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仕事中に続きです
地球環境において、人類という種の与える影響は極めて大きい。それは気候変動と大量絶滅という形で現在も進行中である。が。
「あったよ文明の跡が!」
「明らかに燃え尽きてますが」
某県某市、文明崩壊後100年以上経過後。
「季節が冬じゃ無くて助かったぜ」
「というかシュミレーション内なのに保温って必要なのですか?食事も睡眠も必要無い筈ですよね?」
とてもブラックな発言をする悪魔秘書。
「気分の問題。というか生理的欲求まだ残っているのはこれが必要だってことじゃないの?」
とりあえず崩れなさそうな建物にツタを束ねたものを乗せて屋根とし、枯れ木を集めて火を起こした。動画で観ていたのが役に立ったぜ。
「次は鉄器時代に進むか」
「それよりもダンジョン入口の確認が優先です、と具申します」
「ノリノリでキリモミしてたのに?」
「だって楽しそうでしたのでつい…」
「それよりも。まずは状況を整理しよう」
パチパチと弾ける音。ヒトは古来より焚き火を囲んで会話をしていたはず。それを模倣。
「食事があればもっと良かったけどね。とりあえず煮沸して冷ました水で乾杯しながら話そうよ」
「そこまで言うなら」
「ところでダンジョンコアって水飲んで大丈夫?」
「わかりませんがマスターと同期しているはずなので多分大丈夫でしょう」
半透明なのでどうなるかと観察していたが見えなかった、不思議。ついでに叩かれた。
こちらも夢でないことを確認、熱いもうちょい冷まそう。
うん、白湯。そして感覚はある。
「ではまず、名前を考えよう」
「名前?」
「ダンジョンマスターとダンジョンコアだと呼びづらいし違和感ある」
そう。
現時点では自分の名前も家族の名前も務めていた会社の名前から推しの名前まで何もかも、ヒトの名前と顔というものを思い出せないでいる。
「ゲームのキャラクター名すら思い出せないとかヤバ」
「……申し訳ありません」
「これはレベルアップで解消される?」
「恐らくは。今時点では優先度が低いと判断されたのでしょう」
「キミにも固有名はあるんだよね?」
「いいえ、私達にはもともと固有の名前はありません。マスターと出逢ってから個別の記憶を許されています」
「なるほど。じゃあどちらもイチから考えようか」
とはいえ案はもう有る。
「これから俺はジンと呼称する。キミはヒカリね」
「ジン様、ですか」
「敬称はいらない。ジンルイのジン。キミは出会ったとき光ってたからヒカリ。単純明快でしょ?」
「ヒカリ…」
話し掛けられた瞬間から今まで悩んだかいがあったようで、僅かに嬉しそうに聴こえたのは気の所為じゃ無いと信じたい。
ちなみに本名に掠ってない事は分かっているが、ヒカリは妹と思われる人間の記憶と少し重なるので何かしら関係有るのかもしれん。
「では、侵略の準備をしようか、ヒカリ」
「はい、ジン。まずは戦力を集めましょう」
一部は完結させたい気持ち