主な装備はビーム砲、主翼外縁に取り付けられたブレード。
・激流竜機ゼットフタバ
潜水特化型ゼットマシン。外観はフタバスズキリュウを模しており、アイデンティティカラーは青。最高速度は200ノット。飛行時の最高速度はマッハ1。主な装備はミサイル、尾部のドリル。
・雷電竜機ゼットタンバ
地上特化型ゼットマシン。外観はタンバリュウを模しており、アイデンティティカラーは銀。最高出力は74・6メガワット。飛行機能は搭載されておらず、移動時はサツマ、フタバに牽引される。主な装備は各種電撃兵器であり、最大で100kVの電圧を発生可能である。最大の特徴はAIによる自立戦闘機能である。過去の戦闘記録をディープラーニングし、独自に作戦を立案、行動に移る。最大パフォーマンスを実現するために、自立戦闘中はAIが適格と認定したパイロット以外の命令のみに従うよう設計されている。
・絶斗合体ゼットロボ
サツマ、フタバ、タンバの三機が合体したヒューマノイド形態。全高約50メートル、飛行時の最高速度はマッハ2、潜水時の最高速度は162ノット、最高出力は220・7メガワット。
攻撃方法は、格闘による肉弾戦の他、額の銃口から放つ「マスタービーム」、全ゼットマシンの光線系兵器を同時に起動させ、敵に焦点を合わせることで内部から破壊する「トリニティレイ」が使用できる。
【ゼーフェル】
敵対的な疑似生命体。巨大な頭部と、球体関節人形に似る四肢が共通の特徴である。
通常の生物と融合する能力を有する(後述)。ゼンゼ来訪以前は「不明外来怪人」と称されていた。ヒマラヤ山脈の「ゼゼール」と呼ばれる未接触領域に起源を持つとされる。
その行動原理は殺戮の一言に尽きる。中級以上のゼーフェルは高い知能を持ち、人語を解するが、交渉に応じたケースは一例も報告されておらず、国防省怪獣対策室は敵対勢力と認定している。
性質によって下級・中級・上級に分類される。以下に詳述する。
・下級ゼーフェル
知能、戦闘力ともに低く、人語を解さない。生物と融合する能力も持たないため、外見は素体ゼーフェルそのものである。
・中級ゼーフェル
高い知能と戦闘能力を有する。多くは日本国内の生物と融合しており、多様な外見、能力を持つ。
一例として、アシダカグモと融合した「スパイダーゼーフェル」は標的を糸で拘束する能力を有していた。
また、アブラコウモリと融合した「バットゼーフェル」は飛行能力を活かして旅客機を襲い、乗客をパニックに陥らせた。
イセエビと融合した「ロブスターゼーフェル」は堅牢な外骨格で攻撃を防ぎつつ、卑劣な犯行を繰り返した。
これらの他、中級ゼーフェルと融合していた形跡の見られるワタリガニの死骸が発見された(これはチームゼット隊員全員とゼンゼ氏によって適切に処理された)。
・上級ゼーフェル
ヘブン、アース、ヘルの三体が確認されており、ゼーフェル軍団の幹部「御三家」を自称している。このうちヘルは討伐され、融合していたゼゼール人ゼッソ氏が分離、救出された。
【ゼルメタル】
並行宇宙に存在する液体金属。通常宇宙では、音声言語に呼応して変形、運動する性質を示すが、不明な点が多い。
ゼーフェルの身体、および後述するゼンゼ氏の装備はゼルメタルによって構成されている。ゼットマシン各機にもゼルメタルの部品が使用されている。
ゼゼール騎士(後述)はゼルメタルを信仰対象とし、ゼルメタルとの調和を目指して修行を積む。
【善然戦士ゼンゼ】
ゼーフェル軍団を追って来日したゼゼール国立騎士団員(ゼゼール騎士)。ゼゼール語と日本語を話す。我が国の国防省はゼンゼ氏を友好国軍駐日士官と認定し、その活動を支援する方針を取っている。
氏はゼルメタルの運用技術を修行により体得している。以下にその装備および能力を列挙する。
・善然剣ゼンゼフェル
ゼンゼ氏が使用するゼルメタル製の両刃の大剣。その威力は未知数だが、下級ゼーフェルを一撃で両断可能である。拵の中央に存在する透明の球体を回転させることで、斬撃の威力向上や電撃の発生など、様々な機能が発現する。
球体を押下することで、変身魔法「ゼンゼン」が発動される(後述)。
・ゼンゼン
ゼゼール騎士が自らの肉体を液体ゼルメタルと一体化させ、戦闘形態に変化する術式。ゼンゼ氏はゼンゼンを実行することで、赤と金色の甲冑を思わせる外観に変身する。
