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漆黒のEDGE     作者: 三谷 章吾
6/6

最終幕

AD2045.7.4 カチッカチッカチッカチッカチッ、カチッ

「残りゲート二箇所クリア、神経伝達器官、正常に作動中、解凍開始」

「解凍開始しました」

ピーッピーッピーッピーッ、耳に微かに音が聞こえ、スーッと辺りが明るくなり、光が差し込む。目を開いた前には、19になった理沙が喜びの涙を流している。理沙の隣には親友の姿とおぼろげな記憶の中にある人達が笑顔でこちらを見ていた。開口一番、真田が

「鏡を見て見ろよ!前より男前に再生してやっただろ?」

「あー?俺は前から男前だ!」

「ありがとう、理沙ともどもお前になんと言えばいいんだろう」

「理沙は俺の娘になったから、お前には渡さない!笑笑」

「しかし、少し時間かかったけれど完璧な仕上がりだ、腕も動かして見ろよ凄い技術だろ?そのサイボーグ技術は俺の会社なんだよ」

「マジか!あの死神が会社の経営者?凄いものだ!」

「だから江口頼みがある、この国の頭になってくれ!俺は頭になる柄じゃないから頼む!政治活動の指示は、AIが出してくれるけれど江口の様な的確な判断と意見を持った国の(おさ)をこの国の人々は待ちわびている」

「だから、お願いします」

「で、政府ではなく何にするつもりだ!」

「幕府を再建する!武力で支配するのではなく、今までの民主制を守りつつこの国を他国から徹底的に(まも)りぬく国家を創る」

「幕府名は、信旭幕府(しんきょくばくふ)!どうかな?」

「どういう意味だ?」

「信は、織田信長、武田信玄、上杉謙信の信!旭はあさひの旭だ!ダサイかな?」

「いや、いい名だ!信旭幕府か!よし、この国に産まれて良かったと産まれ来る子供達に言って貰える様な国に造り変えれる様、尽力するよ」

「それが、この国の為に戦い、この国の行く末を案じながら、逝った先人達に酬いる事にもなる」

 「さて、最後の仕上げがあるから、俺達は先に失礼するよ、理沙!あとオヤジを頼む!足がまだふらついてちゃんと歩けないから、ちゃんと歩けるようになるまでリハビリに付き合ってやってくれ」

「かしこまりました!笑、ユッキーも気をつけてね!帰って来たら、三人で御飯食べようねっ、私が作る!」

「分かった、戻ったら連絡する!」

 「上杉!Queenに通信、AI経由で真武蔵から打ち上げる超音速ミサイルをアメリカからの攻撃だと中国側に思い込ませてくれ!」

「了解しました。Queen準備はOKか?」

「OKですアイリ」

「発射!」

「........... ........北京上空で爆発を確認!中国側、アメリカの攻撃と断定!」

「中国軍、アメリカの太平洋艦隊に向け攻撃を開始しました」

「室長!アメリカ軍から入電!陽動(ようどう)作戦感謝する既に北側から、陸上部隊が南下を開始したので北京制圧は時間の問題であるとの事」

「アメリカ軍司令官殿にお伝え願いたい!こちらこそアメリカ合衆国の名を語り誤解を招いたかも知れないが、今日までの長きに渡る揺るぎない日米同盟の絆と、双方の国家AIの瞬時の判断で理解して頂けると判断し、作戦を遂行した次第です。それから大統領に新ためてご連絡致しますと伝えてくれ!」

 

 日本国営放送局より、緊急臨時放送をお送り致します。

これより日本政府を改めて新たなる国家、信旭(しんきょく)幕府が日本国に樹立した事をここに宣言致します。

 「新しき国家、信旭幕府最高司令官幕僚長の江口亮介です。我が国は先日の東京都核壊滅事件で、首都東京を失いました。しかし、我々は首都を遷都(せんと)する事を以前から計画し、実行中でありほぼ全ての首都機能をある地域に移転致しました。首都、福原京です。港、空、山この全てが揃った場所は平安時代にあの平清盛が切り開いた場所であります。これからこの首都、福原京で新たな日本国とその未来を皆さんと創って行きたいのです!」

