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宝石の魔法  作者: つぶ丸
第四章
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遺跡内部捜索前線

「そこの瓦礫はあっちだ。急いで運べ!」

「掘削機はまだか! 瓦礫が硬くて道が開かない!」

「照明灯が復旧したぞ!」

 あちこちで現場の声が聞こえる。捜索しているというよりかは土木作業をしていると言った方が良いのかもしれない。やはり、一人で行くしかないのか。そう考えていると不意に後ろから声をかけられる。

「初めまして、高嶺さんですか?」

 振り返ると明らかに土木現場には相応しくないスーツ姿の男が立っていた。しかしスーツ姿には似合わないヘルメットに目にはバイザーを着けている。

「はい、私が高嶺です。あなたは警察関係者ですか?」

「その通りです。申し遅れました、外川と申します。箱宮くんの捜査を預かっております。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします、外川さん。———それにしても、その……それは?」

 外川さんは、私の視線に気づくと少し苦笑いをした。

「これは気にしないでください。お恥ずかしい話ですが、これは捜査で少し負ってしまった傷を隠すものです」

 そうなのか、この人は真剣に捜査をしてくれたんだ。

「私の方こそごめんなさい。無責任に聞いたりして」

 それでは、と外川さんは遺跡の深部への案内をしてくれた。

 遺跡深部は思っていたよりひんやりしていて、水の音も少し聞こえる。外川さんの革靴が響かせるコツコツという音と私のスニーカーのヒタヒタという音が不気味な感じがする。

 しばらく歩くと大きな広場に出た。そこにあったのは跡というより痕であった。

「何これ……ここで何があったの」

「我々の調査ではここで何かしらの戦闘があったと推測しています」

「戦闘? 星がここで何かと戦ったの?」

 そこにあった痕跡はたくさんの血じみや穿ったような石や岩、黒く燃えた跡など女子高校生が見るべきものではないものがあった。

「嫌な匂い」

「タンパク質が燃えたときの匂いですね、とても独特な匂いです。匂いがきつければマスクをお貸ししましょうか?」

「いえ、大丈夫です。ところで、タンパク質が燃えた匂いって言いましたよね」

「はい、その通りに言いました」

 嫌な瞬間の間が入る。

「星は生きてるんですか?」

「おそらく」

「おそらくというのは、どういうことです」

「保証は出来ないということです」

 急に足が震えだす。身体はどうしても星がいないことを拒絶したがる。拒絶と言うより拒否、又は認めたくないという心の現れ。頭ではまだ可能性があると言い聞かせても、身体は赤ちゃんのように泣きじゃくる。出かける前に決意した思いは塵に等しくガタガタと崩れ落ちていく。

「大丈夫ですか! しっかりしてください!」

 気づくと私は知らぬ間に膝から崩れ落ちて涙を流していた。

「今日はここら辺にしておきましょう。無理するのは良くないですから」

「あっ……あっ……」

 心のなにかが崩れたように私は声を出せない。いや、出す言葉が見つからない。何か、何かを発すべきだと頭では考えているが私の声帯は出すべき声を知らないようだ。視界の端では外川さんが慣れた手つきで私を起こそうとしているのが分かる。

 しかし私は足に力が入らず立つことができない。それを感づいた外川さんは、私を抱きかかえると無線で何かを話しながら遺跡の外へ向かっていこうとする。外川さんが私に話しかけてきているがもう何も聞こえない。今度は視界が狭まってきた。あぁ何も見えない、聞こえない。感じられない。

 全てが暗転していく、闇へ。終わりへ。


「ターゲット、予測通り中毒症状を発症しました。これより目的地へ向かいます」

無線機越しに上司に報告する。この手の絡め手は私しか適任がいないと認めてくださった上司には感謝しているが、それでもこんな手で一人の女の子を誘拐もどきのことをするなんて、私は上司と違って人間なのだから心が痛む。

「上司と違って心が痛む? 随分と酷いことを言うね。僕にだって心はあるさ」

「隊長、魔法で心を読むのはやめてください。こいつみたいに中毒症状になりますよ」

「ハハッ、君は面白いことを言うね。新人だっけ?」

「はい、今年度から配属になりました」

「じゃあいいことを教えてあげよう、僕はすでに死んでいるのさ」

「と、言いますと?」

「そのままの意味さ」


いかがだったでしょうか。

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