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前作エタったので初投稿です。これジャンル何?一応異世界転移?
「この星を、書き換える」
テラフォーミング。人類にとって都合の良い星へと環境を工学すること。生存圏を他天体へ、生存時間を進化的時間以上にするための科学。
知的生物にとって最も罪深い行い。
目覚めた時、目の前に光があった。
256色に輝くゲーミング球体がある。なんだこれ。
「どんな夢見だよ…」
ここのところ仕事が忙しく睡眠時間が不規則になっていたし、上司と部下の対立でキリキリ舞いしていたので、この時はまた変な夢かと思っていた。
「とりあえず触ってみよう」
そこまでが前世の自分が覚えていた最後の記憶。
二重螺旋の記憶。
そこにはその個体の進化経路と生存履歴が記録されている。
生物の基本的かつ最大の権能。
ここから自意識を取り戻すまで604800秒。
その間に想像する当時の地球を球体に投影した。
解像度は最後に過ごしていた場所について高く、それ以外は推測と希望を含む。海外行ったこと無かったし。出不精だったし。
初めてのスキル行使にしては上等かと。
「初期設定を完了、敵性条件を選択、邪鬼世界を接続します」
スキル行使による反動から眠りに落ちる間際にそんな声が球体自身から届いた。
邪鬼。いわゆるゴブリン。食性は雑食だが肉食を好む。生殖に他の大型生物を利用するため文明敵性生物として認定された。
ちなみに集団の数が増えると生殖に利用した生物や食した生物から遺伝子を組み込んだ変異体を作り出して手に負えなくなる。また個体間変異が大きいため星の抗体をすり抜けて土着生命を滅ぼしがち。インフルエンザみたいなもん。
「で、俺はこいつらを滅ぼせばいいわけ?」
「いいえ、そこまでは期待していません。滅ぼされないことが最善です」
目覚めた後、元球体に吸い込まれるように転移し、ナビゲーションシステムを名乗る不審者系美女(半透明)と会話。
「なんで俺がこんな事に巻き込まれなきゃいかんのか…謎だ」
「それを望んでもいたのでしょう。適性診断結果は私達でも熱狂する程でしたよ。それに、初期ダンジョンエンジニアリングで星を丸ごと再現しようとするなんて聞いたことも無いです」
「だって出来ちゃったし」
「責任は取ります」
「この再現世界が滅びるって事は地球も滅びうる、って事なら対策はしたいし協力はするよ」
独り言にも真面目に答えてくる自称秘書と共に、邪鬼対策を考えることにする。
だが、まずは。
「腹減った、飯にしよか」
「サバイバル飯ですね、本で見ました」
人間の居ない、文明も無い地球という環境でまずは生き延びる事から始めましょうか。
ちなみにゲロ忙しい時に溢れてきたものを記録してますので誤字脱字ありましたらお願いします。