74話 旅の前夜祭
74話と75話が同じ内容になっていたため
修正いたしました。
大変失礼いたしました。
「明日から修学旅行がはじまっちゃう……」
修学旅行の前日、夕飯を食べながら柚羽が1人で不満を漏らしていた。
「何だよ、小学校の遠足の時とか楽しみすぎて寝不足で行ってたのに珍しいな」
「これが奏翔と2人だけの旅行なら嬉しさのあまり、奏翔を押し倒したくなっちゃうけどさ」
「……嬉しくてもするな」
結局、修学旅行は虎太郎と、アリア、柚羽の4人のグループで行くことになり。柚羽がいることで虎太郎は大はしゃぎしていた。
4人で行きたいところを言い合い、行きたい箇所をまとめて担任に提出して俺たちのルートが確定した。
ちなみに、グループのリーダーを決める際に満場一致で俺になってしまった。どうしてこうなった……。
「そういえば準備はできたのか?」
「ううん、お風呂上がったらやるつもりだけど、奏翔は終わったの?」
「……今週の頭から少しずつ準備をしてたけど?」
前日とかにやると何かしら抜け漏れがあるので、毎日少しずつ準備していた。
その都度柚羽にも言っていたのだが、アニメ鑑賞でそれどころではなかったらしい。
「奏翔の準備が終わったってことは、手伝ってもらえるってことだよね?」
これは名案だと言わんばかりに柚羽は俺の顔をみていた。
「……あえて聞くが、拒否権は?」
「拒否してもいいけど、奏翔が手伝ってくれなかった悲しさを癒すために夜中、布団に潜り込んで色々しちゃうかも?」
柚羽の返答にため息で返す。
「……いつも通り風呂からあがったら手伝うから、さっさと飯食って風呂に入れ」
「ふへへー、さすが奏翔ー!」
毎度の如く、変な笑いを浮かべていく柚羽だった。
柚羽のペースに巻き込まれていく自分が不憫にしか思えてくると、俺は目の前でハンバーグを食べている柚羽に向けて大きくため息をつくのであった。
「奏翔、相談事があるんだけど……?」
「今度は何の相談だ?」
夕飯、食器洗い、風呂を済ませて柚羽の部屋に行ったのはいいが、案の定取り出したキャリーバッグの中身は空に等しかった。
洗面用具やバスタオルなどをキャリーバッグの中に入れていったのはいいが、事あることにパジャマはどれがいいかなど相談と称して聞いてきていた。
その度に自分で着たいのを持って行けと話していた。
「下着どれにしようか悩んでいるんだけど……」
「……何でそれを俺に聞く?」
「せっかく手伝ってくれているんだから、お礼をしないといけないかなって!」
「……普通のお礼がいいんだが?」
「普通のお礼かあ……柚羽ちゃんと添い寝? それともお風呂? あ、もしかして柚羽ちゃんそのもの!?」
柚羽はグイッと俺の方へと食いつくように身を寄せていた。
「……お礼なんかいらないから、さっさと終わらせるぞ」
「むぅ……」
両手で頭を抱え込みそうになる俺に対して柚羽は不満だと言わんばかりに頬を膨らませていた。
「ふぅ……これで終わったな」
キャリーバッグと常に持ち歩くトートバッグに必要なものを入れ、明日の朝、すぐに着替えられるように着る服をハンガーにかけた。
「できれば奏翔のパーカーがよかったのになあ……」
ハンガーにかかった白いシャツとデニム系のロングスカートを見ながらぼやいていた。
「……どうみてもサイズが違うし、万が一俺のだとバレたら大変なことになるだろ」
ましてやファンクラブの一員である虎太郎が同じグループのため、知られた時のことを考えたら全身が水を被ったかのように体が震え出してきた。
「さてと、明日も早いし俺はそろそろ……」
部屋に戻ろうと立ちあがろうとしたが、寝巻きのシャツの裾をグイッと引っ張られた。
振り向くと裾を掴んでいた柚羽が見上げていた。
「どうしたんだよ?」
「……まだ戻っちゃダメ」
そう話すと同時に柚羽は俺に抱きついてきた。
「それに女の子の部屋に来たんだから、何もしないで帰るっていうのは失礼なことだと思うんだよね〜」
「……何をしろっていうんだよ」
「明日と明後日は修学旅行だしその前に欲求不満解消として、かわいい柚羽ちゃんを押し倒してスッキリしちゃおうとか」
「そんなこと俺が考えると思うか?」
そもそも柚羽の部屋には何度も入っているので、そんな特別感があったりはしない。
「むぅ……」
柚羽は俺を抱きしめる力が強めていく。
どうしても離れたくないという意思表示だろうか。
部屋の壁にかけられた時計を見ると、日付変更までまだ時間はあった。
「わかったよ、そのかわり日付が変わったら寝るぞ」
ため息混じりに柚羽へそう告げるといつものように薄気味の悪い笑い声を浮かべていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「この前みたいに後ろから抱きしめて!」
部屋に足を伸ばして座ると、奏翔はため息混じりに私の後ろに座ってぎゅっと抱きしめてくれた。
奏翔の体が私の背中に密着したことに気づいただけで、出しちゃいけない声が出そうになる。
「うへへ〜……どうしよう奏翔、体が疼いてきそうなんだけど?」
「思っても口にするな……」
ふにゃああああ……奏翔の吐息が耳にかかってる!?
絶対に今、人には見せれない顔してたはず。
それぐらいドキドキするし、変な気分にもなっちゃう……
「ちなみに私のここは準備できてるよ?」
そう言ってTシャツを下から捲り上げる。
奏翔の手で触られたら普通じゃいられなくなるけど、むしろそれを望んでるやってくれ!
「……するわけないだろ」
秒で断られた。
いや、もしかしたら奏翔も準備が必要なのかもしれない。
前みたいに背中ごしに奏翔の心臓の音が聞こえているし。
——ちなみに私は心臓が外に飛び出るんじゃないかってぐらいドクドクと音を立てていた。
「やーだー! むしろして欲しいの!」
子供のように駄々をこねる私に対して、奏翔は無言。
ため息をつけなくなるほど、呆れているのかもしれない。
「むぅ……奏翔が構ってくれない」
明日から帰ってくるまでの間は奏翔に甘えることができない。
いつもなら帰ってくれば奏翔に甘えられるけど、修学旅行中は2人きりになれないから我慢するしかない。
けど、1日でも我慢できないっていうのにそれが2日とか言われたらどこかで欲望が暴発してしまうかもしれない。
だから今のうち、奏翔にいっぱい甘えておいてこの欲求不満をなんとか抑え込むしかない。
2日分持たせるためにはいつも通りのやり方じゃ全然足らない。
こうなったら……。
「奏翔……」
「どうした?」
ぐおおおお……奏翔が喋るたびに声が耳にかかってヤバいことになる!
「体の疼きが限界きそうだから、服脱いで襲いかかっていい? もちろんイエス以外の返答は受付けて無いけど!」
私の必死の主張は奏翔のため息によってかき消されてしまった。
いいもん! 奏翔に抱きつきながら自分でなんとかするから!
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