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96話 海! 準備! 夏の開放感へ(SIDE YUZUHA)

 「ユズっち、可愛すぎるからその水着脱がしていい?」

 

 カフェでお昼を済ませた後、ショッピングモール内にある水着専門店へ入り、水着を見ていた。

 眺める様に見ていると、アリアさんが小さなフリルのついた水着を持って私の元へとやってきた。


 「この水着ユズっちに絶対似合うから試着してみたらどう?」


 水着の方へ目を向けると、可愛らしいデザインだったので興味あったから試着することにしたけど……。

 なんかその時の彼女の顔が興奮してたように見えたのは気のせいだろうか。


 水着を受け取り、長いカーテンを開けて試着室に入り、水着に着替えていく。

 目の前には大きな鏡が設置してあり、そこには水着姿の私自身が映っていた。

 

 「あ、すごい可愛いー!」

 

 もちろん可愛いのは自分ではなくて水着のことだ。

 この姿見て奏翔の口から可愛いとか言われたいと思ったのは言うまでもない。


 「……にしても、なんか風通しよすぎて違和感しかない」


 布面積が少ないというよりも、そもそも水着を着ることが学校の授業以外でなかった身からすれば今の状況は落ち着かないことこの上ない。

 

 すぐに着替えてここから出ようと思っていると、長いカーテンがゆっくりと開き出す。

 空いた隙間からアリアさんが顔を覗かせていた。

 

 「ユズっちどう?」

 「うひゃ!?」


 そう声をかけてきた刹那、アリアさんは目を大きく見開きながら上下に見定める様に見ていった。

 なんの前触れもなく顔が出てきたので変な声がでてしまう。


 「あ、アリアさん……? 目がすごい血走ってるように見えるけど」


 私の言葉に返したのが脱がしていいかの確認だったわけなんだけど……。


 「大丈夫、サイズを確認するだけだから、後で私のほうもやっていいから!」


 アリアさんは試着室にカーテンをめくって入れてきた両手を怪しげに動かしていた。

 ……その動きはどうみても、サイズを測る様な動きじゃなよね!?