変身シークエンスは以下の通りである:
①ゼンゼフェルの鍔を展開する。
②ゼンゼの足元に魔法陣が出現。
③異空間から液体ゼルメタルが召喚され、ゼンゼの全身(顔面以外)を包み込む
④"Zenzen"と宣言することで、ゼルメタルが肉体と融合して凝固
⑤頭部の装甲が変形、マスクとバイザーが展開して顔を覆い隠し、変身完了
ゼンゼンを実行したゼンゼは、下級ゼーフェルであれば十数体をゼンゼフェルの一振りで殲滅し、中級ゼーフェルにも引けを取らず、圧倒的な身体能力で討伐してきた。
・必殺技
ゼンゼンしたゼンゼ氏は、敵の特性に合わせて多彩な技を使い分ける。ゼンゼフェルで敵を斬り裂く「Zenzen-fan(善然斬り)」、ゼンゼフェルのエネルギーを自らの脚に集中させて強烈な回し蹴りを繰り出す「Zenzen-Razatom-Qen(善然竜神蹴り)」、そしてゼンゼ氏が厳しい特訓の末に編み出した光線技「善然焼闇光線」が確認されている。
【善然巨神ゼンゼイジン】
ゼンゼ氏の使役するゼルメタル製の巨大戦力。平時および飛行時は金色の竜を思わせる「巨竜モード」を取る。ゼンゼ氏の他の装備と同様、詳しい能力は未知であるが、来訪時には瞬間最高速度マッハ10が記録された。
ゼンゼ氏が"Lel"と命令することでヒューマノイド型に変形し、全高約47メートルの「巨神モード」となる。
来訪時は変形機構を持たない簡素なものだったが、ゼットマシンの変形機構をスキャンして変態を遂げ、現在の姿になった。ゼットマシンの合体ジョイントをも正確に模倣しているため、ゼットマシンとの合体も可能である。
・天空武装ゼンゼイジンカッター
ゼンゼイジンがゼットサツマと合体した形態。空中戦に特化している。必殺技は、上空から敵に迫り、主翼のブレードで敵を切断する「空中煉獄斬り」。
・激流武装ゼンゼイジンドリラー
ゼンゼイジンがゼットフタバと合体した形態。水中戦に特化している。必殺技は、左腕に装着されたゼットフタバのドリルで敵を穿つ「清流つむじ穿孔」。
・超絶斗合体スーパーゼンゼイジン
ゼンゼイジンが、サツマ、フタバ、タンバの全三機と同時に合体した形態。全高約60メートル。
合体シークエンスは以下の通り:
①ゼンゼが"Zeendam"と命令、ゼンゼイジンが合体待機形態に変形
②ゼンゼおよびチームゼット全員が「超絶斗合体!」とコールし、合体シークエンスが開始される。シークエンス中はゼンゼイジンの形成した結界により全機体が保護される。
主な装備は胸部の大砲「グランドカノン」、ゼットタンバの尾部に由来する「ゼットセイバー」。
・禁則事項
ゼンゼイジン+ゼットタンバが合体した場合、理論上ゼルメタルの共振による大爆発が起き、TNT換算で20キロトン以上のエネルギーが解放されると予測される。このため、この合体は禁則である。
【救世戦士ダークゼンゼ】
ゼーフェル軍団の首領。ゼンゼ氏の兄弟子に相当する。
ゼゼール国にて内乱を企て、ゼーフェルを世界各国に拡散せしめた。「ゼーフェルの王」を自称する。外見は白髪の二十代男性のようであるが、実年齢、種族ともに不詳。
・救世剣ゼンゼフェルレズ
ダークゼンゼの使用する大剣。ゼンゼフェルより古い剣とされる。刀身にはゼゼール語文の篆刻が確認される。
・ゼンゼン
ゼンゼ氏同様、ゼンゼンにより戦闘形態に変化することが確認されている。
ゼンゼンしたダークゼンゼは黒色の豪奢な外観となる。非常に高い戦闘技術を有していると見られ、十分に注意を要する。
・救世巨神ゼンゼサヴァン
ダークゼンゼの使役する巨大飛行戦艦。ゼンゼイジン同様、来訪時には最大瞬間速度マッハ10が記録された。
ダークゼンゼが"Lel"と命令することで、全高約60メートルの巨神モードに変形する。
来日前のゼンゼイジンの攻撃により中破し、主砲、右腕部、左脚部が欠損しているが、その出力はスーパーゼンゼイジンをも凌駕する。
第一次ゼンゼサヴァン戦は、ゼンゼサヴァンのエネルギー切れによる撤退をもって事実上の休戦となった。チームゼットは基地の喪失という大きな損害を受けた。
今後の戦役に備え、大型ゼットマシン(通称『船』)の建造を急ぐ必要がある。また、ゼンゼ氏との連携作戦を前提とした新兵器の開発も進行中である。
以上




