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107自警団  作者: フユルト
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ヴェリタスの悩み

逃走を諦めたマギナは、現在イオナの膝に座らされており、まるでぬいぐるみのように抱かれている。


「…グリューナフ、今は無理」


「むぅ…」


マギナが羨ましいのか、グリューナフも対抗して膝に座ろうとするが、イオナに無理だと諭される。


「なら…スカーレット」


「ちょっと、私の膝に座るのも無理よ?」


スカーレットはグリューナフよりも身長が高いが、膝に座られると後頭部しか見えなくなる為、膝に乗せるのを拒む。


その時、部室の扉が開き、一人の人物が入ってくる。


その人は左右が白と黒に分かれており、服装は勿論学園の支給した白を基調にした制服と青いラインの入った鞘に収められた剣を腰の左右に二本づつ、計4本装備している。


その制服は男子生徒用の物なのだが、その人物が男男である事を否定するように、胸元には確かな膨らみがある。所謂、男装をしているのだ。


「只今戻りました、イオナ団長」


「…お帰り、ヴェリタス」


「…!!おかえり〜♪」


グリューナフはヴェリタスに気づくと、スタスタと歩いて飛びつく。


「遅かったじゃない、何かあったの?」


「…いえ、特に何も…」


「隠さなくても良いんだよ〜?来る時は布を巻いて胸を隠してたせいで男だと勘違いされて告白合戦が起きた結果、身動きがとれなくなったんじゃないの?」


マギナの指摘に、グリューナフを膝に乗せて座っていたヴェリタスは「うっ…」と小さく声を漏らして僅かに顔を顰める。どうやら図星のようだ。


「…何でそんな事をアンタが知ってるのよ」


「いや〜、イオナから逃げる時に窓の外をチラッと見たら学園の門辺りで集団ができてたから…」


「私が、ヴェリタスに迷惑だからって、注意しに行こうか?」


「いや、逆効果じゃない?イオナとヴェリタスが付き合ってるとか勝手に勘違いされると思うんだけど…」


「…?…うん、分かった」


「どうしたんですか、グリューナフ」


グリューナフが一人相槌を打っているのを不思議に思い、ヴェリタスはその頭を撫でながら質問した。


「えっと、“リューナ”が…『胸を抑える布を巻かずに登校すればいいんじゃないか?』って…」


「 「 「…」 」 」 


その言葉を聞いた三人は、無言で視線を送るが、本人であるヴェリタスは首を横に振る。


「一応、私の家は代々男が剣聖を名乗る風習があり…当代は女児しか産まれず、私しか剣の才能が無かったので仕方なく…」


ヴェリタスの住むオルノイド家は学園都市では名のしれた名家であり、昔は向かうところ敵無しであったが、魔導工学の発達により過去に比べて目立った成果を挙げていない。


「…仕方ないってことで、もう諦めたら?」


「それしか、ないですよね…」


スカーレットの言葉に、ヴェリタスは達観したような瞳をして苦笑いを浮べた。



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