第三幕
2045.5.15真大和型潜水艇二号艦真武蔵率いる伊賀忍術潜団は、日本海の対馬沖に陣を構えていた。韓国が不法占拠している竹島を極秘に奪還するためだ。真武蔵の艦長の上杉アイリは左前方と右前方の索敵追跡艦の昇龍、蒼龍に号令をかけた。
「これより作戦シノブを開始する! 志し高き同士よ! かかかれー!」
「三方向にデコイ(囮擬似弾)発射後、敵の背後をとり、沈めよ。」
真武蔵は陣の最後尾の最深部に沈座していた。潜水艇は深海に潜れば潜る程、索敵が困難になる。ソナーでの音索が全てである! 潜水艦の戦いとは音との戦いと言ってもいい! あらゆる音を消したものが勝利し、敵をいかに早く発見するかである。韓国軍側の潜水艦がデコイに反応して動きを見せた。
韓国軍、デコイに向けて魚雷を発射デコイに命中した! 「音速魚雷、1番2番発射!」
「距離500..300..100..命中しました。」
「Queen! 韓国側の潜水艇はあと何隻だ?」
「右弦蒼龍側に魚雷接近! 回避行動開始」
「5.4.3.2.1反れて行きます。」
「アイリ! 敵の潜水艇残り4隻! いずれも蒼龍級です。」「南西方向距離20㎞回避行動開始確認」
「距離をとり魚雷を打つはずだ」
「昇龍、蒼龍急速潜航開始」
「真武蔵を知られる前に殲滅する! 高速追尾魚雷、発射!」
「命中確認」
「潜水艦全て撃沈しました!」
「よし、敵主力イージス艦を包囲しつつ、竹島に上陸せよ」
「敵兵士は捕虜として拘束した後、枝として解き放て!」
「艦長、作戦シノブ第二段階、準備整いました。」
「韓国ソウル上空、陸上忍術部隊投下! 投下完了後、釜山港より、猿部隊上陸せよ。」
作戦シノブの概要は、韓国を占領した後、韓国を北上、北朝鮮の平壌を制圧する。制圧後、ロシア国境沿いに、核弾頭を配備し、その混乱の隙をついて日本海を北上、ロシアに奪われた北方領土四島をロシアより奪還する。真田の戦術は調略と撹乱であり、真田家代々の戦略! 即ち、風林火山。真田幸貞は思っている! この壮大な計画を背負った時から、[負けるはずがない]と。
上杉アイリの的確な見極めと各部隊の作戦遂行能力の高さから、予想を上回る速さで韓国ソウル、北朝鮮の平壌を一気に占領した。
「さすが上杉だな、朝鮮半島に部隊を投入する前に、既に韓国、北朝鮮の指導者、上層部の要人を調略しているとは!」
アイリは半島制圧の旨を真田に報告していた。
「真田室長! ご苦労様です! お借りしていた猿部隊を先に投入していたおかげで上層部かあっさり寝返ったので、最小限の被害で半島を手に入れました。」
「上杉! 元気でなによりだ! 真武蔵の乗り心地はどうだ?」
「車の様に言わないで下さい笑」
「西郷にも同じ事言われたよ!」
「韓国と北をすぐに統一出来ないが、AIを使えば半年程で一つにまとめるだろう。もう分断する理由がないのだから」
「先人達の経験があればこそ今の我々がある事をわすれてはならないな!」
あらためて真田は上杉に話しながらそう思った。
2
アイリは真夜中、眠れない時に、AIのQueenに自分の話しをよくしていた。Queenを1人の人格としていつも会話し、アイリの幼少から18歳までの施設での生活を真剣に話したのは他の誰でもなくこのQueenなのである。いつかQueenと街でショッピングする事を現実にすると心に誓いこの戦いへの闘志を燃やし、作戦シノブのロシア攻略の筋道を綿密にシュミレーションしてた。
「アイリ、北朝鮮を日本が占領した事をロシアに悟られてはなりません。あくまで北朝鮮がロシアを牽制してミサイル配備している様に見せかけなければなりません。そしてロシアと協議するふりをします」
「その間に伊賀部隊を二手に分け真武蔵を北海道の海底に沈座させ機会を伺うと言う訳だなっ!」
「アイリは話が早くて助かります、後1つ北海道の五稜郭に本部を設立して下さい。ダミーの日本防衛軍本部を置くのです。」
「その本部に真田室長を置くのだろ?」
「さすがアイリ、その通り! 真田室長なら口八丁、手八丁でうまく騙すでしょうから!」
「うけるー笑! この会話を真田室長に送っておいてくれ!」
「了解しました。」
2045.5.25この会話を受け取った真田はすぐさまダミー防衛本部を五稜郭に設立した。
北方領土は北海道の最北端にある島々で、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の四島と小さな島々で、1945.8.15日本がポツダム宣言を受け入れ敗戦でうちひしがれている最中、突如ロシアが北方領土に進軍、占領した。戦争に負けたのにもかかわらず残った僅かな兵力で島々を守ろうと戦った兵士達がいたと伝わっている。日本での終戦日は8.15だが世界の第二次世界大戦の終結は9.2で日本からすれば戦争が終わった後に占領するロシアが悪く見えるが、ロシアからすればまだ戦争中と言う大義名分が通るのである。この過去の大いなる屈辱を晴らす事こそが、戦ってきた者達にとって大きな励みになり、領土を奪還し、日本戦士の祖国防衛の士気を高めるのが真田の狙いであった。
「さて上杉! あと1ヶ月で下準備は出来るか?」
「無理だと言ってもさせるのが真田室長! あなたですからっ、笑」
「それを本人に言う所が上杉だよなぁー笑」
「西郷チームの準備も整い次第、同時に作戦を決行する。決行日は2045.6.10」
「了解しました。」