66話 我が高校のナンバーワン清楚系美少女誕生秘話
「珍しく頭使ったら、ものすごいお腹空いちゃって!」
「……別に1人でいけばいいだろ?」
「だってあまり店知らないし」
そう言って鹿島田は俺の再度俺の腕を掴んでいた。
「それに、えっとカナトっちってよくあの目つきの悪い人と美味しいラーメン店の話してるじゃん?」
「……カナトっち??」
「あれ、違ったっけ? たしか、カナト・フジノだよね?」
「そうだけど……」
「だからカナトっち! ユズっちもこんな感じで呼んでいるんだよ」
いくらなんでもあだ名で呼ぶのが早過ぎじゃないか?
ちなみにこれまでの人生において、こんな呼ばれ方をされたことは一度もない。
「日本のラーメンってすごい美味しいって聞くから一度行ってみたかったんだ! ユズっちに聞いてみたけど、ラーメンはあまり好きじゃないって言ってたし……」
鹿島田の返答に俺はため息で返す。
柚羽のやつ、家ではよくカップ麺を食べてるだろと、思わず口に出そうになってしまう。
学校でのスタイルを保つためについた嘘であることは重々承知していることだが。
「……場所だけ教えるから1人で行って——」
「こう見えて私、方向音痴なんだ!」
「威張って言えることじゃないだろ……」
スマホで時間を確認すると、もう少しで夕方と言える時間になっていた。
あと数時間はアニメ鑑賞に没頭していそうだし、1人にさせてやるか。
「わかったよ、今日だけだからな……場所は教えるから次からは1人で行ってくれ」
「Fantastic! ありがとー!!!」
嬉しさで舞い上がったのか、鹿島田は両手を広げて俺に抱きついてきた。
「抱きつくな……!」
すぐに両手で彼女の体を押し返す。
「あー……日本だとハグをする習慣ってないんだっけ? ユズっちにも同じように返されたんだよなあ」
鹿島田は残念そうな顔をしながら呟いていた。
「……あいつの場合は多分違う気がするが」
「何か言った?」
「……単なる独り言だ、それより行くならさっさと行くぞ」
それだけ言うと俺は下駄箱の方へと歩き出していった。
「あ、ちょっと待ってー!!」
鹿島田は急いで俺の後を追ってきていた。
「おぉーっ! この味噌の匂いすごくいい感じだよ!」
前に虎太郎といったショッピングモール内にあるラーメン屋へ行くと、今回も運がよかったのかすぐに入ることができた。
スタッフに4人用の席へ案内されると鹿島田は店内を漂う味噌の匂いにご満悦な様子だった。
元々は立ち食い席しかないプラ〜ザラーメンに行こうとしたが、運悪く定休日だったので仕方なくこの店に。
あそこなら立ち食いでのんびりできるような場所じゃないからすぐに帰れると思ったのだが、思うようにいかないな。
「この『唐辛子味噌チャーシューラーメン大盛りニンニクマシマシ』って美味しそうじゃない!?」
そう言いながら鹿島田はメニューを俺に見せてきた。
ってか前に虎太郎が食べてたやつだな。前回もそうだが、今回も見てるだけで胃がもたれそうになる。
「……それ、見た目以上に量があるけど?」
「マジで!? ガッツリ食べたいからこれにしようっと! あ、カナトっちは?」
「……普通の味噌ラーメンでいい」
答えると鹿島田は大声でスタッフを呼ぶと、俺のと一緒に注文していった。
「マジで楽しみなんだけど!」
「……ラーメンぐらい外国にもあるだろ?」
「そうなんだけど、美味しいとは言えないかな、パパも日本のラーメン食べたら比べものにならないとか言ってたしね」
「……へぇ」
他愛の無いことを話していると、最初に鹿島田が頼んだラーメンがやってきた。
麺の上にチャーシューが3段ぐらい乗っていた。
そして味噌とニンニクの風味が湯気に混じって漂っている。
「キター!! まずは写メとってと……そんじゃいただきまーす!」
両手を合わせてからすぐに箸を持って食べていく。
この匂いと見た目だけで満腹になったような気分へとなっていた。
「やば……美味しすぎ!」
興奮気味に麺をすすっていく鹿島田。
「……そりゃよかったな」
ちなみにその後すぐに俺の注文したラーメンが来たが、目の前を見ていると、食が進まなかった。
それでもなんとかして食べ切ったが……。
「ごちそうさまでしたぁ! ここなら毎日きてもいいかも! ユズっちも誘ってみようかな!」
たぶん行かないと思うし、来ても俺と同じような思いをするだろう。
「そういえばさー?」
スタッフが食べ終わった皿を取りにきている最中に鹿島田が声をかけてきた。
「……なんだよ? 言っとくけど自分の分は自分で出すからな」
「そんなことを聞いたわけじゃ無いから!」
「……じゃあ何だよ?」
「ユズっちのことなんだけどさ!」
ラーメンを食べている時は打って変わり、真剣な表情で俺を見ていた。
「何でみんなユズっちに声かけないの? それに私が声をかけるたびに鋭い視線を感じるんだけど? 特に男子から!」
男子というのはファンクラブの連中だろう。
虎太郎も柚羽と鹿島田が話しているのを見ると睨みつけるように見ているしな。
「それは俺に聞かず、ゆず……和田塚さんに聞いてみたらどうだ?」
「聞いたけど、『私、友達がいないから』って言うだけなんだよ!」
たしかに間違っていない。
と、いうよりもあいつが友達というものを求めていないと言った方が正解かもしれない。
——本当にそれでいいのか、と思ってしまうこともあるが。
「……来たばっかの鹿島田じゃ、わからないと思うから説明しとくよ」
「何を?」
鹿島田は不思議そうな顔で俺をみていた。
それに対して俺はこう告げた。
——我が高校が誇る清楚系美少女ついて……と。
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