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漆黒のEDGE     作者: 三谷 章吾
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第五幕

東京の最終段階の手筈は整っていた。良識ある日本人と外国人達には、数年前から東京郊外への移住を呼び掛けておりほとんどの人々は、東京郊外、地方への移住を完了していた。残っているのは反社会的勢力、中国マフィア、反社から献金を受けている悪徳政治家など己の欲望と金との利害だけで生きて来た、また生きている連中の巣窟と化していた。江口を殺った三浦や三木原を動かす裏のドンで自有党の二貝原が今や東京の権限を握っていた。

日本の中心は今や東京ではなく横浜で日本国が動いているのだが、人口は過密する事なく国民の社会生活は全国に分散、オンラインとAIの革新的進化により仕事とプライベートの両立も可能にしていた。経済の幅が国境を超え世界全体が職場になりつつあった。

 10日後、西郷と上杉は久しぶりの再会を果たして各自の作戦の内容や手段、危なかった事態などを語り合い指揮官としての士気を高めた。

「お帰り! 二人とも少しは休めたか?」

「室長こそ休んでないでしょ?」

「室長相談があるのですが!」

「上杉どんな用件かな?」

「いえ、Queenと街を歩きたいと思いまして」

「高くつくが上杉の頼みなら安くしとくよ!」

「本当ですか?」

「あとでサンプルの身体のデータ送るからQueenと決めてくれ、そうかアイリも友達が出来たか!」

「友達くらいいますよ、変な事言わないでください」

「俺を友達だとか思っている奴だから言ってるんだよ」「普段は室長って感じではないですからねっ」

「ははっそうだな」

三人の和んだ雰囲気が、戦などしているとは思えない程のありふれた社内の上司と部下の光景に見えた。

 「これより、東京作戦の説明にはいる。作戦名、自作自演東京壊滅作戦だ! 既に我が国AIに我々の偽りの内容をインプットしてある! これから我ら日本防衛軍特殊部隊は、反乱を起こし東京を占拠し、独立自治区|(NeoTOKIO)を創るとゆう偽りの筋書きで行動する、頭が混乱せぬよう冷静に行動せよ」

「室長の話した通りだがこれは今の東京を牛耳る二貝原を出し抜いて東京を破壊するのが目的だ! 一旦東京を使えなくし、更地にした後未来型都市を創るための準備だ」

「奴らを消した後はAIが我々の地位を元の特殊部隊に戻してくれるから安心してくれ」

「作戦は明日正午、悪徳政治家どもには我々が行動を起こす事をAIが察知し、先回りして準備をしているらしい、我々を悪の犯罪組織に仕立てあげたいらしい! それでは仕立てあげてもらおうではないか!」

「では明日! 解散」


決行当日日、午前中に真田はイージス艦で現れた。西郷と上杉は真大和、真武蔵で東京湾沖に沈座して行動開始の合図を待っていた。

「私達の最高の演技を見せてあげないといけませんね」

「そうだな、あの馬鹿どもには最後に教えてやろう、お前らの逃げ道、行く手は何年も前から既に塞いであると言う事を」

「さて時間だ、奴等が持ち込んだ転用小型核爆弾(てんようこがたかくばくたん)は既にダミーに換えてある、これより開始する! AIに送信せよ」

 彼らは国会議事堂と皇居を占拠して真田偽反乱軍を待ち構えていた。

「室長、相手側から入電」

「反乱軍の皆さん、君たちに勝ち目はない! この東京をお前達に渡すつもりはないしそれは無理だ、我々は核武装を終えいつでもこの東京を吹き飛ばす事が出来る。君たち反乱軍が一歩でも東京に足を踏み入れる事は不可能だ、これだけの戦車部隊、地対空ミサイルの中を進むのは無理だろう、笑笑」

「そうかでは一歩だけ入らせてもらおう」

イージス艦から小型誘導弾、3発を発射すると見事に撃墜した、続いて八王子の県境に配置してある(れい)式戦車を

突入させてみる、侵入した瞬間に破壊された。ここで少し真田は考える素振りを見せ何度か同じ行動をした。

「やつらは俺達が東京に侵入し戦闘状態にした上で核のボタンを押すつもりだ。核爆弾を持ち込んで東京都を占領し特別自治区作ろとした反乱軍が戦況不利に陥り自ら爆破というシナリオらしいがな! 戦のいの字も知らないチンピラ相手にピストルを撃ち合ってきた奴等など相手もしたくないムシズが走る連中だがここを美味くやらないとこの国をまとめる事が出来ないからな!」

