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そうです、ディストピアものです
絶滅。ある種の個体群が再生産不可能となる事。
要因は様々。現在は人類の活動によるものが進行中である。
進化する生命に必然の運命。
「人類が滅亡していた件について」
取り戻した記憶。それはダンジョンにより徹底的に殺戮され、収穫される人類の姿だった。
「どうして…?」
「それは人類が敵性体と認定されたからです」
「ゴブリンと同じ…?」
「…はい」
信じがたい。認めたくない。しかし、
心のどこかでそれを理解してしまっていた。
「ご主人…」
「元気出せシモベ。魚食べるかナ?」
「友よ…」
「……オッケー把握した。で、これからどうする、ダンジョンコア」
「ジン……」
「ヒカリが悪くないのは分かる。が。……あーもうそんな申し訳そうな顔をするな」
「しかし…」
「改めて問う、ダンジョンコアのヒカリ。ダンジョンマスターたるジンが命ずる」
覚悟をもって、個人記憶をしまい込む。幸いに自己暗示能力も向上している。
意図的に記憶を沈め込む。人類の特技の一つだ。
「これより邪鬼世界へ逆侵攻を掛ける」
「先鋒は俺が行く。侵略種の準備をしよう」
「えっ」
「やられたらやり返す。そして、観察者に知らしめる。人類を滅ぼそうとするという事がどういうことか見せてやろう」
襲撃停止から一晩明けて。
休息と調整を行った。
睡眠時間に肉体をより侵略向けに、共生する細菌もより破壊的に。あとは。
「ご主人、土はここで良い?」
「サンキューポチ。運搬軍の指揮は大丈夫そうか?」
「臭いがキツイが慣れたワ」
「すまんな」
「ご主人。リーダーはもっとドンと構えているものだワ。いかようにでもごめいじください、マスター」
「ヒカリの真似か。アイツはどうしてる?」
「タマの寝姿をじっと見つめてたワ」
「うーん。気にするなと言ってもなーアイツ真面目だからなー」
「仕事してないのに真面目なのか?」
「本来コアとマスターはダンジョンの奥に引き篭もるのが仕事だからな」
「やっぱり侵攻はワたしが」
「最適なのは。侵略種認定された人類たる俺だ。そこは譲らんぞ」
「でも」
「そして、誰に喧嘩売ったか目にモノ見せてやる。…それに、ゴブリンそんなに強くなかったから大丈夫だろ」
「友よ、本当に大丈夫なのか?」
「やはり反対です!貴方が倒れたらこの世界はどうするのですか!」
「その時はタマ、お前がマスターやれ。これは命令だ」
「ヒカリと引き篭もって居ればいいんでしょう?任せナ……でも、ゲボク。いやジン。帰ってこなかったら化けて出るからナ」
「どこで覚えたのそれ。まあ死ぬつもりはない。むしろ、これが一番手っ取り早くレベルを上げる方法なんだ」
「しかし……!」
「大丈夫だから。ヤバかったらチーターのごとく走って逃げるから」
まあ逃げるつもりは無いのだが。
観測者よご笑覧。これより、邪気世界をテラフォーミングしてやる。
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