俺の彼女はいちいち可愛すぎる
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〜2学期終業式の放課後の屋上にて〜
「香織さん!あなたの、いつも何事にも真剣に取り組む姿や、本を読んでいる姿、時折見せてくれる笑顔が好きです。いいや、あなたの全てが大好きになってしまいました!俺と、付き合ってください!」
そう言って、目の前の小さな女の子、澤田香織に手を差し出した。
彼女は俺と同い年で高校2年生。身長は142cmと小柄で幼い顔をしている。
趣味は読書で、小さい体ながらも図書委員として頑張っている。あんまり大きい声を出すことが得意ではなく、人と話すと緊張でほとんど喋れなくなる。それでも、いろいろなことに全力で取り組む姿はとても可愛らしい。
その小さい体と童顔、できないことでも頑張ってやろうとする姿が自分の娘や妹を見ている様な感覚になることから「妹にしたいランキング」と「娘にしたいランキング」で3連続一位になっている。
「わ…たし、みんな…みたいに綺麗じゃ……ないよ?」
「今は可愛いけど、服装とかで他の女子よりも綺麗になるよ絶対!」
「わたし、その…胸……大きくない…よ?」
「胸の大きさで人を好きになるとか絶対にない!そんな体目的みたいな付き合いは嫌だし」
「私……すっご…く…重い…かも…」
「愛が重い人は愛してくれてるってのがすっごくわかりやすいから変に心配をしないで付き合えるから嬉しいぞ!」
「でも、私…」
「あぁもう!俺は香織さんが好き!付き合いたい!だからYESかNOで答えて!!」
「えっ、で「YESかNOで答えて?じゃないと答えてすらもらってないのにフラれたってここからグラウンドに向かって叫ぶよ?」……うぅ」
本当はこんな脅し風なことを言いたくない。
けれど、そうでもしないと彼女は自分を卑下しまくるから、それを止めるためにもこういうしかないのだ。
なに?もっといい方法があるだろって?俺はバカだからこれ以外思いつかなかったの!
「私なんかが…好きな人……と結ばれてもいいの?」
「『私なんか』じゃないよ。それに、人は全員幸せになる権利があるでしょ?」
「でっ、でも…私…今での幸せすぎる…」
「なら2人でもっと幸せになってやろうじゃないか!」
「うぅ……」
沈黙。俺は彼女を見つめ、彼女は頬を赤く染め、モジモジしながら俯いている。
でも俺もほんとは俯きたいくらい恥ずかしい。「好きな人」とダイレクトに言われてしまうと流石に恥ずかしい。
決心がついたのか、勢いよく顔をあげ、真っ直ぐにこちらをみてきた。
「私も!あなたのことが大好きです!失敗しても子供扱いしないで、私の横に立ってすぐそばでフォローしてくれたり!趣味に付き合ってくれたり!私が人と話すことが苦手だということに配慮してくれたり!そんな感じの何気ない気遣いに救われて、あなたのことが大好きになりました!私と!付き合ってください!!」
そう言って彼女はこちらに手を伸ばしてくる。
彼女の大きな声は初めて聞いた。でも、それほどまでに勇気を出してくれたのだろう。
だから俺はその手を優しく握り笑顔でこう答えるのだ。
「はい、もちろん、喜んで!」
12月後半。とある風が強い日に、高校の放課後の屋上で一組のカップルが生まれたのだ。
「ックシュン」
「ごっごめん!寒かったよね!こんな時期に屋上呼び出しちゃってごめん!!」
そう言って生まれたてのカップルは慌てて屋上を出て行ったのであった。
◆◇◆◇◆
2人は教室に戻り、荷物を取ってから学校を出た。
あたりはもう暗くなり始めていて、風が強いためすごく寒い。
隣にいる澤田さんもほんのり震えている。
「ックシュン」
「大丈夫!?とりあえず、風邪ひかないようにあったかくして!ほら、俺のマフラー貸すから!」
「えぇ!?だっダメだよ…石井くんが…風邪引いちゃうかもだし」
