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壊れた心は100%もとには戻らない
暑い夏が終わろうとしている。編入試験を受けに来た。北陸のA県、駅に降りた瞬間に感じたいやな空気。このときから私はこの地域とは合わなかったのだろう。
私はバスに乗り、窓から見える絵を見た。不安と緊張、何故か感じた嫌悪感、私の目から見た絵がすべて薄暗く汚いキャンバスに見えた。
「○○大学前に着きました」。さあ試験が始まるぞ、負けないぞ。19歳の私は自分の直感に見て見ぬふりをして試験を受ける。
「成瀬 空さん」と呼ばれ、入室したときに目が合った。怖そうな高齢の男性の先生。
その後の面接内容は覚えていない。ただ覚えていたのは例の先生。面接中の態度があまりにもひどかったからだ。
私は短大を卒業し、A県に引っ越した。それが私の人生を大きく変えた。今ではこの選択が天国か地獄だったかもわからない。
私は300人は入れるだろう講義室で、大勢の知らない人達に睨まれ、臭い死ねと言われた。
統合失調症を発症した瞬間だった。