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91話 フィナーレ オブ バイクトラベル(SIDE YUZUHA)

 「……だから、責任とってね?」


 奏翔の体に合わせる様に姿勢を落としていく。

 完全に密着し終えると、思わず変な声が出そうになる。


 だって仕方ない。

 今日1日ずっと奏翔にベッタリとしていたんだから。

 以前の私だったらその時点で欲求不満が爆発させてたかもしれない。

 体の疼きが暴走するのをなんとかここまで抑えてきた私を褒めて欲しい!


 いや、褒めなくていいからそのまま私を欲求不満が空っぽになるぐらいメチャクチャにしてほしい!

 ちなみに、脳内の中では既に奏翔との情交が繰り広げられている。


 「ふへへ〜、妄想で履修完了! これから——」


 実践に移そうと奏翔の顔をみて、言葉が止まってしまう。


 「……もしかして寝ちゃってる?」


 目の前の奏翔は気持ちよさそうな寝息を立てて眠っていた。

 確認するために頬っぺたを突っついてみるが、反応は全くない。

 どうやら完全に夢の世界へ旅立ってしまったようだ。


 「むぅ……寝るなら柚羽ちゃんを気持ちよくさせてからにして欲しかったんだけど」


 独り言で文句を言いながらも奏翔の頭を撫でる。

 

 「朝からずっとバイク運転してたし、雨が降ってからは慎重に運転してたから仕方ないか」


 そう思いながら、寝息を立てている奏翔の顔をみていく。


 「うん、むしろ私が奏翔に感謝しなきゃいけないよね!」


 別にこんなことを言わなくても2人しかいないんだし、相手は熟睡中なんだから堂々してればいいのに、とりあえず言っておかないと、これからのことができない自分に対して悲しさを覚えながら唇を奏翔の頬にあてる。

 温泉に入った後だからだろうか、以前よりも頬がツルツルとしていた。

 その感触が気持ちよく感じてしまい何度もあてていた。

 

 「ふぅ……気持ち良すぎて何度もしちゃったよ、奏翔の頬が気持ちいいのが悪い、うん」


 奏翔の体に抱きつきながら頬の感触を思い出しながらうっとりする。

 頬でこんなに気持ちよくなれるんだから、唇ならどうなるんだろう……。

 やってみたい気持ちはあるけど、唇同士を重ねるのは奏翔と結ばれた時だと決めている。

 というか、そっちは奏翔からしてほしいという希望でもある。


 ——いつになるのかわからないけど。


「私もそろそろ寝ようっと」


 部屋の明かりとつけっぱなしだったテレビを消してから、布団の中に入る。

 別々に布団は敷いてあるが、もちろん入ったのは奏翔の布団。

 だってそこは私の定位置だし。


 奏翔の体に顔を擦り付けていく。

 前に奏翔から猫みたいだなと言われたことがあるけど、定期的に甘えたくなる時があるからあながち間違っていない。

 そう思ってるなら、猫を可愛がる様に全身を撫で回して欲しいんだけどなぁ。

 そんなこと本人の前で言ったら呆れた顔をしてため息をつかれることだろう。


 体に擦り付けるだけでは体の疼きが収まることはなかった。

 起こさないようにゆっくりと彼の体に触れていく。

 

 「……なんかお腹の辺りプニプニしてきてる」


 奏翔のお腹の辺りに触れると、少しふっくらとしていた。

 親指と人差し指で摘んでから弾力を堪能していく。


「夜一緒になってお菓子食べていたからかな」


 ふと、自分のお腹も確認してみる。


「……うん、女の子は少しふっくらしてたほうが可愛いっていうし、問題ないよね」


 誰に聞かせるわけでもなく、独りごちた。


 それからしばらくの間、奏翔の体から離れずにたっぷりと彼を堪能していた。

 さっきに比べたら少しは落ち着いてはきているけど、奏翔の心地良さそうな寝顔を見えるとまた体が疼いてきそうになる。


 「むぅ……寝付けない」


 やっと落ち着いてきたので寝ようと思ったのだが、目を瞑っても寝付くことができなかった。

 お風呂上がりで部屋に戻ってきた時に布団へ入ってたら寝れたかもしれない。


 「たしかこう言う時ってボーッとして眠気が来るのを待つしかないんだっけ」


 前にテレビで聞いたことがあった。

 眠れないからってテレビやスマホなどを見ると、脳が覚醒してしまい余計に眠れなくなってしまうらしい。

 一番いいのはボーッとして眠気が来るのを待つのが良いとか。


 「眠くなるまで奏翔を堪能してればいいかな、余計寝れなくなっちゃうか」


 それでも奏翔から離れることは絶対にないけど。


 「……ゆ……ず……は」

 「ふわっ!?」


 どうしようか悩んでいるとふと、耳元に声がかかり変な声が飛び出てしまっていた。

 

 「こ、声をかけるなら普通にかけてよ! 危うく大変なことになるところだったよ!」


 耳にかかった声に対して返しながら声の元へと顔を向けるが、起きた様子はなく先ほどと同じ様に寝息を立てて眠っていた。


 「……寝言? ってか私の名前呼んでたよね? ってことは夢の中に私がでてたりする?!」


 どんな夢を見ているんだろう、こんなに悩ましい声を出しているということは……まさか口にはだせないような世界が繰り広げられてるのかも、そうだったらものすごく羨ましい……!

