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必要な物を揃えよう

 思いがけず小金持ちになったオレ達。懐に余裕があるうちに必要な物を揃えようと、今日は1日買い物に回ることにした。まずはテント。商業ギルド長が書いてくれた紹介状を手に、お目当ての店へと向かう。


 ギルド長、貴重な青い布を買い叩いたぶん色々と便宜を図ってくれて、紹介状を何通も書いてくれた。それらの宛先のひとつ目、テントを扱っている店に到着。倉庫のようなだだっ広い店には、敷物や天幕といった大物布製品を中心に、野営で使用するものが並んでいる。テントも数種類取り揃えてあった。紹介状を渡すと、店主自ら接客してくれる。


「頑丈で、防水加工がしてあって、周りに何も無くても使える物がいいです」


 希望を伝えると、店主さんはオレ達を店の一角へと案内した。


「自立式ならこの辺りだな。だけど重いし嵩張るし、組み立てが大変だぞ」


 冒険者や行商人には、タープのような木や岩にロープで括り付けて張るタイプが人気らしい。骨組みが必要なため重く、組み立てに時間が掛かる自立式テントは、主に軍が宿営地で使う物なのだそうだ。

 だけどオレにはアイテムボックスがあるから大丈夫、だと思う。入るよな?


「アイテムボックスに入れて持ち運ぶので。念の為に、入るかどうか確認してみていいですか?」


「ああ、構わない。これでいいか?」


「いえ、組み立ててあるのがありませんか?」


 袋に入ったのを指差されたが、オレとしては組み立てたままで持ち運びたい。いちいちテント張るの面倒くさいし。


「あるけど、かなりデカイぞ。入るのか?」


「試してみてダメならまた考えます」


 ということで裏庭へ。商品ではないけれど、物置きに使っている自立式テントがあるという。見れば確かにデカイ。テントというより、モンゴルで遊牧民が使ってた……何だっけ、あれ。名前が思い出せない、移動組み立て式の家。


「とりあえず、入れてみますね」


 この大きさだと無理かなーと思いつつやってみたら、入った。


「うおっ、凄いな。本当に入るとは」


 店主さんもビックリだ。絶対入んないだろと思ってたけど、紹介状あるから無下に出来なかったんだろうな。ついでにと、設置場所の移動をお願いされた。元の位置よりも店寄りにテントを出して、店の中に戻る。


「いやー、助かった。中身を出して移動させるのが手間でよ」


 オレとしても、テントの中身も一緒に出し入れ出来るとわかって助かった。ちょいと試したい事があるし。


 商品の自立式テントから、店主さんのお勧めの物を購入する。組み立てはテント移動のお礼にと、店主さんが手伝ってくれた。それから厚手の敷物や毛布、ポータブルコンロ等も買って、組み立てたテントの中に入れ、アイテムボックスへポイ。大金貨が1枚支払いに消えたが、なるべく快適な野営にしたいので、そのための経費は惜しまない。


 笑顔で送られ次に向かった先は、衣料用品店。子ども服の取り扱いが多いというこの店でも、紹介状をまず渡す。途端に店員さんの態度が変わり、奥から次々と服を持って来させると、


「どれでも2割引きにいたしますわ!」


ときた。紹介状、何が書いてあったんだ。


「お兄ちゃん、どれでも良いの?」


「うーん、予算内なら」


 店に並んでいた商品の値段はそこそこだったけど、奥から持って来た商品の値段が怖い。絶対お高いのだよね。


「ご予算は如何ほどですの?」


「そうですね……例えばこれ、お幾らですか」


 高そうな商品の中から、セイナが好きそうなワンピースを示す。


「こちらは新品ですので、小金貨1枚と銀貨4枚ですわ」


 店内の商品の倍以上するな。たぶん店内商品は古着で、運んできた商品は新品なのだろう。


「こっちの商品は、全部で小金貨3枚まででお願いします。あと、下着ってありますか?」


 幾つかの服が奥に下げられて、代わりに下着類が並べられた。セイナは喜んであれこれ見ているが、ジェイドはオレの隣でじっとしたまま。手に取ろうともしない。


「ジェイドも好きなの選んでみ」


「いえ、ボクはいいです」


 いやいや、ジェイドの服こそ買わないと。マントで隠れてるけど、着ている服がボロボロなのは忘れてないぞ。


「ほら、これとかどう?」


「ボクにはもったいないです」


「気に入らない?」


「とんでもない! どれも立派過ぎて」


 頑なに選ぼうとしないので、ジェイドの服はオレが決めてしまおう。新品は着てくれないだろうから、店内の商品から似合いそうなのを物色する。目の色と同系色の緑が似合いそうだ。服を当ててサイズを確かめる。

 ジェイドは栄養状態が悪かったせいで痩せているが、背丈は平均くらいだと思う。いや小さいのかも。獣人の平均身長って人間と同じなんだろうか。


 結局ジェイドの服は全てオレが選び、上下2着ずつとリュックサックを買うとジェイドに言い渡した。その間にセイナは店員さんに着せ替え人形にされ、お高いワンピースと、お高いスカートを両手に抱えている。2割引きでも2着で小金貨3枚を少し超えるらしい。


「ダメ?」


 上目遣いでお願いしてくるセイナに負けて、いいよと言ってしまった。ジェイドがこっそり自分用の服を売り場に戻そうとしたので阻止し、さっさと支払いを済ませてしまう。あとは下着類を3人分買って、衣料用品店を後にした。




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