1-6
チュートリアル戦
ダンジョンゲート。
ダンジョンへの入り口、侵入者を誘う境界。
「ゲート位置はここでいいかな」
一度睡眠を取ったあと。
都市跡地に移動し、整地作業している。
「ドームを頑丈にして、地下エリアへの動線を引いて、その下水張って、水没エリアの下に空間置いて、溶岩エリアにして、その奥にコアルーム。我ながら最悪なダンジョンだな」
万が一を考えドーム周辺は土で埋めている。ゆくゆくは森にしたいが時間が足りんな。
「ご主人、戦闘希望者は」
「周囲に居住エリア掘るか。放射状に置こう」
対邪鬼戦。殺意高め配置。
「作戦はこう。一旦飽和攻撃与えて様子見、押し込めそうなら逆侵攻、無理そうなら戦闘員は外へ退避して俺が地下エリアに誘導。本当にヤバそうならゲートごと埋めて土木部隊に頑張ってもらう感じで」
「十分だと思います。邪鬼相手には少し大袈裟ですが、この後も考えるとこの構造は良いですね、拡張性がある。私一人には勿体ない出来です」
ヒカリも満足そうである。よし、
「では早速敵さんのツラ見てみよか」
「ワオーン!」
ドーム中心にゲートを召喚。
ゲートの形は7角形で片面が黒く、片面が白い。
白い側から出てくるらしい。平置きにしたい。
「ギャ?」
「ギャギャ」
うわ、本当にいかにもゴブリンって感じの汚らしい緑肌の小鬼が出てきた。嫌悪感が凄い。
「大軍隊アリ部隊、突撃」
まずは数で押す。大顎を強化し針も追加しサイズをギリギリまで大きくしたクロアリを最初の兵士として用意。
結果、割と優勢。
「このまま終わるのでは?」
「あ、ホブ出てきた」
「ホブが倒れた」
大きさや強さなど、数の暴力には勝てなそうだ。
と、油断があったかもしれない。
「メイジだ」
「げっ殺虫の魔法か小賢しい、ネズミ部隊突撃」
虫対策されたら他で行くまで。
「メイジ撃破、ハチ部隊準備、変な個体出てきたら目を狙え」
「順調ですね」
「ご主人、出番が欲しいぞ」
「あんな汚らわしいのに触れさせるか。対汚染性能高い者たちに任せよう、コウモリ部隊準備、体液を回収してくれ」
今の所順調。次は敵の情報を抜こう。
「まったくわからん。なんだこれ」
ゴブリンの遺伝情報。生物なら基本的な構造は一緒だろうと思っていたが全然違った。
「そもそも劣化が早すぎる。直接捕まえるしかないか」
「危険です、ダンジョンマスターのゴブリンが発生する可能性は無視できません」
「だよなあ~」
仕方ない、別アプローチだ。
死体の分解もめちゃくちゃ早いな、自壊してるっぽいな。構成要素はあまり変わらず、十分地球環境でも消化可能。未知の金属とかもなし。
細胞構造か代謝機能かなんかに秘密がありそうだな。
「耐毒性と分解早いのはセットなんかもね」
まあ、資源として有用なのはいいことだ。
ゲート開放から丸一日経過。
追加部隊出すこともなく順調に駆逐していってる。
「これってどうすればクリアなん?」
「ゲートからの侵入が停止すれば撃退成功となります。記憶のロックも解除されるはずです」
「そこは別に未練ないんだけど。止まるかね?」
「平均では1,000,000体程倒すと終わります」
「今で…もうすぐじゃん」
「はい、極めて順調です」
「あ、終わった」
ゲートから最後に豪華な鎧を付けた大き目のゴブリンとその取り巻きが出てきたが足元からボロボロになって終了。
さっくりと記憶が戻った。
そして。
何もかもが終わっていたことに気付いてそのまま気を失った。
戦いは数。数は正義。