「俺なら大丈夫だよ!中学までは運動部だったし、そこそこ体強いから!それに、明日はクリスマスイブなんだから風邪ひいちゃうと楽しめないよ?」
「うぅ、わかった」
そう言って彼女は止まってくれた。
だから俺はちゃっちゃと彼女の細い首に俺のデカめなマフラーを巻いてあげた。
すると彼女は手でマフラーをぎゅっと握ってニヤニヤしている。可愛い。
「ふふっ、石井くん…ありがとう!…石井くんの温もり…すごい伝わってくる」
そう言ってちょっと顔を赤らめて目を逸らす仕草がかわいい。もうめっちゃキュンキュンしちゃう。
「そうだ。澤田さんはー「ねぇ!」ん?どしたの?」
「その…せっかくだから…名前で…呼び合おう?恥ずかしかったら、あだ名でもいいから」
「ん、そうだね!じゃあこれでいい?香織?」
「ーーーーっ///(コクコクと頭を縦に振る)…これからよろしくね?りょっ、り…///」
「無理しなくてもいいよ?俺たちのペースでやっていけばいいんだからね」
顔を真っ赤にして頑張って俺の下の名前を呼ぼうとする香織がすっごく愛おしい。
でも、自分だけ苗字なのは嫌らしく、ちょっと不満そうな顔をして考え事をしている。
すると、ハッと顔をあげて言ってきた。
「これから…よろしくね?りょうくん」
くすりとはにかんで俺のあだ名を呼んでくれる彼女が可愛すぎる!そろそろキュン死しちゃいそう!
そして今も顔を赤くしつつ「恥ずかしいね」なんて小声で呟いちゃってるの可愛い!!
結局この後は2人して照れまくってお互い顔すら見れずに解散となった。
◆◇◆◇◆
12月24日朝7時。今日から冬休み開始だ。
終業式をクリスマスに被らない様にするあたりうちの学校は本当にわかっている。
ふとスマホに目をやるとLIMEが来ていた。
相手はもちろん香織だ。香織と昨日学校を出る直前に交換したのだ。何が来ているのか気になるためさっそくトーク画面を開いてみる。
6:30『おはよう!りょうくん、今日か明日空いてる?空いてるなら10時30分に駅前の時計塔前に来て欲しいんだけどいいかな?』
6時半に起きてるの!?すっごく健康的だなぁ。
じゃない!これもしかしなくてもデートのお誘いだよね!?しかもクリスマス!!
そんなの最高じゃん!クリスマスってだけで雰囲気いいのに今年のクリスマスって確かここら辺雪降るよね!?マジか最高すぎ!テンションぶち上がるわ!
デートする時、手を繋いで歩いて、お昼時にはあーんとかしちゃったり、エッ、、、、はまだ無理だよね。昨日名前呼び合うだけでお互い恥ずか死しそうだったし。
ま、まぁ、と、とりあえず両方とも空いてることを伝えよう。
既読7:12『おはよ!俺はどっちも空いてるからとりあえず今日行けばいい?』
えまって今送った瞬間既読ついたよね?もう返信きた。なに?待機されてた?
7:12『やった!初デートだ!今日明日は雪が降るらしいし最高だよね!デートプランは昨日の晩考えたからりょうくんはお金とかスマホを持ってくるだけでいいよ!』
え?昨日の夜のうちに考えてくれてたんだ…やばい嬉しい
既読7:13『わかった!いろいろ考えててくれてありがとう!次デート行く時は俺が考えるね!』
7:13『うん!もう今から準備しちゃってくるからまた後でね!』
とりあえず。俺も準備しちゃいますか〜
ぐぅ〜
いや、その前に朝ごはんにしよ。
母さんが作っておいてくれていた朝ごはんを食べつつなんとなくニュースをつけると天気予報のコーナーだった。
どうやら今日の夕方から明日の昼間にかけてはやっぱり雪が降る予報だった。お天道様は俺らに味方してくれてる。
朝ご飯を食べ終え、シャワーをちゃちゃっと浴びて、歯を磨いて、髪型直して、(今まで使う機会がなかった)デート用の服を取り出してきてみる。意外とサマになってるので満足した。
さて、時間を確認すると、今はなんと9時。
相当ゆっくり支度したのにまだ9時です!待ち合わせまでにまだ1時間半!移動に15分ほどがかかるとしてもまだ1時間15分!
