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95話 不安オブ超不安だから……(SIDE YUZUHA)

 「奏翔、起きてる?」

 「……一応、ってか今何時だ?」

 「もうすぐお昼だよ?」

 「マジか、寝すぎた」

 「もしかして風邪ひいてる?」

 「いや、平気」

 

 念の為、ベッドで大の字になっている奏翔のおでこに手をあててみるが、以前の時の様な暑い感じはしなかった。

 すぐに顔を確認をするが、眠たそうな顔はしているものの、赤みがあるようには見えないので大丈夫そうだった。


 「お昼どうする? アプリで何か注文する?」

 「いや、今から作る」


 奏翔はゆっくりと体を起こし、ベッドから降りていった。

 

 「大丈夫かな?」

 

 先に部屋を出ていった奏翔の後を追っていくと、階段で踏み外したのか両手で必死に手すりに掴んでいる奏翔の姿が。


 「わっ……奏翔大丈夫!?」

 「だっ……い……じょうぶ!!!」


 そう言いつつもズルズルとゆったり下へと落ちていく奏翔。

 何かゲームに登場するゾンビのように見えた


 「……どうしちゃったのかな」


 その後も奏翔は塩と砂糖を間違えたり、夕飯前の買い物で買ったワサビのチューブを歯磨き粉と間違えて洗面所に置いていたりと、いつもの奏翔らしからぬポンコツっぷりを見せていた。

 そのポンコツっぷりがその日だけなら暑さからきた疲れが原因で済むのだが、その日を境に奏翔のポンコツっぷりは増していった。


 包丁で肉を切ってる時に指を切ってしまったり、フライパンで調理中にボーッとしてたのか、鉄板の部分に指が触れて軽く火傷したりと段々と悪化していった。

 ちなみに指を切った際に消毒と称して美味しく頂いたのはここだけの話。

 もちろん、その時に体が疼いて夜な夜な奏翔を襲おうなんて思ってないのでありからず。


 そして極め付けが……。


 「奏翔、起きないと遅刻するよ!!」


 テスト休みが終わり、1学期終業式。

 いつもなら私が起こされる側だけど、今回に限って言えば立場が逆転していた。

 私が先に家を出る時間になっても奏翔が起きてこなかったので、部屋に向かうとぐっすりと眠っていた。

 体を勢いよく揺らすと、すぐに起きたけど脳がまだ起きてないのか、ボーッとしていた。


 「……悪い、すぐに着替えるから先に言ってくれ」


 奏翔はフラフラになりながらも、部屋を出ていった。


 

 「おっす奏翔! ってどうしたんだよ髪がボサボサじゃねーか!」


 いつも通り早めに教室へ入り、本を読んでいると突如聞こえてきた虎太郎くんの声に反応して、そちらへと目を向けると、起こした時と同じ髪型の奏翔の姿を見かけた。


 ちなみに終業式で何度かLIMEを起動してメッセージを送ってみたが、返ってくることはなかった。

 いつもなら適当なスタンプが返ってくるのに。




 「私もやっと夏休みに入ったし、ユズっちご飯行こうよ!」


 毎度の如く、校長の無駄に長い話が終わり、家に帰ろうとしたところアリアさんに捕まってしまう。

 奏翔に助けを求めてみるが、『俺は平気だからゆっくりしてこい』とのメッセージが返ってくる始末。

 不安になりながらも、彼女と一緒にカフェへと行くことに。

 ちなみにお昼近いこともあってか、アリアさんが頼んだのは300gチーズインハンバーグにライス大盛りと注文した料理を見ただけで言葉がでなくなってしまう。

 ハンバーグはいいとしてライス大盛りは余計な気がする。もしかしてこれぐらい食べないとアリアさんみたいな体型になれなかったりする!?

