72話 これからは3人の秘密(一部除いて)
「今日はマジで楽しかったよ! 日本に来て一番楽しかったかも」
気がつけばLEOの感謝祭の終了ギリギリまで3人で楽しんでいた。
イベントに3人で参加したり、アリアは会場内にいたコスプレイヤーを見て、コスプレへ興味津々になっていたり、俺と柚羽のことがバレてしまうとい大ハプニングもあったが、気がつけば時間を忘れるぐらい楽しんでしまっていた。その中で一番楽しんでいたのは——
「うへへ、そうきゃんのサイン入り色紙最高すぎる!」
ずっとニヤけ顔が収まらない柚羽であろう。
柚羽は会場で行われたビンゴ大会にて見事に一列揃った際にもらった景品を抱きしめていた。
ちなみに揃った時に壇上に上がったのは俺。
理由はみんなが注目してるところになんか緊張して行けないとか言い出して、俺が行く羽目になった。
ちなみに当たったのはLEOのNPCキャラクターの声優のサイン入り色紙。
会場を出る頃には日が沈みかけており、アリアの家に着く頃にはすっかり暗くなっていた。
「別に家まで送ってくれなくてもよかったのに」
「一応おまえは女だしな、男としてそれなりの対応はしておこうと思っただけだ」
俺の返答にアリアはニヤニヤと俺を揶揄うような表情を見せていた。
「さすがモテる男は違うね」
「うるせーよ……」
アリアはケラケラ笑っていた。
「もちろん、それはユズっちも家まで送ってあげるんだよね?」
「当たり前だ、じゃないとコイツの父親に怒鳴られるしな」
俺はため息混じりに答えると、隣にいた柚羽は不思議そうな顔をしていた。
「あれ、今は——」
柚羽の言うことを遮るようにわざとらしいと思えるほどの大きな咳払いをしつつ、柚羽に視線を送る。
それでどうやら気づいたのか、柚羽はハッとした表情の後、下を向いていた。
「ってことで俺たちは行くからな」
「うん、さすがに今日は疲れてログインできないからまた明日だね!」
そう言ってアリアはこちらに向けて大きく手を振っていた。
「それじゃーねー! ユズっち! ちゃんとカナトっちに守ってもらうんだよー!」
俺たちが踵を返すと、アリアは大きな声で呼びかけていた。
それに対して柚羽が彼女に向けて大きく手を振り返していた。
「ただいまぁ……」
「ただいまー!」
アリアの家を出てから20分ほどで自宅へと帰ってきた。
寝不足もあってか体が悲鳴をあげる寸前まで疲れている俺に対して、柚羽は帰ってきても元気だった。
途中、コンビニで買ってきた夕飯をダイニングテーブルにおいてからリビングに行き、ソファへと腰を落とす。
その瞬間、ソファに吸い込まれるんじゃないかと思えるぐらい、沈んでいった。
「……あれ、奏翔疲れてる?」
グッタリしている俺をみた柚羽が目の前に立っていた。
「どっかの誰かのせいで寝不足だからな、あと久々の遠出で疲れた」
俺が皮肉で返すと、柚羽は不満そうに唇を尖らせていたが、すぐに俺の方へと抱きついてきた。
「疲れた時は柚羽ちゃんのハグが効果的なんだよ」
「……単にお前がそうしたいだけだろ」
俺が返すと、柚羽は俺を抱きしめる強さが増していった。
「むぅ……しょうがないじゃん、今日はまだ奏翔にベッタリできてなかったし」
そう言って柚羽は顔を俺の胸に擦り付けていた。
相変わらず猫のようだな。
「その割には楽しんでたように見えるけど?」
「……うん、奏翔以外の人と遊ぶのって久々だったから」
「でもよかったな、これからはアリアと一緒に遊べるぞ」
俺は柚羽の頭を撫でながら話す。
すると柚羽はそれこそ猫のように顔を左右にブンブンを振ると、俺の顔をじっと睨むようにみていた。
「ってか、いつの間にかアリアさんのこと名前で呼んでる!」
「おまえがお花摘んでる間、呼べってうるさかったんだよ……」
学校で柚羽のことは言わないとお願いしたことによる交換条件みたいなものだが、柚羽にそれを言ってしまうと罪悪感がでてしまうので黙っておいた。
「むぅ〜! 柚羽ちゃんというかわいい子がいるのに他の女を名前で呼ぶなんて浮気だ!」
柚羽は猫のように唸りながら俺の両頬を指でグリグリと回していた。
「浮気した罰として今日は柚羽ちゃんと一緒に寝ること!」
「疲れがとれないだろ……」
「わかった、好きなパジャマで寝てあげる! パジャマじゃなくても下着とかそれこそ産まれたままの姿でもいいよ!」
「……普通にパジャマ着ろ」
ため息混じりの返答に柚羽はふへへと気味悪く笑っていた。
「……ちなみに飯どうするんだ?」
「私はまだ平気だけど、奏翔は?」
「俺もまだ平気だ」
感謝祭の会場にはゲーム内でも登場する食べ物が実際に屋台で販売しており、事あることに食べていたので、夕飯を食べれるほどには至ってない。もしかしたら今日は食べなくてもいいかなと思えるぐらいだ。
「それじゃ、お腹空くまでこのまま抱きついていていい?」
「断ってもどうせ抱きつくんだろ?」
「うへへ、よくわかってるじゃん!」
「言っとくが変なことしたら突き落とすからな……」
俺はそのまま柚羽の体にもたれかかっていった。
「ど、どうしたの!?」
「少し寝るから適当な時間に起こしてくれ……」
それだけ告げると柚羽の体を抱きしめながら目を瞑っていった。
「うわわっ……って本当に寝ちゃってるよ!?」
なんか頭の方がわさわさと音を立てていた。
「……今日はありがとね奏翔、大好きだよ」
耳元で何か聞こえたような気がするが、夢の世界へと旅立った俺が聞くことは叶わなかった。
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