と江口は一呼吸おいてから

「今、現在の日本の領土は、日本列島と沖縄諸島だけではありません!USEAと言う隣国との東アジア共同体を設立致しました!ヨーロッパのEUとは少し違いますが、百年前、東アジア諸国が夢見た大東亜共和圈を実現したのです!新たに北方領土、台湾、朝鮮半島、南沙諸島、が日本国に加わりました。これらを中国、ロシアの共産主義国家の侵略から護り抜く力も各国々と協力して開発して行きます!そして忘れてはならないのはアメリカ合衆国との関係です!この新しき門出にアメリカとの更なる日米同盟が強固ものになる事を宣言致します。これからアメリカには統制し終えた中国の各州の統治を行ってもらい、アメリカ合衆国の一部になり我が国も自由に渡航可能になります、ですから皆さんの生活をもっと向上し、産まれ来る子供達がこの国に産まれて良かったと心から思える社会を目指して行く所存です、高齢者が特をするそんなおかしな社会に決してしてはいけないのです!国を動かすのは若者の行動力と力強い生命力、年を重ねて行くうえでの経験値が高い高齢者の冷静かつ的確な分析の総合であると考えます。全ての生き物は過去には戻れません、過去を思い出し、歴史を振り返れるのは人間だけです。反省は出来ても過去に戻ってやり直せない、やり直せないなら未来を変えればよい!地球がある限り、この銀河がある限り日は必ず昇のだから!日出る国ニッポン!全ての未来ある若者へ、全ての良識ある人達へ、未来はあなたが創るのです!その手助けを我が幕府は実践してゆきます。ご静聴ありがとうございました」

 「いい演説だった。江口には人を惹き付ける魅力があるなっ、発充電循環装置の事は言わなくて正解だ!完全に完成してからだな!あれこれ嗅ぎ回られるのも面倒だしなっ、これから忙しくなるが頑張ってくれ」

「お前はこれからどうする?」

「そうだな、サイボーグ会社は西郷に任せて俺は真大和の艦長になるよ!一度やってみたかったんだ、船乗りってやつを!」

「お前らしいなっ、ならお前と良く気が合うAIを真大和に就けるよ、名前は付けてやってくれ!」

「女の子がいいなーっ」「当然だ船はみんな女の人なんだよ!潜水艦はわからんけど船は船だろ?その船にお前は俺を押し込めたんだよ」

「それは申し訳なかった、そうだ、西郷に会ったら言っておいてくれ、真武蔵のQueenの身体を近々、上杉が見に行くと伝えてくれ!」

「そうだお前、上杉アイリとどうなったんだよ!綺麗な後輩がお前を慕ってるんだから」

「そうだなー!でもさっ俺達、戦士だから何時いなくなるかわからないだろ?」

「アホか?お前は?何時死んでしまうか分からないからこそ、思う人に伝えるんだよ!いつもの戦場の一晩の慰めじゃないだろ?あの娘は!」

「そうだな!やっぱ江口はすげーぇなっ!俺を納得させるんだからなっ、わかったちゃんと伝えるよ」

「それじゃー頼む!また来るわな」

手をあげて真田は去って行った。去って行く真田のイカツイ背中を江口は見えなくなるまで見送った。

 一週間後、東京核壊滅事件の主犯かくの二貝原が刑務所への護送中、何者かに狙撃され死亡した。かなりの距離からの狙撃の命中率だったという。

「真田艦長、上杉です!」

「上杉艦長、これからよろしく海の事、色々教えてくれ!それとQueenは気に入ってくれたか?」

「それが聞いてくださいよ!身体は凄く気に入って自由に動けるのは有難いらしいですが、私とデートするのは嫌だと言うのよ!行くなら、真田とデートしろってうるさいから今度、デートしませんか?」

「あれ?俺から言うつもりだったのに、やはり上杉は肉食系女子だな、笑笑。よろしくたのむよ!」

「任せてください!そうだ真大和のAIの名前は?」

「あっそうだ、Berryって言うんだ!いい名だろ?」

「そうですか」

「ベリー、上杉です!ふつつか者の男、真田幸貞ですが、よろしくお願いします!私の事はアイリとよんでねっ!」

「分かりました、アイリこれからヨロシクです」

「それでは、真大和!取り舵いっぱい沖縄方面へ」

「真武蔵!面舵いっぱい北海道へ!じゃーねっ室長!」

「また次の作戦で合おう!」

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