 

 「……この量、本当に食べれるの?」

 「全然イケる! むしろこの後にデザートつけても十分入る!」


 彼女曰く、テスト休み中、学校に行かなきゃいけない状況から解放されたのと、念願の夏休みに入ってことによる開放感や嬉しさでお腹が空きすぎて、大変なことになりそうと話していた。

 こちらからすれば、このご飯の量を見ただけで大変なことになりそうだけど。


 「そういえばユズっちの夏休みの予定ってどうなってる?」


 アリアさんはハンバーグを切りながら、話しかけてきた。

 

 「今のところ特に予定はないかな……」


 夏休みにはアニメの一挙放送とかがあるので、毎年それをみて終わることが多い。

 まあ、奏翔には呆れた顔でため息をつかれるんだけど……。


 「それじゃさ、海とか行かない? 日本の海ってリア充の溜まり場って言われるみたいだから興味があるんだよね!」


 そんな情報どこから得たのだろうか……。

 彼女のことだからネットとかSNSからだと思うけど……。


 「海かぁ……」


 先ほどの通り、夏休みは家に引き篭もってアニメやゲームにどっぷり浸かってた陰キャの人間からすればハードルが高い気がする。ってかアリアさんが一緒だと色々とデバフがかかりそうな気もするけど……。


 「高校生最後の夏だし、可愛い水着とか着てはしゃいでみるのもアリだと思うんだ!」


 アリアさんは話すと、ハンバーグを切り、トロリと伸びたチーズを巻きつけていた。


 「そもそも水着なんて持ってないし……」


 正確には持っていないわけじゃない。

 ただ、家にあるのが中学校の時に使っていたもの……俗に言うスク水だ。

 そんなんで陽キャだらけの海に何て言ったら別の意味で浮いてしまうこと間違いなし。


 「私も持ってないから一緒に買おうよ! ユズっちの水着は私が選んであげるから!」


 アリアさんは今にも身を乗り出しそうな勢いでこちらを見ていた。

 若干だけど、目が地走っているようにも見えるけど気のせいだよね……?

 

 「……アリアさん、変な水着選びそうだから自分で選ぶからいい」

 「残念……あ、そっか!」


 アリアさんは一瞬残念そうな顔をしていたが、すぐにいつもの明るい表情へと変わっていった。

 むしろ、この顔は何か悪いことを考えている時の顔かもしれない。


 「ユズっちはカナトっちに選んでもらったほうがいいよね!」


 彼女の言葉に飲みかけていたミルクティを吹きかけてしまいそうになる。

 

 「そうなるってことは図星かあ……まあそりゃそうだよね〜」


 テーブルの上にあるペーパータオルで口元を拭きつつ心の奥底で納得する。

 むしろ選ぶだけではなく、2人で海デートを楽しんでからムードのある場所で脱がしてもらうところまでを一連の流れとしてやって欲しいまである。

 これ以上は妄想が膨らみそうだし、次第には体が疼いてきそうなのでやめておこう。


 「……そういえばカナトっちで思い出したけど、今日は何か変だったよね?」


 彼女は急に真面目な顔になっていた。

 

 「……うん」

 「カナトっち何かあったの?」


 アリアさんにはここ数日、奏翔の様子が変なことを説明した。

 もちろん一緒に住んでいることは彼女にも話していないので、藤野家に遊びに行った体で話す。


 「……あー、そうなんだぁ」


 伝え終えると、アリアさんは目を瞑ってそう返していた。

 だけど、「そうだ!」と大きな声で言いながら目をあけた。

 

 「それならさ、3人で海に行こうよ! 何に悩んでるかわからないけど、開放的になっていつものカナトっちに戻るかもしれないし!」


 たしかに彼女の言うことも一理ある。

 

 「それに開放的になりすぎて岩陰に誘われるかもしれないでしょ?」

 「うぐっ……!?」


 ちょうどミルクティを飲み込もうとしている時にアリアさんが変なことを言ってきたのでむせ返ってしまう。

 さっきから狙ってやってるのかと疑いたくなるタイミングの良さだ。


 「安心して、そういう雰囲気になったら私、邪魔しないから!」

 「……変なところに気を使わなくていいよ」


 この前見たラブコメアニメでも似た様なシーンがあったので興味はあるが、そういうのは落ち着いたところで行いたい。

 ちなみにアニメでは邪魔が入ってそれ以上、描かれることはなかったけど。


 「それじゃ決まりだね! 私からもカナトっちに言っとくけど、ユズっちからもお願いね! 多分ユズっちから言った方が効果抜群だと思うから」


 ニヤニヤとした表情でアリアさんはこちらを見ていた。

 それに対して私は睨む様に目を細めながら彼女の方を向いていた。


 「いつもの奏翔に戻ってくれればいいな」と思いながら……。

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