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107自警団  作者: フユルト
3/4

逃走と並走

「…勝手に扉にステッカー貼っちゃ、駄目」


「…ごめんなさい」


イオナに叱られてしゅんとしているグリューナフ。


「まぁまぁ、そんなに怒ることないんじゃない?」


そう言ったのは、ボサボサの黒髪に金色の瞳をしたグリューナフより少し背が高い、ブカブカの白衣を着た少女。


「そう…確かに、グリューナフだけが悪いんじゃない…“マギナ”にも責任がある」



「…え?」



時は少しだけ遡る…


「ふ〜ん、ふん♪」


「ふぁ〜…ん?」


グリューナフが楽しそうにテーブルの上で絵を描いていると、扉を開けて入ってきたのは、大きく欠伸をした白衣を着た少女…ギア・マギナがグリューナフが描いている絵を覗き見る。


「おぉ、上手くかけてるじゃないか」


「ありがと」


マギナが「みんなに見せるのかい?」と聞くと、グリューナフはコクリと頷き、すぐに描くのに没頭する。


「だが残念だなぁ〜、こんなに素晴らしい絵がただの紙の上で終わってしまうのは(棒)」


マギナの言葉に、グリューナフは「どういうこと?」と手を止めて問いかける。


「よく考えてごらん?その絵は紙にしか描かれていないんだよ?」


「むぅ…だから、何が言いたいの?」


「せっかちだなぁ…つまり、私の技術力にかかればその絵を色んな所に寸分違わず描き写す事が可能なんだよ…という事で、“いつもの”」


「…」


マギナの“いつもの”という言葉に、グリューナフは「またか…」みたいな顔をする。


マギナはこの学園:ユグドラシルに通っていた頃は魔工学を学んでおり、その期間にいくつもの画期的な道具や回路を開発している。


その多大なる功績により彼女はたった数ヶ月で学園を飛び級で卒業し、現在は学園の教師兼ね107自警団の監督責任者の地位についている。


彼女の“いつもの”というのは、いわゆる一時の感情で作ったゴミ…おほん、失敗作だ。というのも、彼女は週一のペースで学園都市から新兵器の開発や兵器の整備を頼まれているのだが…たまに大量発注が来る事があり、そうなると深夜までの作業となる。


すると、彼女の脳は機械で言うところのオーバーヒートを起こし、全く戦闘などに役に立たないゴミが出来上がる事がある。


今回、グリューナフに渡したのは青いラインの入ったスマホのような物。


「それは自動転写貼り付け機…所謂、自動ステッカー製造機だよ」


使い方は簡単、スマホみたいに写真を撮って大きさを指定して、貼りたいところに押し当てるだけ…


「おぉ…凄い♪」


きゃっきゃと喜びながら扉にステッカーを貼るグリューナフを尻目に、マギナは部室を出た。



…そして現在


「マギナ、正座」


「こうなったら…【防御膜展開】【脚部特殊機構】【全ブースター起動】最大出力ッ!!」


イオナのお説教(1時間コース)から逃げ出す為、マギナはこんな事もあろうかと靴の代わりに履いていた試作品を使用する。


試作品:リユニオンは通常時は膝まで覆った黒い金属質のグリーブなのだが、特殊機構を使用すると、変形して靴底に2つ、足まわりに小型の特殊ブースターが3つずつ合計10個の特殊なブースターにより音速に近い速度に達する…その影響で発生する風圧を防ぐ為、ネックレス型の防御アイテムを起動して風圧を無力化する。


だが、“音速程度で”イオナから逃げられる…そんな訳がない。


廊下を猛スピードで移動するマギナだったが、ふと視線を感じて横を見ると隣にはイオナが並走していた…


「…」


「…降参」


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