4/4
風牙様の優しさ
…………暇。
もうさ、言っちゃうよ。
暇なんですけどぉぉぉ!
なんやかんやで『街』に行く事になったけど、けど、
会話がない!無いのである!
比喩ではなく、言葉のまんまに!
うぅ、寂しいよぉ。
とぼとぼと山道を歩いていく、と……
「あずき洗い!金をだせぇ!」
うげ、やばいなぁ。
中級妖怪『山姥』
私じゃ、逆らえない。けど、
「すいません。私、お金持ってません」
むう、今は風牙様と一緒なのだ。
イケメンとの楽しい(?)道中を邪魔されたくない。
「はぁ?私に逆らうのかい。そぉかい。」
ニタニタと、気味の悪い笑み。嫌いだわァ。
無言で睨み返してみる。
すると……
「咲を解放してやれ。俺が金を払おう。」
ふっ!風牙様ぁあー!
さすがの山姥も風牙様には逆らえない。
「ちぃっ!今回は見逃してやる!」
おおぅ、山姥。強がりか。
「ありがとうございます」
感謝です!風牙様!一生着いて行くぅ。
「……別に」
あ!素っ気ないけど、返事してくれた。
今日は、意外なところで風牙様の優しさを見た気が
する。幸せだ!