☆ひ☆ま☆
◆◇◆◇◆
えー、ただいま、9時28分でございます。
そして、俺がどこにいるのかというと、あと十数秒で待ち合わせの場所に着くようなところにいます。
あれから頑張って暇を潰そうとしたけど、結局はじっとしてることができなくなって予定の1時間前に着いてしまいました。
気長に1時間待ちますか〜とか思いつつ時計塔の隣のベンチに腰掛けた。
ふと隣に人がいることに気付いたので、顔をチラッとみる。
「へっ?」
「えっ?」
すっごくすっとんきょうな声が出てしまったことはさておき、なんと、隣にいるのは澤田香織さんでした!
なんで!?今何時?!やっぱり9時30分!じゃあなんで香織がここにいるの!?
「えっ?りょうくん…はっ、早い…ね?」
「えっ、あっうん。おはよう。てか、澤田さんも早いね」
あれ?なんか頬をプクーって膨らませてジト目を向けられてる?
いや可愛いけど、俺なんかやっちゃった?
「りょうくん名前」
なるほど。完全に理解した。
「あー、香織?まだ待ち合わせの1時間前だよ?早くない?」
「同じ時間にきて……るりょうくんに…言われたくない」
「ま、まぁ?お互い様ってことにしよ?」
「ん」
どうしよう!まさか2人してここまで早くに着くとは…
どうしようか悩んでいると視界の端から香織がひょこっと顔を出して尋ねてきた。
「りょうくんは…どうしてこんなに早く?」
「俺は…好きな人との初デートだから…楽しみでつい」
「んふふっ…りょうくんと私の…考え方おそろい」
そう言って頬を緩める姿が可愛い!てか俺とのデート楽しみって思ってくれてることが嬉しい!
「とり、あえず…映画館…いこ?」
「うん!じゃあ早速行こ!」
そう言って歩き出そうとするとちょこちょこと香織が隣に来て「えいっ」という小さな掛け声と共に手を握ってきた。
横を見ると少し俯いて顔を真っ赤にしながら俺の手を握ってる香織がいた。
はいキュンときました!キュンときました!!(大事なことなので二回いった)
テレテレモジモジする香織が俺の手をひき、前を歩く。
初デートなのにここまで頑張ってエスコートしようとしてくれてる姿が可愛い!!
あれ?普通デートって男がエスコートするものだった気が…まぁ可愛いからいっか。
「今日見る映画…どれがいい?」
「うーん」
現在上映中の映画一覧を見てみる。
一つ目は昔っから人気の海外のヒーローもの。これは無しかな
二つ目は怖すぎることで有名な映画のリメイク版。怖がる香織を見て見たいけど、気遣いのできん男とは思われたくないからやめよ。
三つ目は俺も香織も好きなアニメの映画版だけど、香織はこの間見たって言ってたから無しだな。
四つ目はーーーーこれだっ!
「『カラスの締め忘れ』!有名な監督が手がけた神作らしいじゃん!みて見たかったんだ!」
「うん!私も気になってたから一緒に見よ!」
やった!俺の選択は間違ってなかった!!
◆◇◆◇◆
個人的には、画風はそこまで好きなタイプじゃなかったけど、話の内容がもうこの上なく良かった。
香織も結構満足してるっぽいので結果は上々!