「二貝原さんと話がしたい重要な話だ、今後のあなたの地位や懐が大きかく変わる話だ! 聞かずに俺達を殺してもなんのメリットもないですよ!」

「...........わかった話を聞こう、それでは港で落ち合おう」


「話とは何だね真田君」

「そう焦らずに何から話せばよいか迷いますが、原発転用核兵器の売買なんてやっている場合ではないと言う事ですよ!」

「どういう意味だ?」

「これを少し見て頂きたい」

真田はある映像を二貝原に見せた、ニ貝原から動揺の声が漏れる。

「本当に完成したのか?」

「本当です。世界のどの国よりも早くそしてまぁそれはいいですが、開発に成功したんですよ」

しばらくの沈黙と深呼吸の後、

「発充電循環装置(エレクトリックロータリーシステム)を!」

「それでこの東京の土地が必要と言う事だな?! それが本当なら証拠はあるのか?」

「証拠? ふっ、、では見せましょう」

「真大和、浮上!」

「.............いつからこんなものを作っていた?」

「型ではなく中身ですよ、重用なのは、この艦は小さな原子炉を搭載しているため原子力潜水艦の部類に入ります。原潜なら原子炉で作ったエネルギーでタービンをまわして艦を動かしますがこの艦の原子炉はあくまで原子のエネルギーを電力に変換する為の原子炉で、駆動タービン式ではなく電力でスクリューを回す電気推進潜水艦です。この原子炉の用途は無酸素燃焼での電力発電と、発充電循環装置(はつじゅうでんじゅんかんそうち)が故障した時の非常用の為です。後は発充電循環装置が電気を作り使い作り使いの繰り返しで人が乗っていない限り永久に、壊れるまで潜っていられます!」

「他の国の原潜も数年は潜りっぱなしでも大丈夫ですが(いず)れ燃料がきれてウランなり、プルトニウムを核反応させないと動かないからな!」

「しかし、やはり無人は無理なので人が乗っている限り浮上して外に出ないといけません」

「そして何故潜水艦なのか?ですよ!島国日本なら陸から送電用ケーブルさえあればどの町にも電気を送る事ができる!言わば動く巨大な乾電池だと言う事です」

二貝原は少し考えて答えた。

「わかった東京は君達に渡そうしかし、私も混ぜてくれ」

「分かりました」

 二貝原は議事堂へと戻って行った。

「室長あれ本当ですか?」

「80%本当で後は嘘! 電磁力の圧縮が後少しらしいがもうすぐ完成する! 完成すれば更地の東京の真ん中に実験場とプラントをつくり街を創る。」

「しかし、古くからある、城、神社仏閣は破壊してはならない! この国は八百万神(やおよろずのかみ)を民衆が誰彼と信仰している部分もあるからな、触るなよ」

「了解です! AIに守らせます。」

「さて東京に乗り込む! あいつらは、発充電循環装置のデータを盗み出してから俺達を消すつもりにしたはずだが俺達は、はなから東京をぶち壊しに来たんだから遠慮なくやれ、何回も言うが歴史的建造物は破壊するな!」

 二貝原達が配備した戦車、地対空ミサイルは一瞬の内に、粉々に砕けた。大人しく東京に入って来ると思っていた二貝原達は焦った。焦って寄せ集めの部隊は散り散りに逃げて行き、残るは二貝原、三木原、三浦の少数部隊だけである

「真田君、話が違うではないか!」

「どうして、これが正当な戦い方でしょう、丸腰で敵陣に乗り込む馬鹿はいないですよ! ついでにお宅らも消すためにねっ」

「あっはっは、馬鹿は君だよ! もう遅い今、核爆弾のボタンを押した、もう東京は使えない反乱軍が東京を核で爆破したと言う事になるからだ! 東京核爆破首謀者、真田幸貞君! あっはっはっ」

 二貝原は発充電循環装置のメカニズムデータを新手のハッカー集団に盗ませデータを持ち出しヘリに乗り込んだ時、真田の持つコルトパイソンが二貝原のこめかみにめり込む!

「おい、逃げれると思っていたのか? お前はまだ利用価値があるからまだ()らない」

「お前は己の欲望のためだけに幾人もの将来ある人々を(あや)めてきた。そのまま横浜に連れていけ!」

「了解しました」

 三木原は、哥狼会に護られたメルセデスで郊外へ向かっていたのたが、真武蔵のQueenと本国AIの正確な位置情報の連携で真武蔵の主砲がほぼ水平にメルセデスを()抜きバラバラに砕け散り、その後に追尾ミサイルが着弾し辺りは無惨な光景が広がった。

 そして三浦は自慢のポルシェで独り逃げていた。通信イヤホンに突然声が入る。

「久しぶりだな、三浦! 覚えているか? 江口だ!」

「お前生きていたのか、あの時完全に()ったのを見届けたはずだ! 何故生きている!!」

「教えてやりたい所だが時間がない、お前の命のなっ!」

真大和から複数のミサイルの雨が降り注ぎ三浦のポルシェは型すら残らない程浴びた。

 国会議事堂から激しい衝撃と轟音が起きキノコ雲が立ち上る。それと同時に真大和、真武蔵から発射された無数のミサイルが東京上空で炸裂した。後日、東京23区には規制線とバリケードが築かれ東京は日本の中心から消えてなくなり、それは日本政府の弱体化を世界に示した出来事となった。

 東京都核壊滅事件の首謀者、自有党の二貝原まさるが連行される報道が連日テレビで流れた。日本防衛軍が今やこの日本には必要不可欠な存在であると日本国AIが決定した瞬間であり、国民が日本防衛軍を認めた事件となった。

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