私、あずき洗いです!
とある山の中。そこは、かつて妖怪が住み着き、
人間に悪さをするような奴らがわんさか居たと。
だが、幾つか前のことだ。
とある除霊師がその山で「清めの儀式」を行った
ところ、たちまち妖怪が減り、人間の生活は平穏
を取り戻した。
だが、人間は知る由もなかった。
まだ、妖怪は滅んで居ないことをーー。
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「ふぅ、疲れたぁ。」
私ー、『あずき洗い』の咲!
『下級妖怪』と呼ばれる妖怪の中でも下っ端です。
んーと、人間の価値観で言うと……。あ、わかった!
『社会の底辺にいるゴミ屑』かな?
我ながらセンスいいー!
……今やってる事?あぁ、これね。
あずきを洗ってるの。
だって、これしか無くない?やる事。
『あずき洗い』って名前だし、まんまだよね。
ご先祖さま、ネーミングセンスないんだよ。
まぁまぁ、文句言っても変わるわけないし。
仕事片付けよ……。
「見て見て、あずき洗いよ」
「汚いわねぇ……」
………うるさいよ、もう。
あずき、落としちゃうでしょ。
私、底辺の妖怪だからかな、悪口なんて日常だよ。
けど、そこまで言うこと無くない?
私だって、妖怪の仲間なのに……。
『上級妖怪』はいいなぁ。
エリートで、能力も優れ物。
毎日毎日、気楽そうだよね。仕事は、『下級妖怪』に
回すもんね。ズルいよ。
そんな時だった、背後に凄いオーラを感じたのは。
え、え、何この状況。怖い。
振り向くことも、許されないくらいの、威圧感。
間違いない。この妖怪は、格上すぎる。
「ごっ、ごめんなさい。私、邪魔ですか?」
必死に声を出し、立ち去ろうとする。
お願い、足よ、動けーー!
「あのさ、お前、あずき洗いだよな」
不意に響く、低い声。
「はっ、はい。なんでしょう。」
私に用事かなぁ?にしても、誰だろう。
「あのぅ、すみませんが、どなたでしょうか?」
しばらくの、無言状態。怖ァ!
「……俺は、」
次の瞬間、私は凍りつくような衝撃を受けた。
「かまいたち、の風牙だ」
そこに居たのは、恐れてやまない『上級妖怪』の
かまいたち様だった。