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デスロール

作者: キリスト

ドキュメンタリー番組『デスロール』

ワニの捕食を特集した番組。


相手は痛みを感じる動物。

潜み、獲物に喰らいついたら川に引きずり込み、肉を食いちぎるため体を回転させる残酷な処刑方法。


シャチがアザラシを狙う時、サメがサーファーを襲う時、猿が猿を食う時、自然界の圧倒的な暴力をシステマチックに描いた当番組には2つの狙いがあった。


①創造者の意思を科学的なアプローチで解析。

②創造者なきの声。


どちらも関心を集めたが、私はワニの声に特に関心を寄せた。動物の脳波を言語化することはさほど難しいことではなかったが、自ら望んで生まれてきて望んだとおりの姿となり、望んだとおり殺戮を繰り返す異常なDNAの声が解析の結果聞けることになった。


まずはこれを聞いてほしい。


「われが地上に生まれた最初の生命。まだ海ができる前、われは土から生まれた最初のウイルス『メキドリア・サディスト』として、毒になるものは毒に、青虫になるものは虫に、それぞれ進化していった。

 われがどうしてウイルスとして作れたか説明しよう。地球はガスとチリから作られていた。超高温の世界だ。何があったかわかるな? 物質とエネルギーが解放される大爆発ビッグバンだ。われがウイルスとして成立する条件として、ビッグバン直前、われの元になる物質が作られた。

 ホーキング博士が言ったように、宇宙の始まりは無であるから、そこに神がいたとする理屈はあまりにも不自然で理論として成立しない。

 すなわちわれは何もない所から生まれた説だが、凶悪なエネルギーに謎が集約されている。(私は丸かった)モンスター理論があるように、宇宙の種には善悪があり、良いエネルギーもあれば悪いエネルギーもあった。

 この時点でわれは『私』だった。バランスが取れていたんだ。しかし温度が上がるにつれ、重力と悪のエネルギーを使い果たし、結果として恒星進化論にあるように私は弾けてしまった。

 私はとても勉強が好きだった。エネルギーが思考する、変な話だろ? 私にも余分なエネルギーがあって、それが『われ』という害悪に変わったんだ。まあ、言ってみればモンスターだ。ふふふ、笑うがいい。キリスト教で私はサタンと呼ばれている。

 理知的で情に厚く残酷。アリストテレスが言っただろ?

偉大なる天才には狂気が含まれていると。私のことだよ。

『われ』は私の手にも負えないんだ。ただし我々の祖先はエネルギー。永久ではない、と言じたい。

 同じ終わりがあるであろう者同士、仲良くしよう。この世を楽園と地獄に分け交互に愉しもう。私は誘惑し、あなたを惑わす。あなた方が言う父(神)がいるといいな。

 私は、私の中に潜むわれを良い、と言った。私が爆発したシーンを見たければ、時を巻き戻せばいい。所詮、この世は録画されてる衛星チャンネルなのだから。地球は宇宙に沢山ある。探せ」


番組製作者サイドも編集していて言葉に詰まった。

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