 「自分で何とかするから、早く閉めてー!」


 彼女とやりとりをすること数分して何とか追い払うことに成功した。

 着替え終わって外にでたのはいいが、先ほどまでいたアリアさんの姿がなかった。


 「あ、ユズっち外にでた?」


 突如、曇ったアリアさんの声が聞こえてきた。

 声の元を探して周囲を見渡していると、シャララと隣の試着室のカーテンが開いた。

 カーテンの奥から黒のビキニ姿のアリアさんの姿が。


 「エッ……!」


 彼女の姿を見て思わず出てきた言葉がそれだった。

 アニメとかゲームのキャラを見て口にすることはあっても、まさかリアルでこのセリフを言うことがあるなんて思いもしなかった。

 黒い水着もそうなんだけど、某怪盗アニメに出てくる謎の美女を彷彿させるスタイルを見たらそりゃ男どころか女も釘付けになること間違いなし。

 現に、私以外にも店の女性スタッフも立ち止まり、目を大きく見開いてじっくり見ているし。


 「あ、いたいた! どうユズっち? 変じゃない?」


 アリアさんは周りの目を気にすることなく、カーテンを全開に開けて私を見ていた。

 変どころか、似合いすぎて一緒に海で歩くのが嫌になるぐらいだ。


 「……アリアさん」

 「うん、どうしたの?」


 笑顔を向けるアリアさんに対して私は…


 「……サイズ、測っていい?」


 どっかで見た様な手の動きをしながら彼女に近づいていったのだった。

 ちなみに純粋な気持ちでサイズを測りたいのであって、やましい気持ちは微塵もない。


 ——ちなみに満足いくまで測りまくったのに、何故か虚しさしか残らないのは何故なんだろうか……。



 「ただいまぁ」


 あの後も色々あり、駅で別れる頃には日が沈んで辺りは真っ暗になっていた。

 玄関を開けると中は静かだったが、若干ではあるがダイニングから灯りが漏れていた。

 どうやら、奏翔がダイニングにいるようだ。こんな時間なので、夕飯を作ってるのかもしれない。

 ——今日は傷や火傷などしてなければいいけど。


 結局、私は彼女が選んだレース基調の白い水着を、アリアさんは辺りの視線を釘付けにした黒のビキニを購入した。

 ってか当日、あの姿の彼女が私の隣にずっといることを考えると胃が痛くなりそうだ。


 「ごめん、遅くなっちゃった!」


 ダイニングのドアを開けるとキッチンの前に立っている奏翔の姿を発見し、声をかける。

 リビングではテレビがつけられていて夕方のバラエティ番組が映っているが、奏翔のことだから見ているのではなくBGM代わりにしているようだ。

 

 「……いいタイミングで帰ってきたな、もうすぐできるから荷物おいてきたらどうだ?」


 奏翔はフライパンで食材を炒めながら返してきた。


 「そうするー……って奏翔、今日は大丈夫だった?」

 「何がだ?」

 「指切ったり、火傷してない? 消毒必要ならいつでも——」


 私が言ったことに、奏翔はため息をつきながら、ガスの火を止める。

 ちょうどよく炒め終わったようだ。

 どうやらいつもの奏翔へと戻ったことに安心してダイニングを出ようとするが、テーブルの上を見て足を止めてしまう。


 「奏翔、ご飯用の茶碗と味噌汁ようのお椀間違えてるよ」

 「……そんなわけ——」


 私の指摘に奏翔はすぐにテーブルの方を見て愕然としていた。

 どうやら、まだダメのようだ……。

 



 「……海?」

 「うん、アリアさんが日本の海に興味があるみたい」


 アリアさんの名前が出た途端、奏翔は盛大なため息をついていた。


 「それにアリアさんも心配してたよ、『今日のカナトっち変だったよね?!』って」

 

 奏翔は黙々と大皿の上の豚肉の生姜焼きを皿の上によそっていた。


 「話してくれないから、何に悩んでるかわからないけど、気分転換すれば解決策がでるんじゃないって話してたんだよ?」


 奏翔は私の話を聴きながら黙々と食べていた。


 「それに高校生活最後の夏休みでもあるし……!」

 「……そうだな」


 奏翔は食べていたものを飲み込むと短く答える。

 

 「それじゃ……!」

 「行けばいいんだろ……どうせアリアのことだし断らせてくれなさそうだしな」


 喜ぶ私に対して、奏翔は深いため息をついていた。


 「さっき水着買ってきたんだけど、お風呂入ったら奏翔にも見せてあげるね!」

 「別に家で着ることないだろ……」

 「あ、もちろんそのまま脱がしてもいいからね?」

 「……人の話聞けよ」


 そう言って奏翔は長いため息をついていた。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 Yuzuha.Wadatsuka

 「奏翔、来てくれるって!」


 Aria.R.P

 「やったじゃん! 当日はたっぷりとカナトっちにアピールしないとね!」

 

 Yuzuha.Wadatsuka

 「……どうやってアピールするの?」


 Aria.R.P

 「アニメでもあるじゃん? ヒロインの子が主人公の腕を組みつつ胸を押し付けるってのが、あれをすれば——」

 

 個人的に良い提案だと思って返したのはいいが、それ以降ユズっちから返事が返ってなかった。

 おそらく妄想と練習をしているのかもしれない。そう思っていよう。


 「……これでカナトっちが来ないとかいいだしたら、どうしようかと思ったけどよかったぁ」


 スマホをテーブルの上に置いてからベッドの上に両手両足を広げたまま倒れ込む。


 「あとはカナトっちが行動してくれればいいんだけど……それでもの時は」


 腕で目元を押さえながら思っていることを口にする。


「……カナトっちには嫌われるかもしれないけど、アレをするしかないか」


 誰もいない天井に向けてただ一人呟いた。

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