 

「久々に奏翔のイケボが耳に入ってきたから余計に寝れなくなってきちゃったじゃん……!」


 せっかく体の疼きがなくなってきたのに、また疼き出してきそうになっていた。

 一気に発散するなら奏翔を丸裸にしてから勢いに任せて最後までするしかないかもしれない。

 そんなことやったら奏翔に怒られるどころか、一緒にいてくれなくなりそうなので、しないけど……。

 

 「むぅ……ホントに寝れなくなってきちゃったよ」


 奏翔の寝顔を見ながら呟く私に対して本格的に起こした奏翔はぐっすりと眠っていた。

 

 「そうだ……!」


 奏翔の寝顔を見てよからぬことを思いつく。

 

 「私の耳を刺激してくれたんだから奏翔にもお返しをしないとね」


 後々になって考えれば言いがかりにも近い理由だが、寝たいという欲求が満たすことができなくなって脳がおかしくなったのだろうか。

 欲求を満たせないという意味ではある種これは欲求不満だと言えるのかもしれない。

 そんな言い訳じみた説明を脳内で繰り広げながら、顔を奏翔の耳へと近づける。


 「……何って言おうかな」


 やろうと思ったのはいいが、何て言おうか悩んでしまう。

 そこでふと思い出したのは、暇つぶしに見た動画配信サイトでやっていたASMR配信のこと。

 その配信で一番印象に残っていたのは——


 ——大好きだよ。


 と言った感じのリスナーへの愛の囁きだった。


 自分の唇が奏翔の耳たぶに触れるぐらいの距離で試しに言ってるみるが起きる気配はない。

 

 「むぅ……それならこれはどうだ」


 ——私を抱いて、もう我慢できないから。


 目指すは過激路線。

 よく口にしているが、こんな艶のある感じにいえば感じ方は違うかもしれない。

 

 それからしばらくの間、色んなことを囁いてみるが奏翔が反応することはなかった。


 「えー……こんなに言っても何もないって」

 

 他の人が聞いたらドン引きする様なワードを言ってみたのに。

 もちろん、こんなこと奏翔にしか言うつもりはない。

 

 「こう言う時はシンプルなのがいいかもしれない」


 狙いすぎてリアリティがなくなってるのかも。

 シンプルイズベストっていう言葉もあるぐらいだし。


 「うん、それじゃシンプル路線で……」


 そう言って出てきた言葉が……


 ——好きだよ、奏翔。


 これぞ愛の囁き。これならリアリティたっぷり。

 むしろありすぎて、本当に告白してるみたいで恥ずかしさのあまり顔が燃え上がる様に熱くなっているけど。


 ——奏翔とずっと一緒にいたいよ。

 

 口にしているうちに気分が高揚していき、ずっと囁き続けていた。

 まるで、奏翔に告白しているみたいだった。


 「うん、もう充分言ったしこれで——」

 

 そろそろやめようと思った時だった。

 私の体が締め付けられるような感覚を覚える。


 「ふぇ……!? か、奏翔??」


 自分の体を見ると、奏翔が私の体を抱きしめていた。

 けれども目は瞑ったままで……。


 「も、もしかして全部聞こえてた……?」


 そう問いかけるが奏翔から返事が返ってくることはなかった。

 ずっと呟いていたからか、聞かれていたかもしれないというドキドキ感からなのか、定かではないが寝れなかったのが嘘だったかの様に気がつけば寝入っていた。


 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「そういえば、昨日夢をみたんだけどさ……」


 昨日の天気が嘘だったかの様に青空が広がる中、バイクを運転しながら後ろにいる柚羽に声をかける。


 「どんな夢? もしかして柚羽ちゃんとベッドで激しい運動をしたとか?」

 「……真昼間からよくそんなこと言えるな」


 ため息混じりに返すと、柚羽は続きを早く言えとせがんできたので続きを話す。


 「魔法で動けなくされた後、耳元でおぞましい言葉をずっと唱えてたんだよ。 夢だから世界観メチャクチャなのはわかるけど……」

 「誰が唱えてたの?」

 「柚羽」

 

 そう伝えると柚羽は無言で俺の背中を叩く。

 

 「それは奏翔が捻くれてるからおぞましい言葉に聞こえただけで、ものすごくいいことを言っていたんだと思うよ!」

 

 柚羽の言葉に俺は再びため息をつく。


 ——本当は全部知っていると思いながら。

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