さて、現在時刻は12時ちょい前。
「何かする?それともこのままお昼ご飯にしちゃう?」
「う、んー…お昼。あそこの有名な…オムライス」
「あ、ポメの樹ね!いいよ!まだもしかしたら人少ないかもだし行こう行こう!」
そう言って、今度は俺から香織の手を握ってみた。
すると、一瞬ビクッとしてから真っ赤な顔して目を見開いてこっちを見つめてきた。
見つめ返すと慌てて目を逸らして、ごにょごにょと何か言っている。可愛い。
結局手を繋いでいる間、ずっと顔が真っ赤だった。
ポメの樹の店内に入ると、今はまだお客さんが少なかったので落ち着いてゆっくりしょくじができそうだ。
2人で席に座り、メニューを見る。
香織がモッツァレラとトマトソースのオムライス。俺がハヤシソースのオムライスを注文した。
少しすると2人が注文したオムライスが来た。匂いからして美味しそうで食欲がそそられる。
「「いただきます」」
2人で声を合わせていただきますを言い、一口食べる。
うまい。(語彙力)もううまいとしか言い表せない。
香織もすっごく美味しそうに食べてるので、そっちも美味しいみたいだ。
あまりの美味しさに驚きつつも2人で食事を進めていると、ふと香織の視線が俺のオムライスに向いてることがわかった。
「食べるか?」
「はっはい…あ、あー…ん」
そう言ってオムライスの乗ったスプーンを突き出してくる香織、顔を真っ赤にして目を逸らしながら震える手で俺の口元近くまで持ってきた。
これは、あーんというやつですな!?やっばい!食べたいけど食べたくない!(?)
ここで食べなかったら赤面し続けるかわいい香織が観れるのだから食べたくない!でもせっかく香織からいーんしてもらえるのだから食べたい!
あ、まって、間接キスできちゃうじゃん!よし食べよ!
「おい、しい、です…はい///」
「〜〜〜っ!?///
ほっ、ほら、りょうくん…も……食べさせて?」
上目遣いいただきましたぁ!!!
赤面して上目遣いで恥ずかしそうに小声でアーンをおねだりしてくるあたりもう俺を◯しにきとるよ!!ガチで心拍数やばい!幸せの絶頂すぎて死にそ!
とか考えてる間も健気に口を開けてあーんを待っている香織を見て可愛いと思いつつ、その口に俺のオムライスを入れてあげた。
「おいしい?」
「うん……でも……ハズカシィ」
あ、そんなこと言われちゃうと俺まで恥ずかしくなっちゃうじゃん。
やばい、いつの間にか増えてた人からの視線が痛い
◆◇◆◇◆
あのあと、モール内のいろいろなお店を回って、夕方にはイルミネーションを楽しんで、こっそりデート中に買っておいたクリスマスプレゼントを渡して、今は香織を家に送っている途中だ。
今日1日で、手を繋いで、あーんもした。初デートはホワイトクリスマスデートだし、もう最高だった。
でも、そんな楽しい時間はもう終わり。香織の家についてしまった。
「香織、またね?」
そう言って去ろうとすると、後ろから抱きしめられた。
抱きしめてきた香織は小声でこんなことを言ってきた。
「私の家に…上がって?」
「えっ?でも迷惑なんじゃ?」
「ううん、私からのお願い」
「うーん。わかった。いいよ、お邪魔させてもらうね」
「ん」
そう言って、初めて香織の家に入った。
家は前々から知っていたが、入るのは初めてだ
でも、少し気になったのが香織が家の鍵を閉めて、チェーンまでわざわざ閉めたことだった。
そのまま、香織の部屋まで案内された。
香織の部屋はいい香りだがなぜか薄暗かった。
すると、後ろの扉からかちゃんと鍵を閉める音がした。焦って振り返るとそこには俯いた香織がいた。
部屋が薄暗いせいか独特の雰囲気があり、少し怖い。
すると突然香織が口を開いた。
「ねぇ、りょうくん…今日…たくさんの初めて…りょうくんからもらったの」
「、うん」
「デートも、手を繋ぐのも、あーんも、でも、私、もう一つだけ…欲しいものがあるの」
「なっなに?」
「りょうくん、私の初めて、あげるから…りょうくんの初めてちょうだい?」
そう言って香織は俺を押し倒してきた。
想像以上に力が強くて途中から抵抗できなくなった。
その後は…どうなったか分かるよね?
とりあえず、次の日の朝、香織のベッドの上に香織と2人して裸で抱き合って寝ていたとだけ伝えておこう。
ふと隣を見ると「にゅふふ、りょうくん激しい」とか顔を赤らめながら寝言を言っている香織がいる。
そんな寝顔も可愛い。可愛すぎる。というか、
俺の彼女はいちいち可愛すぎる!!
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こちらはヒロイン視点です!こっちも読んでくださると嬉しいです!