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76話 一緒にいたい

 「これが千本鳥居……ファンタスティック!」


 京都駅から電車にて二駅目で降り、少し歩いた場所に伏見稲荷大社が構えていた。

 そして中へと進んでいったところにあるここの名所であり、俺が自分の目で見たかった千本鳥居の入り口にたどり着くとアリアが驚きの声を上げていた。


 いくつもの鳥居で形成された真っ赤なトンネルは幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 俺は鞄からコンデジを取り出して何度もシャッターボタンを押していく。


 「前にテレビのCMで見たことはあるけど、生で見ると迫力が違うな! 進んでいったら異世界とかに行けそうだな! 行くなら戦う巫女とか魔法使いがいる世界にいきてー!」


 写真を収めている最中、隣で虎太郎が1人で妄想に花を咲かせていた。

 いつもなら全否定するところだが、今回に限っては俺も似たようなことを考えてしまったので、黙ったまま生暖かい目で見ることにした。


 「この場所は稲荷信仰の発祥の地みたいだね」

 「……うん、だから色んなところに稲荷大神の使いである狐の像が置かれているんだって」


 アリアは歩きながらスマホでこの場所のページを見ているようで、所々読み上げていた。

 その隣で柚羽が補足をしていた。


 「稲荷大神ってやっぱりモフモフのイケメンだったりする?」


 アリアが発した言葉に柚羽は困惑の表情を見せていた。

 

 「ほら、今季のやってる深夜アニメでも狐の化身がでてくるけど、超イケメンでしょ?」

 「そ、そうなんだ……」


 何も知らない顔で答える柚羽。

 ちなみにそのアニメに関して、柚羽は知っている。何なら俺も知っている。

 ちなみに知らないふりをしているのは後ろにファンクラブの会員である虎太郎がいるからだろう。

 この場にいなかったら、嬉々としてアリアとその話に花を咲かせているであろう。


 「いーや、違うな」


 その話に対して、声を上げたのは虎太郎だった。


 「何が違うのコタっち?」

 「狐の神様といったらロリBBAに決まってるだろ! もちろん語尾には『〜じゃ』でな!」


 虎太郎の自信たっぷりの回答に俺と柚羽は何も返さなかった。

 っていうよりも反応したら負けだと思っていた。


 「うっわ……もしかしてコタっちってロリコン?!」

 「そ、そんなわけねーだろ! っていうかロリBBAは合法的だろ!」

 

 アリアと虎太郎は睨み合いながらそれぞれの主張をぶつけ合っていた。

 ため息をつきながら、頭を抱えているといつの間にか俺の横に来た柚羽が裾を引っ張っていた。

 無言のまま柚羽の顔を見る。


 「……もちろん奏翔はイケメン狐派だよね?」


 柚羽は睨みつけるような目つきでじっと俺の顔を見ていた。


 「そういうのを俺に求めるな……」

 

 というかそんなこと正直どうでもよかった。



 「これがおもかる石か……」

 

 『おもかる石』とは千本鳥居を抜けた先にある奥社奉拝所の奥にあるパワースポット。

 石灯籠の前で願い事を念じた後に灯籠の上にある宝珠石を持ち上げて、軽く感じれば願いが叶うと言われている。

 それを説明して、真っ先に足を進めたのはアリアと虎太郎だった。

 手を合わせた2人は各々願い事を念じていく。


 「いっくよー!」

 「よっこらせ!」


 アリアと虎太郎はほぼ同時に互いの目の前に建つ灯籠の上にある丸い宝珠石へと触れる。

 

 「すごい軽いー!」


 軽快な声と共に軽々と宝珠石を持ち上げるアリアに対して虎太郎は……


 「ふぬぬぬぬぬっ!!」


 虎太郎が触れた宝珠石はびくともしなかった。


 「……虎太郎、どんな願い事したんだ?」

 

 俺が聞くと虎太郎は自信たっぷりな顔でこちらを向いた。


 「俺も奏翔みたいに超モテる男になりますようにっていっただけだぜ?」


 その答えに対して真っ先に反応したのはやはりアリア。

 

 「えー……さすがにコタっちはカナトっちみたいにはならないって、ムリムリ〜!」


 アリアは笑いを堪えながら自身の顔の前で右手の指を左右に振っていた。

 

 「ちっくしょー! 神様のばかやろー!」


 そう言って虎太郎は大声を上げて先へと進んでいってしまった。


 「ちょっとコタっち! 冗談だって!」


 アリアは虎太郎の後を追っていくが、すぐにこちらへと振り向く。


 「この先でコタっち捕まえとくから2人はゆっくりで大丈夫だからね!」


 それだけ告げるとアリアはすぐに虎太郎の後を追って行った。


 「よし……!」


 アリアの姿が見えなくなると、柚羽は左側の石灯籠の前に立ち、手を合わせると同時に目を瞑っていく。

 俺もすぐに右側の石灯籠の前に立って柚羽と同じようにしていく。


 何にするかと、思ってはみるが願い事は既に決まっていた。

 小さく深呼吸をしてから願い事を念じていく。


 「奏翔、終わった?」

 「……終わったぞ」

 「それじゃ、石をあげようか!」

 「そうだな」


 俺と柚羽は互いの目の前にある宝珠石へと触れる。

 

 「それじゃせーの!であげようよ」

 「わかったよ、それじゃいくぞ……」

 「「せーの!」」


 掛け声と一緒に宝珠石を持ち上げていく。


 「みてみて奏翔!」


 声に応えるように柚羽の方を向くと彼女の手の上には宝珠石が乗っかっていた。

 

 「奇遇だな、俺もだ」


 同じように自分の手のひらに宝珠石を乗せていた。


 「奏翔はどんな願い事にしたの?」


 柚羽はゆっくりと宝珠石を灯籠の上に戻していた。

 

 「……『柚羽が家事をちゃんとしてくれますように』って願ったんだよ」


 俺も宝珠石を元の位置に戻すと柚羽の顔を見る。


 「もうちょっといい願い事にすればいいのに」


 柚羽は不服そうに頬を膨らませながら答えていた。


 「何だよいい願い事って?」

 「例えば『かわいい柚羽ちゃんがあんなことやそんなことをしてくれますように』とか」

 「……神聖な場所で願う事じゃないだろ」


 どう見ても罰当たりだ。


 「そういう柚羽はどうなんだよ? まさかとは思うが、『明後日の夕飯がハンバーグになりますように』とは願ってないよな?」

 「そんな子供みたいな願い事しないよ!」


 柚羽は唇を尖らせていた。


 「私は『これからもずっと奏翔と一緒にいられますように!』って願ったの!」


 それを聞いた俺は顔全体が熱くなっていく感覚がしていた。

 

 だが、それは柚羽も同じようで頬が少し赤くなっていた。

 それを誤魔化すかのように「ふへへ〜」といつもの変な笑い声を上げる。


 「そろそろアリアさんと虎太郎くんのところに行かないと!」


 そう言って柚羽は2人が向かった方へと進み出して行った。


 「……考えてることは同じかよ」


 俺は乾いた笑いをしながら、柚羽の後をついて行った。


 『柚羽と一緒にこれからもいられますように……』

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