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45話 今日は2人だけでのんびりと

 「……奏翔、今日1日裸で過ごそう!」

 「ごほっ、げほっ……!!!」

 

 相変わらずの昼直前に起きてきた柚羽の第一声がこれだった。

 まったくの無警戒のまま炭酸水を口に含んだ状態で言われたため、派手にむせ返ってしまう。


 「真昼間から何を言い出すんだ……」


 炭酸水が鼻の中へと逆流してきたため、急いでティッシュで鼻をかむ。


 「だって、明日終業式があるじゃん! 朝早く起きるの面倒だから風邪をひけば行かなくても済むでしょ?」


 今日はテスト休み最終日。

 柚羽の言う通り、明日は3学期終業式のため学校に行かなければならない。

 といっても、早ければ午前中、遅くても昼過ぎぐらいには帰ってくることができる。

 

 そして、明日が終われば春休みで1週間ほどと短いが、また休みにはいるため、明日の半日我慢すればいいのだが……


 「それに奏翔だって、この柚羽ちゃんの”ないすばでー”を堪能することができるんだから、一石二鳥だとおもうんだよね! しかもムラムラっときたら、そのまま——」

 「——一石二鳥になるか、おまえが風邪を引いたら誰が看病すると思ってんだ」

 「私は奏翔に看病されたい! そう言えばネットに載ってたんだけど、風邪をひいてる女の子の姿ってグッとくるみたいだよ?」

 「……グッと来てどうするんだ?」

 「もちろん、そのまま2人営みが開始されるんだよ! 私はたくさん汗をかいて風邪が治る。奏翔は溜まってたものをはき出してスッキリできる。これぞウインウイン!」


 明日学校を休むことよりもそっち方面に持っていきたいだけだろ……


 「……柚羽、肝心なこと忘れてないか?」

 「肝心なことって?」

 「風邪ひいたらどれだけ長引くと思ってんだ」

 「あ……」


 自分のことなのに本人は忘れていたらしい。

 柚羽は風邪を引くと完治するまでに時間がかかる。以前、完全に治るまで1週間ほどかかったこともある。

 その時は両親もいたからなんとかなったが、今そうなったら俺が看病をしなければいけなくなる。

 しかも1週間もかかったりしたら大事な春休みがなくなってしまう。


 「明日半日我慢すれば春休みに入るんだから、耐えてくれ……」

 「えー……それじゃ明日頑張れる様に何かしてほしい!」

 「……例えば?」

 「今日1日奏翔と家で過ごしたい!」

 「……まあそれぐらいなら」

 「いいの?」

 「今日はそのつもりだったからな」


 最近はコンデジを買ってから写真を撮りたくなって外をうろうろとしていた。

 今日もどうしようか考えたが、さすがに疲れてもいたし明日があるため家でゆっくりしようと思っていたところだ。

 そのために朝早く起きて、掃除と洗濯など必要なことを済ませており、夕飯もできることなら簡単に済ませようとも考えている。


 「それじゃ、今日は私の部屋で2人だけで過ごそうよ!」

 「別にいいけど」

 「うへへ……部屋で奏翔と2人きりなんて考えただけでドキがムラムラじゃなくてムネムネしそう」

 「間違いにまちがってるし……そもそもわざとだろ今の」


 俺の指摘に対して柚羽はふへへと笑っていた。




 2人で昼食と片付けを済ませてから、要望通り柚羽の部屋へと入っていった。

 部屋の中には小さなテーブルがあり、その上には柚羽が使っている液タブ用のペンスタンドとタンブラーが置かれている。

 俺も冷蔵庫から持ってきた炭酸水のペットボトルを置くと、自分の部屋から持ってきた漫画や小説を読み始めると。柚羽が俺の背中に寄りかかりながら液タブで絵を描いていた。

  

 「ふんふんふ〜ん♪」

 

 しばらくすると柚羽は鼻歌を歌っていた。

 前にうまく書けると気分がいいと話していたことを思い出した。


 「今日はうまくいってるのか?」

 「それもあるけどね……」


 柚羽はペンをテーブルの上に差し込むと液タブをテーブルの上に置くと、こちらを向いて俺の背中に全体重を乗せ、手を俺の胸の付近まで伸ばしていた。


 「奏翔と一緒にこうやって過ごしてるだけで嬉しくなっちゃうんだよね〜」

 

 柚羽は嬉しそうな顔で俺の顔をみていた。

 それだけでは飽きたのか俺の頬を指で突っついたり、両手で伸ばしたりしていた。


 「……ゆふは、ひっはるふぁ!」


 大声で伝えるが、気の抜けた声のため説得力がほとんどなかった。

 その様子をみていた柚羽は大声で笑っていた。


 「奏翔も私のほっぺたつんつんしていいよー」

 「しない」

 「ちゃんと手入れしているから、ぷにぷにしてて気持ちいいのに〜」


 そう言いながら柚羽はずっと俺の頬で遊んでいたが俺は構うことなく本を読んでいた。

 

 「……むぅ、奏翔が構ってくれない」

 

 頼むからゆっくり本を読ませてくれ。


 「ってか何読んでるの?」


 俺が何も反応しないから飽きたのか、今度は頭を俺の肩に乗せて、本の方へと目を向けていた。


 「最近映画化したやつの原作小説」


 ミステリー系の内容でテレビのCMと朝の情報番組の番宣から興味を持ち始め、原作小説があることを知って買ってみた。

 ちなみに映画の方は主演が女性向けアイドルと男性向けアイドルのダブル主演ということ売りにしていたが、俺はそっちには興味はなかった。


 「そう言えばアニメのCMでもやってた気がする……ってうわ!?」

 「なんだよ……」

 「……なにこれものすごい表現がえっちぃんだけど」

 「ホラー要素のあるミステリー作品だからな……」


 話の内容が人間の恐怖や愛などがメインテーマとなっており、メインテーマの裏で気持ち悪くなるぐらいの欲望に溺れていく人間模様も描かれている。

 そのためなのか、柚羽の言う「えっちぃ」シーンが生々しく表現されていた。

 

 「もしかして、映画でもここ再現されているのかな……?」


 柚羽は小説の一部分を指差していた。

 

 「売れっ子アイドルにここまでのことはさせないだろ……あってもちょっとしたベッドシーンぐらいか?」


 ちなみに柚羽が指摘した場所は男性向けのエロ本の内容かと思えるぐらいはっきり、そして生々しく書かれていた。

 しかも結構長く。1人なら何も考えることなく読んでいけるが、後ろで柚羽も読んでいるとなると、気まずさが先に出てしまい、読みづらくなっていた。


 「……とりあえずここまででいいや」


 しおりを挟んで本を閉じた。

 急ぐ必要もないし、自分の部屋に戻った時にでも続きを読むとしよう。

 他にも持ってきた本を取ろうとすると、柚羽は俺の体を抱きしめていた。


 「どうしたんだよ?」


 さっきまで俺の肩に顔を乗せていたが、いつの間にか俺の背中に顔をつけていた。


 「……ちょっとこのままでいさせて、あと当分こっちみないで」

 

 呟く様な小声で話す柚羽。


 「まあいいけど……」


 なんか背中越しに柚羽の体が小刻みに揺れてる様な気がするが、気にすることなく、俺は別の本を取り、内容に没頭していった。

お読みいただきありがとうございました!


2章に突入です!


まだまだ2人のドタバタ劇は続いていきますので是非お楽しみに!


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