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85話 一度思ってしまったことは……

 「……本当に炭酸で酔っ払う人っているんだ、アニメだけだと思ってたよ」


 お昼前から始まった女子会は思いもよらない事態の発生で終わってしまった。


 「うへへ……かにゃとぉ〜!」


 私の目の前では体をくの字に曲げて心地良さそうな顔で寝ている親友の姿。

 

 「炭酸がダメなら言ってくれればよかったのに……」


 彼女を見て前に母親が『日本人は遠慮がちな性格の人が多い』と言っていたことを思い出していた。

 

 「とりあえず、カナトっちに連絡しておくかな……」


 このまま夜まで寝ちゃった場合、カナトっちに頼んで家の人に連絡をしてもらわないといけないし……。

 そういえば、ユズっちの家ってどこなんだろ? 修学旅行の時はカナトっちが一緒だったから全く気にしてなかったけど。

 まあ、いざとなったら彼にきてもらって、そのまま送ってもらえればいいか。


 ベッドの上に置いていたスマホを取ってLIMEアプリを起動してメッセージを送ろうするが……。


 「ちょっと可愛いから写真に撮っちゃおっと」


 そう思ってカメラアプリを起動してユズっちにカメラを合わせていると……


 「うにゅ……」


 変な声をあげながら横になって寝ていたユズっちが体を起こしていた。

 先ほどまで赤くなっていた顔は少し引いていたが、脳は完全に覚醒していないのか、眠たそうな目をしている。


 「むぅ〜」


 起き上がったのはいいが、なぜかこっちをジッと細めで睨んでいた。

 ちなみに睨んでいるのは私の顔ではなく、少し下の部分。


 「……こんな大きなお胸を持ってるなんてけしからん〜」

 

 眠気が混じった声でそんなことを発しながら、私の胸を鷲掴みにすると、そのままこちらへもたれかかってきた。

 ちなみに、夢の世界へ旅立つ前にも似たようなことを口にして乱暴に揉みしだいてきたんだけど。


 「私もこんだけ大きければかにゃとも……ふへへ〜」


 そして独り言を言っている最中に再び眠りへとついてしまった。


 「……私からしたらユズっちぐらいの大きさが可愛いと思うんだけどなあ」


 肩凝るし、歩いてるだけでスケベな視線感じるし。

 

 「たしかこういう時、日本語で何ていうんだっけかな……」

 

 そう思いながら今のユズっちを写真に収めてからカナトっちにメッセージを送った。


 「……にしてもホント、ユズっちはカナトっちが好きなんだね」


 メッセージを送りながら、ユズっちを見て少し羨ましく思ってしまっていた。


 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「……何だよこのソワソワする感じは」


 柚羽を見送ってからすぐに家の掃除、洗濯機をかけ、たまには家でのんびりしようと思っていた。

 なので、コインランドリーで乾燥機をかけることで時間を短縮し、その分でやりたいことをやろうと思ったのだが……


 リビングのソファに座ってからまったく動けずにいた。

 何も音がないのは落ち着かなかったので、音響がわりにテレビをつけたのはいいが……

 

「そうだ、部屋に行けば気分も変わるだろう」


 重い腰を上げてからテレビを消し、冷蔵庫から飲み物を取っていざ、自分の部屋へ。

 だが、そのままベッドの上で大の字になって再びボーッとしてしまっていた。


 結局何もしないまま時間は過ぎていき、先ほどまでは明るかった空に夕焼けが差し始めていた。


 「一体どうしたんだんだろうな……」


 思っていることを口にしてしまう。

 疑問のような言葉を口にしているが、何が原因なのかは自分でもわかっていた。

 

 「……弱いな、ホント」


 自分自身に呆れてしまい、乾いた笑いがこぼれてしまう。

 日常に慣れきってしまうと、少しの変化が生じた場合、体に異変が起きると聞いたことがある。

 今の俺の状況で言えばいつもいるはずの存在がいないからだろう。

 

 「……連絡がないってことは楽しんでいるんだろ」


 枕元に置いていたスマホを取って画面を見るが、メッセージが送られた形跡など全くなかった。


『寂しかったらいつでもLIMEしていいからね!』


 出かけ際にそんなことを言っていたことを思い出す。

 冗談っぽく言っていたが、アイツの場合はそれが本心だろう。

 多分、いつも通りの短いメッセージやスタンプを送るだけでも喜ぶのはわかっている。

 けど、女2人で楽しんでいるところに水を差すようなことはしたくなかった。

 それに連絡がないってことはそれぐらい楽しんでいるってことだろう。

 

 スマホを枕元に置き、俺はボーッと天井を見つめていた。



 

 「……もうこんな時間か」


 壁にかけられた時計を見て呟く。

 あれから更に時間が過ぎ、外はすっかり宵闇に包まれていた。

 スマホを取り出して、画面を見るが先ほど変わらず、何の通知も来ていない。


「夕飯の準備をするとしますか……」


 そう呟いてから体を起こしてからベッドから降りる。


「……帰りの時間だけ聞いとくか」


 LIMEアプリを起動させてアイツとのメッセージ一覧を開こうとすると、突然スマホが震え出した。

 画面にはLIME通話の画面。そこに表示されているのは……


「アリア……?」


 通話開始ボタンをタップすると、いつもと変わらない元気そのもののアリアの声が聞こえてきた。


『やっほー、カナトっち!』

「どうしたんだ? 柚羽と遊んでいるんじゃないのか?」

『それが何だけどさぁ……』


 いつもならはっきりと物事を言うアリアが今回に限ってはものすごく歯切れが悪かった。


『ごめん、ユズっちねちゃった!』

 

 少し間を空けてアリアが大声で話していた。


「……どう言うことだ?」


 その後、申し訳なさそうにアリアが話していた。

 簡単に言えば、出した飲み物が炭酸系のジュースで、それを飲んだ柚羽の顔が真っ赤になったと思ったら、そのまま寝てしまったとのこと。

 

 『もしかしてユズっちって炭酸で酔っちゃうタイプだったりする?』

 「……そうだよ」


 昔からだが、柚羽は炭酸で酔ってしまう体質の持ち主だ。

 前にも俺の愛飲している炭酸水と水と間違えて飲んでしまい、酔っ払いのごとく陽気な感じで笑い出したり、突然泣き出したと思ったら糸が切れた人形のように寝てしまっていた。


 『やっぱそうかぁ……すごかったよ、座った目で私の胸を見たら突然鷲掴みにしてきたし』


 アリアの言ったことに俺はため息をこぼしながら、頭を抱えてしまう。


 「……にしても嬉しそうに聞こえるのは気のせいか?」

 『そりゃあかわいいユズっちにされたら、嫌な気分はしないよ? むしろそのまま誘っちゃおうかなと思っちゃうぐらいだったし』

 「あっそ……」


 俺の返事にアリアはケラケラと大声で笑っていた。


 『……でもそのあとユズっち、ずっとカナトっちのことをずっと話していたんだよ』

 

 一瞬俺の胸の奥がズキっとしていた。


 「何を話していたんだよ……?」

 

 『一緒に過ごしてきたことや、カナトっちがどれだけカッコいいかとか色々と、しかもすごい嬉しそうに!』

 

 何を話したのか想像はつくが、恥ずかしさもあってかそのまま無言でいた。


『ってかさ、カナトっち?』

「何だよ?」


 返すと、アリアは少し間を開けてからこう言ってきた。


 ——カナトっちはユズっちのことどう思っているの?

 

 それを聞いた途端、俺の胸の奥に何かが刺さる感覚を覚えていた。

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