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11話 清楚系美少女の愚痴とクリスマスの予定

 「今週末には冬休みが始まるな」

 「そうだな」


 12月も終盤に差し掛かり、今週の金曜が終われば誰もが楽しみにしている冬休みが始まる。

 そんな木曜の放課後に俺は虎太郎と一緒にファミレスへときていた。


 「奏翔は冬休み何するんだ?」

 「溜まってるゲームを消化ぐらいだな」


 正確に言えば、やりたいという希望が込められている。

 半日は家でやることをやって夜は同居者(ゆずは)のゲーム相手をせざるを得なってしまうだろう。


 「多分俺もそうなると思うけどさ……」


 基本的にポジティブしか持ち合わせない虎太郎が珍しくため息をついていた。

 

 「どうしたんだ、虎太郎がため息つくなんて女に逃げられた時でもないのに」

 「女に逃げられたらため息どころじゃねーって、下手したら1日5食が3食になっちまう」

 「……その方が色々といいんじゃないか?」


 健康面とか家計的にと、家庭的な考えに行き着いてしまうのは今の生活を送っての成果なのだろうか。

 ——何だかこっちがため息をつきたくなってきた。


 「やっぱさ高校2年にもなったんだから、女の子と付き合ってみたいじゃん!? 冬休みって色々イベントが盛り沢山だし!」


 少しでも心配した自分が愚かだったようだ。

 

 「……別にそれならゲームでいいんじゃないのか?」

 「そうなんだけどさ、たまには生身の女の子に触れ合いたいじゃん? 手を繋いだり抱きついたり、もちろん2人きりで部屋に行ったら——」

 「それ以上は結構だ……」

 

 ただでさえ家でも似たようなことを口走るのがいると言うのに……男のその手の妄想は聞くに耐え難い。


 「あーあ……1日でいいから和田塚さんとデートしてみてーな、クリスマスは誰と過ごすんだろ、あれだけ綺麗なら彼氏いると思うしクリスマスは熱い夜を過ごすんだろうな」


 彼氏というか、自称旦那はいるな。リアルではなく二次元の世界で。

 そして熱い夜にはなるとは思う。LEOのクリスマスイベントはあるみたいだし、その後も夜通しでプレイすることだろう。

 まあ、それに俺が巻き込まれるなんて、この場では口が裂けても言えないことであるが。


 「しょうがない、非モテな俺はファンクラブ限定の和田塚柚羽フォトグラフでも見て過ごすとするか……」

 「……そっすか」


 こいつのいう和田塚柚羽フォトグラフというのは、ファンクラブの自称カメラマンが撮影したものを写真共有アプリでアップをしているらしい。もちろん柚羽が許可をしているわけではなく、犯罪スレスレの盗み撮りだ。

 

 その後も虎太郎の悶々とした妄想話が続いていたが、虎太郎が母親から夕飯の連絡が入ったことで解散となった。


 「……そういや俺も晩飯を作らないと」


 そろそろ同居人にも料理を教えた方がいいのか……。

 だが、俺がいない時にされて、家が謎の爆破とか火柱が立ったなんてことになりえそうだ。

 考えただけでため息が出てくる。



 「クリスマスの予定って奏翔が聞いてくるなんて珍しいね? あ、もしかしてかわいい私と過ごしたくなっちゃったとか?」

 「さっきまで虎太郎とその話をしてて、その流れでお前がどうするのか気になっていたから聞いたんだよ」


 帰宅後、夕飯を作りながら、リビングでテレビを見ている柚羽に聞いた見たところ、返ってきた答えが単なる妄想でしかなかった。


 「虎太郎くんがというか……完全にファンクラブの会員としての疑問だよね、それって」

 「まあな……」

 

 一応彼女自身もファンクラブの存在は認識しているようで、解散してほしいと思ってはいるものの、存在が大きすぎて怖くて言えないと話している。


 「毎回思うけど、私よりもかわいい子たくさんいるのに何でそっちにいかないんだろう?」

 「前に虎太郎が言ってたけど、見た目だけで判断しているわけじゃないみたいだな、いろんな角度から性格をみてるとか?」

 「何そのいろんな角度からの性格って? そもそも学校じゃほとんど話してないし、どうやって判断しているの?」

 「話さないのが1番の理由かもな」


 俺の答えに柚羽は「どういうことー?!」と大きな声をあげていた。


 「いわゆるアイドル化だな。 柚羽の場合見た目は百歩譲っていいとしても、遊びに行ったり、話したりと誰とも関わり合いを持とうとしないから余計だろ」

 「それって早い話、みんな私のことを妄想しているだけってこと?」

 「そうだな」


 その直後に柚羽は「気持ちわるッ!?」と口にしていた。


 「も、もしかしてファンクラブの人って私の妄想で夜な夜な悶々としてるってことなの!?」

 「……知るか」


 今のセリフをファンクラブの連中が聞いたら卒倒しそうだな……。


 「っていうよりも、別にファンクラブの連中に合わせる必要なんかないんじゃないか? いつも通りの柚羽をだしても——」

 「それもいいかなって思う時もあるけど、でもさ……こんな経験一生に一度あるかわからないじゃん!」

 「……意外と楽しんでたりするのか?」

 「私もかわいい女の子だし、ちやほやされたい気持ちは多少たりともあるよ?」

 「……楽しんでるなら何よりで」

 

 ガスコンロを止め、出来上がった料理をテーブルの上に置いていくと、匂いに釣られたかのように柚羽がダイニングの方へとやってきた。

 

 「そうじゃなきゃ、入学寸前に突然、『高校デビューしたいなんて』言わないしな」

 「まさか、高校デビューをした結果がこんな形になるなんて思わなかったけどね……」


 ため息混じりに話す柚羽だが、テーブルの上に置かれた料理を見て、目をキラキラと輝かせていた。

 その様子を見て、この方が彼女らしいなと思ってしまう。


 「話は戻るけど、奏翔はクリスマスどうするの?」

 「1人で静かに過ごしたいと思っているが、どっかの誰かがさせてくれないだろうな……」

 「もしかして、今のってツンデレ要素含んでたりする? 『柚羽と2人きりで過ごしたけど、俺なんかじゃ嫌だよな』って」

 「思ってもないし、永久的に思うこともないと思うが?」

 「安心して、クリスマスはLEOのクリスマスイベントに付き合ってもらうから! 奏翔が望むなら熱い夜を過ごしてもいいんじゃよ?」

 「……あえて聞くが、熱い夜ってどんなのだ?」

 「ゲームに熱中する意味での熱い夜でもいいし、奏翔が望むならベッドの中での熱い夜も——」

 

 柚羽はニヤニヤと清楚からかけ離れた表情をしていた。


 「聞いた俺がバカだった……」


 ため息混じりに俺は自分で作った肉じゃがを箸でつまんでいった。

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