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これより侵略を開始する
ゲートの先は砂漠だった。
「なるほど暑さ適応で毛が無いのか?」
ゲート前に新鮮な土を撒いていく。
「まずは緑化かな」
そしてスキル:眷属支配を使って菌糸ネットワークを拡げて行く。
「おっと」
遠巻きに弓矢のようなものが降ってきたが瞬間的に外骨格を纏い無傷。
「ギャ?」
そしてノコノコ歩いて近づいて来た個体は地面に飲まれた。
「接続、眷属化は駄目か。組成把握、出来た」
そして邪鬼の正体を知る。
「ふむ、クイーンが居るな」
蟻や蜂に似た真社会性生物。しかし生殖は無性的にクローンを作ることも可能。充分な栄養のもとでは有性的に爆発的に増える事も出来ると。
「めちゃくちゃしぶとい生物だな!こりゃ敵性認定される訳だ」
少しずつ認識を遠くへ。都市が視えた。
「侵略開始。土壌拡大。水も要るが…地下水脈発見、汚染完了。よしよし、スキル:眷属強化。殖えよ育て地に満ちよ。緑化開始」
地中及び水脈と陽光を利用し、強化した侵略植物達を成長させる。どんどんと延び絡まっていく緑達。重金属等の汚染物質は吸収個体が取り込み、系外に排出。後で回収しよう。
更に菌類に濃縮し昆虫達に回収させ寄生蠕虫によりゲート内へ帰還、そのまま炉の中へ回収していく。
「炭酸ガス濃度が足りんな。都市まで進むか」
もはや高さ2m位の緑の津波となり、都市を収穫しに流れ込もう。
途中の襲撃も意に介さず。ゲート付近は大樹の中に埋め込んで来たので気にせず。穴掘り得意な生物達に地下圏を預けて侵略。
中心から放射状にネットワークを伸ばしていく。
宇宙から見れば、いきなり砂漠に緑の黴が生えたように見えるだろう。
先端が都市に触れた。
「先に空気中にばら撒いた細菌が効いたな」
ゴブリン自体に効かなくとも、食べるものや衣服ならどうか。
「食品危害菌類虫類セット、木造かならば木材腐朽菌及びシロアリ部隊セット、衣類害虫セット、飲料水にはアオコ仕込むべ」
朽ちてゆく。ゴブリン達の創り上げたモノ総てが。
「金属か、なら腐食菌セット、そして雨降らす」
汲み上げた地下水を天へ。植物達と菌類達の共演、天候操作。
「喰らい尽くせ、肉喰虫」
合わせて肉を喰らうよう調整進化させた甲虫を放つ。ちなみに幼虫は草食。
「マッテクレ、ダンジョンマスター」
「お?」
よしよし、ボスが釣れたぞ。
悪役ムーブ。楽しい。